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『ばらの聖女 ヴィテルボの聖ローザ』企画:デルコル神父、文:江藤きみえ 12

2017-05-24 10:36:19 | ヴィテルボの聖ローザ
『ばらの聖女 ヴィテルボの聖ローザ』企画:デルコル神父、文:江藤きみえ 12

 天国へのあこがれは、日々つのるばかり、ローザの子どもの頃からの願いは一つ、近くの修道院に入って、かくれて主とだけ話すことでした。でも二度、断られたのです。今は、自分の小さな部屋にかくれて、祈りと苦業と天国の黙想にふけるローザをみんなは忘れることができません。町の人々が行列つくって訪れ、祈りと指導を求めます。

 こうして1年たった1252年2月の終わり、ひどい熱病がおそいました。

「神さまがわたしの願いをきき届けてくださった!」

 喜びにみちてローザは、ありったけの力で賛美歌をうたいだしました。

 最後の告解と聖体拝領! 最後のお別れにおしよせる町の人々! こうして1252年3月6日、もえつくすほどの喜びにみちて、ローザは天のみ国、愛の神にのぼっていきました。

 ローザが帰天して、2~3ケ月もしない頃、町の司教、司祭、市長までのりだして、教皇インノチェンシオ4世に願いました、「どうぞわたしどもの聖女の列福調査をお許しください」

 教皇は、ローザをすばらしい聖女と認めて許しました。第一の段階は、墓を開くことです。1252年11月25日のその日は、枢にも入れす、聖堂の床に穴をほって、一枚の布に包んで葬ってから約1年目、期待されるのは、骨だけです。でも、堀り出されてみると、くさった肉でも、衰れな骸骨でもありません。今息をひきとったかと思われるばかりの、若いローザの美しい遺体! 色さえ変わっていないのです。

「やあ、大変だ!奇跡だ!」

 だれからともなく、感激の叫びがわき起りました。今度は棺におさめられて、同じ場所に葬られると、本格的な列福調査がはじまったのです。


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