(Sometimes I'm Happy.)

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新宿・ジャズ喫茶「びざーる」

2007-07-21 | 2006_2010_memo
 1975年に群馬から東京に移り住んだ。
 よく出かけたのは、新宿と中野だ。新宿では、「びざーる」というジャズ喫茶に通った。DIGや木馬もあったが、駅に近いビルの地下にあるビザールにいた。しけこむという表現がぴったりだった気がする。1階の入口に設置してある小さなスピーカーから中の音楽が流されていて、お金がないときは、その前でタバコを吸いながら曲やミュージシャンが誰なのか想像しながら過ごしたこともしばしばあった。ビザールでかかっていたジャズは中間派やバップが中心で、パーカーやクリフォード・ブラウンを聴くことができるのでうれしかった。
 店の中は暗く、土曜の夜には、ラリッたり家出してきたばかりのフーテンのような若者をよく見かけた。男たちはビートに合わせて肩をゆすり、女の子たちはみんなロングヘアでちょっと頭を下に向け髪の毛を揺らしながらコーラに変なものを入れて飲んでいた。髪が長いので顔が隠れて見えないから、女の子は全員美人に思えた。
 リクエストは、全気力を振り絞ってしたものだった。その場にそぐわなかったり、なかったりするレコードをリクエストするのは愚の骨頂だが、例え店にあったとしても30分前に一度ながれていたようなミュージシャンのものをリクエストしたりするのはタブーだし、いつも同じものを頼むのも睨まれた。そのときの店の雰囲気や客に合わせて、これだっ!というようなのをリクエストすることが、うまいことジャズ喫茶の中で過ごすコツだと思った。何度も失敗してそのコツをつかむ頃には、常連になっていた。けれど、マスターと仲良くしたりはしゃいだりはしなかった。ジャズは、あくまで自分の問題であり、他人と共有するのは演奏するときまでお預けでよかった。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

 1985年を過ぎて、店の前を通りかかったら、ビザールはスパゲッティ屋に変身していて、1階の入口のスピーカーもすでに取りはずされていた。

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