このブログではあんまり個別の映画を紹介したりしないのだが、今回はちょっと面白い映画があったので紹介したいと思う。古代ギリシャを舞台に、伝説の一つ目獣サイクロプスを描いた、その名も「サイクロプス」だ。
このDVDをレンタルで見かけたのが、ちょうど「タイタンの戦い」や「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」が話題になっていた頃なので、ずっと気になっていたんだよね。そして今回、満を持して借りてみたってわけ。
パッケージの裏面を見ると、闘技場で剣闘士とサイクロプスが闘っているシーンがあるので、単純にそういった話かと思ったら、これがそうでもなく裏切られた。
まず冒頭で商人がローマへの帰途でサイクロプスに襲われるところから物語が始まる。ここで1人だけなんとか逃げ延びて、事の次第を皇帝に告げてサイクロプス退治が若き100人隊長マルクスに命じられる。
しかし物語はまだ序盤。ここでサイクロプスを退治or生け捕りしてしまっては展開が早すぎる。なので最初の遠征は失敗して痛い目に遭うかと思いきや、あっさりと生け捕りに成功してしまう。それもそのはず、このサイクロプス、想像していたより小さめ。
もちろん普通の人よりはデカイが、せいぜい220~230cmくらいではないだろうか。アンドレ・ザ・ジャイアントだったら素手で勝負できそうなくらいだ。こういう怪物ってのは圧倒的な大きさと破壊力があるからこそ恐いと思うのだが……
この時点では生け捕りを指揮した100人隊長マルクスが主人公。ところが、このサイクロプスを闘技場で闘わせようと摂政が提案するところから話が変わってくる。剣闘士だとお金がかかるから奴隷と闘わせようという話になり、ここから奴隷のリーダー・ゴルディアンが主役に躍り出る。ゴルディアンは奴隷の主人に仕えているバルバラという女性から、サイクロプスと闘わされるという情報を入手して、一刻も早くここから脱走しようと画策する。
そんな最中、牢に入れられたサイクロプスがザル守衛のせいで脱獄してしまう。その混乱に乗じてゴルディアンが奴隷仲間を引き連れ脱走。もちろんバルバラも連れて行く(バルバラも奴隷だった模様)。ちなみにサイクロプスはまたもやあっけなく生け捕りにされる。
この脱走は失敗してゴルディアンが見せしめにサイクロプスと対決する羽目になるだろうと思っていたら、脱走はマルクスの部隊によって阻止させられるのだが、マルクスとゴルディアンが親友だということが発覚。そしてマルクスが「ゴルディアンは悪いヤツじゃないから見逃してくれ」と言い出すが、皇帝への反逆罪として逆に捕まってしまう。(事実ゴルディアンは脱走したわけだし、その際にローマ兵を何人か殺し、奴隷主人も殺してるのでマルクスの言い分には無理がありすぎる)
こうして捕らえられて剣闘士に成り下がったところでマルクスに主役交代。しかもゴルディアンと良い仲に見えたバルバラもマルクスに寝取られ、ゴルディアンは立つ瀬無し。
剣闘士となったマルクスは、訳も分からず捕らえられて闘わされるサイクロプスに同情し(おそらく自分が同じ境遇にたったことが原因だと思われる)、肉を与えたり言葉を教えたりとコミュニケーションを図ろうする。しかし最初のサイクロプスの脱走も、牢に近づきすぎた衛兵が喰い殺されたことが発端なので、この行為はかなり危険で無謀と言わざるを得ないが、ここで何となくサイクロプスと心が通じ合ってしまうヽ(*´Д`)ノ
最初は単純な怪物退治アクションだったのが、ここでサイクロプスが悲しき怪物となり、「キングコング」が脳裏をよぎる。さらに裏では皇帝が、民衆に人気のあるマルクスをサイクロプスを使って合法的に亡き者にしようと画策したり、摂政とその妻が密かに皇帝の座を狙っていたりと政治ゲームっぽい匂いを伺わせるが、如何せん時間が無いので中途半端。
最後は自由を賭けてマルクスとサイクロプスが闘う。つい先日まで心を通わせようとしてたマルクスだが、全力でサイクロプスを殺しにかかる。もうなんか意味が分からない……しかし当然サイクロプスの方が強いのであっけなくマルクス敗北。とどめを刺そうとするサイクロプスに「お前は勝っても自由になれないぞ!」とマルクスが叫ぶ。ついさっきまでマジで殺しにかかってた割にはかなりセコいが、この叫びが届いたのかサイクロプスは攻撃を止める。
そして乱入してきたゴルディアンから斧を受け取ったマルクスは、サイクロプスを繋いでいる鎖を断ち切ることに成功。自由になったサイクロプスは壁をよじ登り、衛兵をなぎ倒し皇帝を殺害。そのままさらに壁を登り闘技場のてっぺんで雄叫びをあげる。これは「キングコング」へのオマージュか?
