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(書評)リチャード・セイラー『行動経済学の逆襲 上巻』

2023-09-01 14:11:28 | 書評
たまには、こういう記事もと…。最近、読んだ本の書評です

(書評)リチャード・セイラー『行動経済学の逆襲 上巻』

 一言で言うと、アニマルスピリッツの解説。著者はノーベル賞を受賞した米国の経済学者

 経済は、お金と心理学と動機が絡み合って動く。その例として、以下のような話を紹介

・当初、クレジットカードを使用した場合の売値は、店頭で買った場合よりも高かった。これでは、カードが使われないので、カード会社は加盟店に圧力をかけ、見かけ上の売値が同じになるように強要した

・筆者が経済学の講師として、学生たちにテストをしたところ、難しすぎるという苦情が相次いだ。難しい問題をそれなりに出したのは、経済学に本当に理解のある学生がどれだけいるか知りたかったため。しかし、これでは、教師の地位が危ういので、後期のテストから一計を案じた。テストの点数を137点満点にした。学生の得点分布は、137分の100すると殆ど変わらなかったが、学生たちは満悦。90点や100点が相次いだから。学生たちは、容易に騙された。このようなものも、行動経済学を使用した一例だとする。

・筆者はスキー場の経営改善を依頼された。そこで考え出したのは、地元客用に前売り回数券を当日価格の4割引きで売る。前売り券は、スキー場が開くはるか前の10月までに買わないといけない。大いに売れたが、実際に使われた前売り券は、販売した分の6割。要するに、損害を出すことなく、冬季シーズンの利益を4か月早く利確するシステムを作ることができた。その他、いろんな方法で、筆者はスキー場の再生に成功

・子供たちに、今、このお菓子を我慢したら、その何倍ものお菓子を、と約束。お皿にそのお菓子を盛った時、子供たちが我慢できたのは、平均1分半。お菓子を隠すなど、環境を変えると、我慢ができる時間の長さも変わってきた。なお、我慢ができた子供は、そうでない子供に比べて、高学歴になることが多かった。

 あとは、何でしたっけ?他沢山、書いてましたが、思い出したら、また書きます。そんな話を並べて、経済と心理学と動機付けがいかに関連があるかをいろいろと書いていました。なお、アニマルスピリッツとは経済学用語で、人は必ずしも合理的に動くとは限らず、感情や願望や環境的原因などにより、しばしば不合理に動くというもの。要するに、けだものの心を人は何割か宿しています、ということ




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