Voice of America Jazz Hour
前回、巨泉プラスワンを思い出したら、VOA の Jazz Hour を聞いていたことを思い出した。やはり、1970年代と思う。これも徒然なるままに書き残しておこう。
当時のVOAの送信所(中継局)は、沖縄かフィリピンかどちらかで、その送信出力とあいまってものすごく強力に受信できていた。もっぱら7MHz帯で聞いていた。北京放送とどっちが強いか?みたいな感じだった。
なにか調べて聞いていたわけでなく、たまたまジャズを流している放送を受信し、聞いているうちにそれが Jazz Hour という番組であること知った。夜の8時位から始まっただろうか。エリントンの Take the A Train が聞こえ、タイムフォージャズ ウィリス・コノーバー・・みたいなナレーションで番組が始まる。ゆっくり喋っているのだが、当然ほとんど何を言っているのかわからない。しかし音楽は知っている曲、知らない曲、楽しめた。
ある日、初めて聞く「音の洪水」で雷に打たれた。チャーリー・パーカーの曲だけど、サックスだらけの音で、聞き覚えのあるアドリブフレーズをなんと合奏している。音の厚み、流れるような完コピのアドリブフレーズ、それにフェージング(短波で音が大きくなったり小さくなったりする)が重なり、頭の中に渦が巻いているようであった。何だこりゃ!!その後、日本のジャズ番組で、それがスーパーサックスというグループであることを知った。
もう一つ覚えているのが、やはりこれもパーカー。当時、確かパーカーのアルバムは持っておらず、でも音質とフレーズでパーカーの演奏はすぐわかる。ところがパーカーがオーケストラと合奏しているのだ!曲名はエイプリル・イン・パリ。これも、その後「Charlie Parker With Strings」であることがわかった。
当時はそれほどありがたい番組という認識もなく、いつの間にか聞かなくなってしまった。今から思うと、もったいない!随分時も経ってしまったが、上記の2曲を聞いたときの興奮は今でも忘れられない。
検索したら、司会の Willis Conover の声が聞けるwebがあった。リンク先で再生してすぐ聞こえる声は彼ではなく、53秒あたりから、当時のままの喋り方で出てくる。YouTubeにも、いくらか当時の声が残っていた。
VOAも(他の短波放送も)ほとんど放送がなくなってしまったが、現代では例えばネットラジオで、いつでもフェージング無しでジャズが聞ける。便利な世の中だが、あのスリルはもう無い。
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