もはや手の付けられないと思われたサイクロプスだが、貧弱な摂政が投げた槍の一撃で死亡。
その後、マルクスが摂政を殺してめでたしめでたしってわけなんだけど、短い時間の中に話を詰め込みすぎて、全然サイクロプスが生かされていない。サイクロプスが暴れたのって最初と最後に少しだけで、後はへんてこりんなドラマが展開されるだけ。サイクロプスの暴れっぷりを期待してみると消化不良になるはずだ。そしてなによりサイクロプスがそんなに強くないのが一番の問題だろう。映画を観る限りでは、優秀な剣士が3人いれば勝ててしまうだろう。神話上の怪物がこんな扱いを受けるとは残念だね。
と、まぁ色々書いたが、中途半端なストーリー展開や残念なCGも含めて、B級感たっぷりの作品なので一見の価値はあると思う。レンタルビデオ屋に行って借りるのに困ったら、是非この「サイクロプス」を借りて観てはいかがだろうって話(・∀・)
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まず冒頭で商人がローマへの帰途でサイクロプスに襲われるところから物語が始まる。ここで1人だけなんとか逃げ延びて、事の次第を皇帝に告げてサイクロプス退治が若き100人隊長マルクスに命じられる。
しかし物語はまだ序盤。ここでサイクロプスを退治or生け捕りしてしまっては展開が早すぎる。なので最初の遠征は失敗して痛い目に遭うかと思いきや、あっさりと生け捕りに成功してしまう。それもそのはず、このサイクロプス、想像していたより小さめ。
もちろん普通の人よりはデカイが、せいぜい220~230cmくらいではないだろうか。アンドレ・ザ・ジャイアントだったら素手で勝負できそうなくらいだ。こういう怪物ってのは圧倒的な大きさと破壊力があるからこそ恐いと思うのだが……
この時点では生け捕りを指揮した100人隊長マルクスが主人公。ところが、このサイクロプスを闘技場で闘わせようと摂政が提案するところから話が変わってくる。剣闘士だとお金がかかるから奴隷と闘わせようという話になり、ここから奴隷のリーダー・ゴルディアンが主役に躍り出る。ゴルディアンは奴隷の主人に仕えているバルバラという女性から、サイクロプスと闘わされるという情報を入手して、一刻も早くここから脱走しようと画策する。
そんな最中、牢に入れられたサイクロプスがザル守衛のせいで脱獄してしまう。その混乱に乗じてゴルディアンが奴隷仲間を引き連れ脱走。もちろんバルバラも連れて行く(バルバラも奴隷だった模様)。ちなみにサイクロプスはまたもやあっけなく生け捕りにされる。
この脱走は失敗してゴルディアンが見せしめにサイクロプスと対決する羽目になるだろうと思っていたら、脱走はマルクスの部隊によって阻止させられるのだが、マルクスとゴルディアンが親友だということが発覚。そしてマルクスが「ゴルディアンは悪いヤツじゃないから見逃してくれ」と言い出すが、皇帝への反逆罪として逆に捕まってしまう。(事実ゴルディアンは脱走したわけだし、その際にローマ兵を何人か殺し、奴隷主人も殺してるのでマルクスの言い分には無理がありすぎる)
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剣闘士となったマルクスは、訳も分からず捕らえられて闘わされるサイクロプスに同情し(おそらく自分が同じ境遇にたったことが原因だと思われる)、肉を与えたり言葉を教えたりとコミュニケーションを図ろうする。しかし最初のサイクロプスの脱走も、牢に近づきすぎた衛兵が喰い殺されたことが発端なので、この行為はかなり危険で無謀と言わざるを得ないが、ここで何となくサイクロプスと心が通じ合ってしまうヽ(*´Д`)ノ
最初は単純な怪物退治アクションだったのが、ここでサイクロプスが悲しき怪物となり、「キングコング」が脳裏をよぎる。さらに裏では皇帝が、民衆に人気のあるマルクスをサイクロプスを使って合法的に亡き者にしようと画策したり、摂政とその妻が密かに皇帝の座を狙っていたりと政治ゲームっぽい匂いを伺わせるが、如何せん時間が無いので中途半端。
最後は自由を賭けてマルクスとサイクロプスが闘う。つい先日まで心を通わせようとしてたマルクスだが、全力でサイクロプスを殺しにかかる。もうなんか意味が分からない……しかし当然サイクロプスの方が強いのであっけなくマルクス敗北。とどめを刺そうとするサイクロプスに「お前は勝っても自由になれないぞ!」とマルクスが叫ぶ。ついさっきまでマジで殺しにかかってた割にはかなりセコいが、この叫びが届いたのかサイクロプスは攻撃を止める。
そして乱入してきたゴルディアンから斧を受け取ったマルクスは、サイクロプスを繋いでいる鎖を断ち切ることに成功。自由になったサイクロプスは壁をよじ登り、衛兵をなぎ倒し皇帝を殺害。そのままさらに壁を登り闘技場のてっぺんで雄叫びをあげる。これは「キングコング」へのオマージュか?
もはや手の付けられないと思われたサイクロプスだが、貧弱な摂政が投げた槍の一撃で死亡。
その後、マルクスが摂政を殺してめでたしめでたしってわけなんだけど、短い時間の中に話を詰め込みすぎて、全然サイクロプスが生かされていない。サイクロプスが暴れたのって最初と最後に少しだけで、後はへんてこりんなドラマが展開されるだけ。サイクロプスの暴れっぷりを期待してみると消化不良になるはずだ。そしてなによりサイクロプスがそんなに強くないのが一番の問題だろう。映画を観る限りでは、優秀な剣士が3人いれば勝ててしまうだろう。神話上の怪物がこんな扱いを受けるとは残念だね。
と、まぁ色々書いたが、中途半端なストーリー展開や残念なCGも含めて、B級感たっぷりの作品なので一見の価値はあると思う。レンタルビデオ屋に行って借りるのに困ったら、是非この「サイクロプス」を借りて観てはいかがだろうって話(・∀・)