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(書評)人類と気候の10万年史

2022-04-18 23:47:42 | 書評
中川 毅 『人類と気候の10万年史』

エピローグ残して、ほぼ聞き終わりました。要約ですが、

あくまで一部です。記憶に残ったこと

・人類史にはC14分析法が用いられるが、しばしば不正確である。ある時期からある時期までのC14の濃度を推定して、逆算していくのだが、C14の濃淡は時代によって不規則に変化することが近年ではわかっている。よって、しばしば数百年から1000年の誤差が出てしまう。

・地球温暖化は8000年前から始まっている。これは、その頃から人類が大規模に森林破壊を始め、そのうち、農耕と、特に水田での大量栽培を始めた為ではないか。水田からは結果として多くのメタンが放出され、メタンは温室効果ガスである。地球の気候史のサイクルを考えると、現代は、そろそろ次の氷期に入らねばならないはずだが、現実には寒冷化どころかあべこべに温暖化が起きている。地球の気候のサイクルによる寒冷化より、特に産業革命以降の人類による温暖化の影響が勝っている為だろう。

・氷期末期からその後しばらくの間、人類は農耕を発明していたが、なかなか広まらなかった。8000年前ごろから、爆発的に広まった。安定な気候では、農耕は非常に優れた食糧獲得手段である。しかし、天候不順が常識的な気候では、その逆である。7年異常気象による不作が続き、翌年、天候が回復し豊作、また翌年は不作、その後は、豊作と不作が一年おきに続く・・・。そんな気候サイクルが起きたら、古代社会はどうなるだろう。まず維持が不可能だ。しかし、狩猟採集生活はそうではない。天候不順があっても、それに耐性を持つ動植物は必ず繫栄するため、多くの場合、何かしら食糧が手に入る。一面が砂漠化するような極端な異常気象が起これば別だが、そのような場合でも、狩猟採集民は気候がまともな土地に移動ができる。農耕定住民はそうではない。よって、天候不順が常識であった氷期においては、狩猟採集の方が農耕よりもむしろ優れた食糧獲得手段だった。


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