バルブオイルは、トランペットなどの金管楽器のピストンの動きを良くする潤滑油で管内部を錆から守ります。ピストンバルブとバルブケーシングの隙間に直接オイルをさして使用します。
ピストンバルブの滑らかな動きは金管楽器の演奏上とても大切で、バルブとバルブケーシングは互いに擦れ合う金属パーツのため精密に作られています。これをスムーズに動かすためにバルブオイルが必要です。
私が使用しているバルブオイルは、ヤマハ製のValve Oil Synthetic “LIGHT”です。100%化学合成オイルで『ライト』(低粘度のサラサラ系のオイル)を使用しています。しかし吹き続けているとピストンの動きが急に悪くなることが度々あります。サラサラ系というとピストンの動きがスルスルと早くなるように考えがちですが実は違います。低粘度でキメが細かいオイルなためにバルブとケーシングの隙間が狭いトランペット向けという点が『ライト』のポイントになります。『ライト』の場合は潤滑剤としての効果も高い反面、サラサラのオイルがバルブから管内に流れやすくピストンにオイル切れが起こりやすいようです。そのためオイル調整をこまめにしないとピストンの動きが悪くなります。(管内が汚れている場合はオイルをさしても動きは改善しません。きちんと掃除しないと後悔します。)
オイルの種類にはヤマハの場合は『ライト』のほかに『スーパーライト』『レギュラー』『ヴィンテージ』などいくつか種類があります。私は管内をブラスソープを使用したり水洗い清掃をした際には、オイルを『レギュラー』に変えることがあります。気分的なものですが粘度もほどほどで使いやすく思います。また『ヴィンテージ』ですが、これは古い楽器に使用するのでこのような名称がついているわけではなく粘度が高いことを意味しています。トランペットより大きなユーフォニアムやテューバなどに向いています。
以前、アントン・コルトワのフリューゲルホルン用にHetmanのバルブオイルを使用していましたが、こちらは名称別に新しい楽器には「Light PISTON」、一年以上使った楽器には「PISTON」、それ以上なら「Classic PISTON」と楽器の新旧で使い分けるようになっていました。ヤマハの設定と異なるので覚えておくと便利です。楽器も使い込むと少しずつ隙間が生じ、これを埋めるためにオイルを使用するという発想がHetmanにはあるわけです。今はフリューゲルのバルブにもヤマハの「レギュラー」を使用してますが特に問題は感じません。
バルブオイルの話は地味ですが毎日のように使用するものですからたまに見直したりして吹奏感が高められればいいと思います。備忘録として整理しておきました。
(尚、タイトル画像のトランペッターの人形は木彫で以前作ったもの。いろいろ試して作りました。結構難しい。またそのうちトライしますが、友人に「作った木彫は誰かにプレゼントしないほうがいいぜ、断捨離の時困るからな」と言われました。確かにその通りだ、欲しがる人もいないから余計な心配に終わるのだが…。)