M.シュナウザー・チェルト君のパパ、「てつんどの独り言」 

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「逃げるは恥だが役に立つ」の考察

2017-01-15 | エッセイ



 TBSの久しぶりのヒットとなったドラマ、「逃げるは恥だが役にたつ」が高視聴率で終わり、影響を受けた若者から懐かしがられていると聞く。



 <TBS 逃げるは恥だが役に立つ HPより借用>

 僕は全部ではないが、見ていた部分から感じたこと、思ったことを、僕の解釈で書いてみる。

 結論からいうと、現在の若者たちに対して、このドラマの持つ意味は、「恋愛教則本」とでもいえるハウツー・マニュアル、恋愛教本と理解した。つまり、出会いから恋愛結婚に至る基本的技法を、初歩から段階を追って学ぶ教科書なのだ。

 昔は普通に経験した異性との接触、経験、苦悩、挫折、再チャレンジなどの身体的接触で、生身の人間として学んでいた。もちろん心的衝動に押されて。しかし今の若者は、その両方を無くして、ヴァーチャルの世界に住んでいるようだ。昔でいえば、オタク、一歩手前にいる大多数の若者へのテキストではないのだろうか。

 僕の接する若者たちは、表面的には人間関係を作ってはいるが、非常にあいまいな距離を持っていると感じている。それは、おそらく、感情を体で表現することの怖さに怯えているのだ。たとえばハグ。もっとも入門的な肉体的接触で得られる繋がり。さらには、汗っぽさ、温かさ、柔らかさ、跳ね返る弾力、熱っぽさ、息きづかいなどの感触に裏打ちされた経験は、まれなようだ。

 おそらくは、感情的な、もしくは動物的な衝動で行動すると、相手が傷つく、また自分が傷つく。それが怖いのだろう。結果として、トライ アンド エラーを試す勇気がない。端的に言うと、失敗が怖いのですくんでいるのだ。

 あるデータを見ると、そのあたりが見えてくる。特に男の子に見られる傾向は、いわゆるママゴンの支配下に置かれるのに慣れてしまったのだろう。何しろ、大学の卒業式、入社式まで親がついてくるのが、恥ずかしくない世の中になってしまっている。僕たちの頃だったら、精神的に独立していて、恥ずかしいから「やめろ」と親に言っただろう。

 こんな驚くようなデータがある。それは男性の童貞率だ。

 男性の20歳代のそれは40%、30歳代で25%(四人に一人)、40歳代でも10%というから驚きだ。生身の女性との付き合いができない結果の数字だと解釈できる。セックスなんて怖いのだ。セックスはできないのだ。昔は自分で本を読み、自分で想像を膨らませ、やってみる勇気を持ったものだ。しかし、こういう行動がなくなったようだ。

 女性を知る方法が、生身の体験ではなく、ヴァーチャルの世界になって、本物の身体を持った生身の女性を知らなくなったのだろう。一方、女性の方が行動的だと言えるかもしれない。

 特に団塊の世代の子供たちは、父親との接触が少なく、母親に育てられたから、男の視点で女を見ることを知らないようだ。女性はある意味、怖い存在なのだろう。

 そんなことから、知り合ってから、結婚に至るまでの、教則本=このドラマが歓迎されたのだと思う。



<進展のステップの図>

 ドラマの流れで見ていくと、女性が契約社員として、童貞の男の世界にかかわり、♂♀の関係に入っていく。しかもそれは、内からではなく、外からの進行設定になっている。つまり、衝動ではなく、環境設定から始まって、自分自身の感情の分からない男が、物理的なハグに初めての接触を体験する。そして、同居人の関係まで育つ。さらには、他の男と彼女の仕事のシェアで感情が刺激され、恋人同士の関係が深まる。

 巧まれた社員旅行で疑似恋人を経験し、ハグから、キスへと入り込んでいく。つまり、感情の世界へ、幸せの世界へやっと足を踏み入れる。そして、恋人同士の甘い生活になり、最終的にはセックスにたどり着き、結婚のプロポーズへと進む。

 こう見てくると、やはり教則本だ、マニュアルだといっても、あながち、見当外れではないと思う。

 今のままでは、日本は衰亡の方向に、確実に向かっている。

 総務省の統計局のデータ(平成25年10月)がそれを物語っている。





 

<データx3>

 今から30年後には、人口は1億人を切り、100年後には、4千万人まで落ちていくという推定がある。先に述べた、童貞率の高さを思うと、この問題はかなり厄介だ。

 大人の人口が増えるには、最低30年はかかるとみるべきだろう。それは、今、結婚していて、すぐ子供が誕生するという想定での話だ。こうしてみると、日本の人口が1億人を切るのは、避けて通れないようだ。

 教則本が効果を題してくれればいいのだが…。
 若い皆さん、自分で考えてみてください。



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