台風11号が倉敷を直撃する日に
実家に帰っていました。
幸い被害もなく台風は通過しましたが、
我が家の台風は大荒れでした(笑)
というのが、
私が帰る日に、お袋が財布を無くしたらしく
私の顔を見るやいなや
「財布がない!」
「財布を盗まれた」
の連発です。
最初のうちは私も部屋の中を
一緒に探していたのですが、
彼女はもう「盗まれた」と思い込んで
ヘルパーが盗んだに違いない!と
バカの一つ覚えのように言うばかりで、
話すのが億劫になり、会話がなくなりました。
挙句の果てに、
最初は千円入っていたと言ってたのが、
最終的には、1万円になり、
やがて2万円まで引き上げてきました(笑)
一人暮らしで認知症になり、
お金に執着するのは無理もないと思っていたので
特に否定もせずになだめていました。
ただ、
本当にお金に執着しているのだろうか・・・
という疑問が湧いてきたので
彼女にこんなことを聴いてみました。
「お金が戻ったら機嫌がなおるのか?」
そうすると、彼女は
「そりゃ、分からん!」
試しに、お袋が持っている
財布の中で最も高級そうな財布を
バックの中に入れておいたところ、
いつの間にかその財布は、タンスの奥に
ねじ込まれていました(笑)
もしや無くなった財布に未練があるのかと思い、
「財布が返ってきても、中のお金がなかったらどうする?」
と聴いてみました。
すると、彼女は
「そりゃ、財布が返ってくるだけでええ、
どちらにしてもお金は入ってなかったからなぁ」
えぇ~ 2万円はどこへ(笑)
とまぁ、色々聴いているうちに
実は財布に思い入れがあることが解り、
「あの財布は自分で買ったの?」と聴いてみると
どうやら、大切な友だちに貰った財布らしい。
もし、私が何も聴かなかったら
お袋が大切にしていたのは
財布だったことは気付かないまま、
「認知症はお金に執着する」という
概念を持っていたでしょう。
彼女が何度も言っている言葉の中には
大切な意味を含んでいることあり、
こちらの概念で決めつけてはいけないことが
よく解りました。
このハプニングで
とてもお袋が愛おしくなり、
同じような青い財布を探しまわって購入し、
財布の中に5000円を入れて
デイケアセンターの方から、
お袋に渡してもらいました。
又、無くしてないか気になって
後でお袋に電話すると、
とても財布を気に入ってくれたようで
電話口で泣いていました。
今は、ヘルパーさんにお金を預けているので、
彼女自身はほとんど買い物をしませんが、
新しい青い財布は
息子に買ってもらったという、
想いが新たに込められたのでしょう。