そんなわけで今回も全く以て誰の役にも立たない情報をお届けするとしよう。
以前、竹書房から発売された「プロレス最強は誰だ?」というムック本を紹介したが、同ムックのボクシング版「「ボクシング最強は誰だ?」が発売されたので購入した。
プロレスよりも深い歴史があり、技術体系的にも洗練・確立されているボクシングだけにこの本は非常に興味深い。プロレス版は6項目を各100点満点で各項目毎に4人の採点者の平均点を算出し、最終的にその各項目で出された点数の平均点で比べるのに対し、こちらは10項目各10点満点、計100点満点を4人の採点者がそれぞれ合計点を出し、その合計点の平均点を算出するというやり方だ。
気になる採点者は、ジョー小泉、津江章二、三浦勝夫、中大輔の4名だ。漫画原作者である中大輔以外はれっきとしたボクシング評論家だ。と言ってもジョー小泉以外は知らないんだけどね。
結論から言うと最強の座に輝いたのはモハメド・アリ。当然っちゃ当然だが、2位にロベルト・デュランってのは意外だった。ロベルト・デュランと言えば「石の拳」の異名をとる中南米の中軽量級ボクサー。トーマス・ハーンズ、マービン・ハグラー、シュガー・レイ・レナードと共に「黄金の中量級」時代を築いた偉大なるボクサーだ。
しかしながら彼らの活躍した時代は80年代。まだ幼かったオレは彼らの全盛期を知ることはなく、知っていることと言えば1992年に40歳で来日し、藤原組で船木誠勝と異種格闘技戦をしたロベルト・デュランという腹の出た小太りのオッさんがいたという事だけだ。
珍試合として後世まで語り継がれるこの一戦は、まぁそれは酷いものだった。ボクシングを引退して数年が経ち、ロングスパッツに体操着のようなTシャツを着たデュラン。明らかに観光目的か小遣い稼ぎにきただけの感覚だ。彼もモハメド・アリ同様、プロレスラーとちょっとエキシビション・マッチでもしようかというノリだったのだろう。
それに対し若き船木誠勝(23歳)の入れ込み具合は半端じゃない。華麗なフットワークから掌底・タックルへの流れのガチっぷりが見ていて痛々しい。グラウンド10秒ルールでフリーエスケープと縛りはあったものの、エキシビション感覚のデュラン(172cm)に対しやる気十分の船木(182cm)が負ける要素は万の一つもなかっただろう。
案の定3Rに船木のアームロックがデュランを捉えギブアップ。「まぁ、こんなもんだろう」と特に落ち込む様子もないデュラン陣営とは対照的に、勝利の瞬間雄叫びを上げる船木&リングになだれ込むセコンド陣。白ける観客の反応なぞお構いなしに船木を胴上げする姿は「滑稽」という2文字がよく似合う光景だった。
随分と話が逸れてしまったが、そんなロベルト・デュランだからこそ2位という高順位に驚いたってわけ。
エントリーされている選手の半分ほどが日本人で、そこからさらに全世代全階級のボクサーを対象にしているため、正直物足りなさは否めない。せめて日本人編と外人編と分けるか、欲を言えば大雑把でも良いから階級別にして欲しいよね。
と、まぁ不満な点は多くあれど、このシリーズ自体の試みは面白いし、実際にこの本も面白い。「ボクシングと言えば亀田でしょ」なんていう浅いファンの人でも楽しめること請け合いなので、コンビニで見かけたら手にとって見て欲しいねぇって話(´∀`)
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