「第65図 肉身的慈善事業」『公教要理図解』ワグネル神父
◎絵の説明
1
慈善とは、他人の不幸に同情し、かつ、これを慰め助ける徳である。
2
慈善事業には、肉身的、精神的の2種がある。
3
肉身的慈善事業とは、他人の肉身を扶助する事業である。
4
肉身的慈善事業のうち、主要なものは、
貧民の救助、
病人の訪問、
旅人の優待、
死者の埋葬
などである。
5
この図には、肉身的慈善事業が書いてある。
◎貧民の救助のこと
6
第一の肉身的慈善事業は、貧民を救うことである。
7
上段に書いてあるのは、預言者エリヤが、サレフタの未亡人の油と小麦粉をふやすところである。
この事柄は、次のとおりである。
イスラエル国が飢饉で非常に困っていたとき、エリヤは天主の御命令によって、シドンの国の、サレフタへ行き、市街の入り口に着いたとき、枯れ木を拾っている一人の寡婦に出会った。エリヤは未亡人を呼び止めて、
「のどが渇いたから、水を一杯ください。」と申した。
寡婦は水を汲みに行こうとすると、
「どうか、パンも少し持って来てください」とまた申した。
寡婦はこれに答えて、
「あなたの神なる主は祝せられ給え、わたしの壷の中に掌に入るほどのすこしばかりの麦粉と、瓶の中に少しの油しかありません。
私は、わたしの子と共にそれを食べて、後は飢え死にする覚悟でそのパンを作ろうとおもって、今、枯れ木を拾いに来たのです」
と言いました。
エリヤが答えるには、
「心配せず、あなたが言ったとおりにしなさい。
しかし、その前に、私のために、そのすこしの麦粉で小さいパンを作り、灰の下でこれを焼いて、持って来てください。
そうしてから、あなたとあなたの子のために、パンを作りなさい。なぜならば、イスラエルの神なる主は、『主が地上に雨を降らせ給うその日まで、この壷中の麦粉は決して尽きず、小さき器の中の油は決して減らない』」と申したが、果たしてそのとおりになった。
8
この歴史談は、天主が、貧民に対して愛徳を行う者に、時によっては現世の利益をもってさえ、御報いになるということを教えるのである。
9
上段の左方の角に書いてあるのは、ひとりの婦人が、貧しき者に施しをするところである。
◎病人の訪問
10
第ニの肉身的慈善事業は、病人を訪問することである。
11
このことは、左方に、福音書中の善きサマリア人をもって現してある。我が主イエズス キリストがおっしゃった。
善きサマリア人のたとえ話(聖ルカ福音書 第10章25節ー37節)
ひとりの律法の専門家が立ち上がり、イエズスを試みようとして、
「先生、永遠のいのちをいただくためには、何をしなければなりませんか」と言った。
そこでイエズスは
「律法にはなんと書いてあるか。
あなたはどう読んでいるのか」と仰せになった。
彼は答えて、
「『心を尽し、精神を尽くし、力を尽くし、思いを尽くしてあなたの神である主を愛せよ
また、隣人をあなた自身のように愛せよ』とあります」と言った。
イエズスは、
「あなたの答えは正しい。
それを実行しなさい。
そうすれば、生きるであろう。」
と仰せになった。すると、彼は自分の立場を弁明しようと思って、イエズスに
「わたくしの隣人とはだれですか」
と言った。イエズスはこれに答えて、次のように仰せになった。
「ある人がエルサレムからエリコに下って行く途中、強盗に襲われた。
彼らはその人の着物をはぎとり、打ちのめし、半殺しにしたまま行ってしまった。
すると、一人の祭司がたまたまその道を下って来たが、その人を見て、道の向こう側を通って行った。
また、同じく、一人のレビ人も道の向こう側を通って行った。
ところが、旅をしていたあるサマリア人が、その人のそばまで来て、その人を見て哀れに思い、近寄って、傷口に油とぶどう酒とを注ぎ、
包帯をしてやった。
それから、自分のロバに乗せて宿屋に連れて行き、介抱した。
その翌日、サマリア人はデナリ銀貨2枚を取り出して宿屋の主人に渡し、
『この人を介抱してください。費用がもっとかかったら、帰って来たときに支払います。』と言った。
さて、あなたはこの3人のうち、だれが、強盗に襲われた人に対して隣人としてふるまったと思うか。」
律法の専門家が
「あわれみをほどこした人です」
と言うと、イエズスは、
「では、あなたも行って、同じようにしなさい」
と仰せになった。(ルカ福音書引用終わり)
12
下段の左方の角に書いてあるのは、一人の博愛会童貞女が、病人を看護しているところである。
◎旅客の優待
13
第三、肉身的慈善事業は、旅客を優待することである。
14
このことは、下段に、アブラハムが、ソドムとゴモラとを滅ぼしに行く天使等をもてなすところが書いて示してある。
(創世記第18章参照)
15
下段の右方の角に書いてあるのは、修士が旅客を優待するところである。
◎死者の埋葬
16
第4の肉身的慈善事業は、死者を埋葬することである。
17
このことは、中段の右方に、トビヤが、自分とともに捕虜となった同国人の一人を埋葬しているところを書いて示してある。
(トビヤ書参照)
18
上段の右方の角に書いてあるのは、一人の司祭が、唯今埋葬した死者の上に、聖水を注ぐところである。
