ミラノと言えば、ドゥオモ。そして、ヴィットリオ・エマニュエルのガレリアが有名だ。僕もミラノに行くたびに必ず訪れている。ミラノに帰ってきたという実感を、僕が持つために必要な儀式だ。今回も、ミラノ滞在の最初の日と、最後の締めになった。

<ガレリア入り口>
今回、ガレリアの異空間を見ることが出来た。「コリエーレ・デラ・セーラ」というミラノの新聞の電子版を、日本で毎日眺めている。そこで拾った記事が、今回の新しい体験の切掛けになった。
ミラノを訪れる日本人の99%の人が、ミラノのガレリアは見ているに違いない。しかし、この異空間のガレリアを見たことのある人は、まだ少ないと思う。日本の最新のガイドブックにも、まだ載っていない。
この新聞によると、EXPO2015に合わせて、この新しいガレリア・ルートが作られたとある。普通はガレリアと言えば、鉄骨とガラスでできたドームの下から、東西南北に走る回廊の天井と、その下のミラノの超有名店を見ていることになる。しかし、今回のガレリア・ルートは、上からガレリアが見られるという。次にミラノに行くことが出来たら、絶対に歩いてみたいと思っていた空間だった。

<ガレリア内部>
僕がミラノに着いた翌日の時差ボケの日、ガレリアの中央に恰好のいいお巡りさんが2名いて暇そうだったから、ガレリアを上から見られる通路があると聞いたのだが…と訊いてみた。答えはすぐに帰ってきた。ガレリアの中心から、西へ向かって、最初の角を左に曲がって100mも歩けば、左側に入り口があると教えてくれた。すぐわかるよと付け加えて、笑ってくれた。
あった。しかし、そこにはSeven Stars Hotelとある。ドアを開けて、コンシエルジュにガレリアの上を歩きたいのだが…というと、ティケットを差し出してくれた。エレベーターで、最上階まで登る。ドアを開けたら、ガレリアの上に出た。
ちょっと目算が狂った。僕はガレリア内部の上のほうから、目の下にガレリアが見られると思っていたのだが、ガレリアの屋根の上だった。だからガレリアの内部は見られない。ガレリアの内部を歩いている人とか、ライオンの局所の上でくるりと回っている人などを、上から観察したかったのだが、それはできなかった。しかし、そこには異空間のガレリアが広がっていた。

<ガレリアの上の通路>
ガレリアの上に、鉄製の通路が作られていて、そこを歩くわけだ。
普通は見えない角度からのドゥオモ広場とか、ガレリアの上からのアルプスとか、ドゥオモとかが、新しい視角で見ることが出来る。

<ガレリアの上からのドゥオモ広場>
驚いたのは、鉄でできたガレリアの中央のクーポラがとても傷んでいたことだ。こんな痛々しいガレリアは予想していなかった。びっくりした。早急に修理を開始しなければ、もっと傷が深くなると思った。クーポラの基部に鉄の錆が出ているのだ。これはまずいや、と言葉が出た。

<中央のクーポラ>
ガレリアの上を歩き回ってみることが出来た。みんなが見ているガレリアに合わせて、ほとんど同じ通路が屋上に作ってある。今、ガレリアのどのあたりを歩いているのかは簡単に分かる感じだ。

<ドゥオモの姿:遠景>
こんな高さでドゥオモを見たことがない。すごい体験だった。帰りのエレベーターは、五つ星のホテル、Seven Star Hotelの内部にあった。ちょとどぎまぎしながら降りたらフロントがにっこり笑ってくれた。
ガレリアに行くと、必ず行く店がある。それは本屋さん。僕が初めてミラノに来た47年前からある店だ。ガレリアの中は高級な店ばかりで、僕が入れる店は限られている。その数少ない店の一つ、Rizzoliだ。懐かしくて、ミラノに来たら必ず寄ることにしている。

<座り読みをする人たち>
店の展示も楽しくなっていた。しかも、昔は禁止されていた立ち読みが、堂々とできるつくりになっていた。

<新感覚の展示>
毎年のガレリアへの出店審査で、この店が合格し続けることを祈って外に出た。この毎年の出店審査で、数年前にマクドナルドが、ガレリアから追い出されたのを思い出した。それほど、ガレリアの中に店を持ち続けることは大変な事なのだ。もちろん、観光客の波はそんなことは知らないで、ガレリアの中を流れている。

<手元にあるオックスフォード伊英辞書>
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