◎絵の説明
1
慈善とは、他人の不幸に同情し、かつ、これを慰め助ける徳である。
2
慈善事業には、肉身的、精神的の2種がある。
3
肉身的慈善事業とは、他人の肉身を扶助する事業である。
4
肉身的慈善事業のうち、主要なものは、
貧民の救助、
病人の訪問、
旅人の優待、
死者の埋葬
などである。
5
この図には、肉身的慈善事業が書いてある。
◎貧民の救助のこと
6
第一の肉身的慈善事業は、貧民を救うことである。
7
上段に書いてあるのは、預言者エリヤが、サレフタの未亡人の油と小麦粉をふやすところである。
この事柄は、次のとおりである。
イスラエル国が飢饉で非常に困っていたとき、エリヤは天主の御命令によって、シドンの国の、サレフタへ行き、市街の入り口に着いたとき、枯れ木を拾っている一人の寡婦に出会った。エリヤは未亡人を呼び止めて、
「のどが渇いたから、水を一杯ください。」と申した。
寡婦は水を汲みに行こうとすると、
「どうか、パンも少し持って来てください」とまた申した。
寡婦はこれに答えて、
「あなたの神なる主は祝せられ給え、わたしの壷の中に掌に入るほどのすこしばかりの麦粉と、瓶の中に少しの油しかありません。
私は、わたしの子と共にそれを食べて、後は飢え死にする覚悟でそのパンを作ろうとおもって、今、枯れ木を拾いに来たのです」
と言いました。
エリヤが答えるには、
「心配せず、あなたが言ったとおりにしなさい。
しかし、その前に、私のために、そのすこしの麦粉で小さいパンを作り、灰の下でこれを焼いて、持って来てください。
そうしてから、あなたとあなたの子のために、パンを作りなさい。なぜならば、イスラエルの神なる主は、『主が地上に雨を降らせ給うその日まで、この壷中の麦粉は決して尽きず、小さき器の中の油は決して減らない』」と申したが、果たしてそのとおりになった。
8
この歴史談は、天主が、貧民に対して愛徳を行う者に、時によっては現世の利益をもってさえ、御報いになるということを教えるのである。
9
上段の左方の角に書いてあるのは、ひとりの婦人が、貧しき者に施しをするところである。
◎病人の訪問
10
第ニの肉身的慈善事業は、病人を訪問することである。
11
このことは、左方に、福音書中の善きサマリア人をもって現してある。我が主イエズス キリストがおっしゃった。
善きサマリア人のたとえ話(聖ルカ福音書 第10章25節ー37節)
ひとりの律法の専門家が立ち上がり、イエズスを試みようとして、
「先生、永遠のいのちをいただくためには、何をしなければなりませんか」と言った。
そこでイエズスは
「律法にはなんと書いてあるか。
あなたはどう読んでいるのか」と仰せになった。
彼は答えて、
「『心を尽し、精神を尽くし、力を尽くし、思いを尽くしてあなたの神である主を愛せよ
また、隣人をあなた自身のように愛せよ』とあります」と言った。
イエズスは、
「あなたの答えは正しい。
それを実行しなさい。
そうすれば、生きるであろう。」
と仰せになった。すると、彼は自分の立場を弁明しようと思って、イエズスに
「わたくしの隣人とはだれですか」
と言った。イエズスはこれに答えて、次のように仰せになった。
「ある人がエルサレムからエリコに下って行く途中、強盗に襲われた。
彼らはその人の着物をはぎとり、打ちのめし、半殺しにしたまま行ってしまった。
すると、一人の祭司がたまたまその道を下って来たが、その人を見て、道の向こう側を通って行った。
また、同じく、一人のレビ人も道の向こう側を通って行った。
ところが、旅をしていたあるサマリア人が、その人のそばまで来て、その人を見て哀れに思い、近寄って、傷口に油とぶどう酒とを注ぎ、
包帯をしてやった。
それから、自分のロバに乗せて宿屋に連れて行き、介抱した。
その翌日、サマリア人はデナリ銀貨2枚を取り出して宿屋の主人に渡し、
『この人を介抱してください。費用がもっとかかったら、帰って来たときに支払います。』と言った。
さて、あなたはこの3人のうち、だれが、強盗に襲われた人に対して隣人としてふるまったと思うか。」
律法の専門家が
「あわれみをほどこした人です」
と言うと、イエズスは、
「では、あなたも行って、同じようにしなさい」
と仰せになった。(ルカ福音書引用終わり)
12
下段の左方の角に書いてあるのは、一人の博愛会童貞女が、病人を看護しているところである。
◎旅客の優待
13
第三、肉身的慈善事業は、旅客を優待することである。
14
このことは、下段に、アブラハムが、ソドムとゴモラとを滅ぼしに行く天使等をもてなすところが書いて示してある。
(創世記第18章参照)
15
下段の右方の角に書いてあるのは、修士が旅客を優待するところである。
◎死者の埋葬
16
第4の肉身的慈善事業は、死者を埋葬することである。
17
このことは、中段の右方に、トビヤが、自分とともに捕虜となった同国人の一人を埋葬しているところを書いて示してある。
(トビヤ書参照)
18
上段の右方の角に書いてあるのは、一人の司祭が、唯今埋葬した死者の上に、聖水を注ぐところである。