僕はもともと、物理的な物に対する欲求は強くはない。それは、僕自身が育った家庭が裕福でなかったことの後遺症かもしれない。
とにかく、大金を払って、みんなに自慢できるようなものを持つような欲求はまったく無い。だが、自分が身の回りに置いておきたいと思う、気に入ったものたちはある。
この事を書こうと思ったきっかけ。それは孫が、今年小学4年生になり、その妹が小学校に入学したので、新入学の何かお祝い物を…と思ったことだ。
下のチビにだけプレゼントするのもなぁと思って、結果として4年生の孫に選んだのは、ペリカンの万年筆。といっても、大人用の何万円もする、あのペリカンではない。ペリカンが作っているペリカーノ・ジュニアという万年筆への入門の品。メーカーは、ペリカン。僕自身が高校生の頃、憧れた大人のしるし、ドイツの万年筆だ。孫には、美しいロイヤルブルーのインク・カートリッジをつけて、プレゼントした。
あの喜びを、もう4年生だから味わってもらってもいいだろうと、娘にも相談せずに僕が決めた。その子は喜んでくれて、会って食事をしているあいだじゅう夢中になって、インクの出具合、書く角度などを試していた。おそらく、大人の仲間入りが出来たとの思いと、妹に対するお姉ちゃんとしての優越感もあって、喜んでいたのだと思う。
僕は一言、「インクは液体だから、ボールペンのように乱暴に使うことはできないよ。
シャツなどにインクの染みをつけないようにしなけりゃならないよ…」とだけ言った。
これがきっかけで、僕のものに対するこだわりは何なのだろうと、リストアップしてみた。
・万年筆:ペリカン モンブラン ウオーターマン

ドイツの万年筆は高くてなかなか買えなくて、銀座の伊東屋さんで、きらびやかなショーケースの中に並んでいるのを眺めていた。ペリカンを買ったのは、フランクフルトのDuty Free shopが最初。30歳にはなっていたと思う。でも高かった。
・ボールペン:ルイジ・コラーニ(ペリカン) ラミー ウオーターマン

ルイジ・コラーニは、車のデザインで知られた、美しい形をうむデザイナー。ボールペンも美しい。ラミーはちょっといたずら心がある。
・パイプ:ピーターソン シャコム ダンヒル サヴィネッリ ブッショカン 手作り
もうタバコをやめて25年くらい。だから、もうパイプは手元にない。ブログにも出てくるKTのところにある。彼も脳こうそくで、ホームに入っているから、手元には無いだろう。
銀座に出る度に、菊水がまだあるかって確かめている。あれば安心。何時だったか、がんばってほしいと店の人に伝えた。手作りは、ブライヤーの原木を買って作ったのだから、入れ込みようは自明。

<この写真は、flickerよりJ. Shainskyさんのパイプをお借りしました>

・腕時計:ポルシェ・デザイン コルム
ロレックスやオメガ、さらにピアジェとかバセロンには全く興味がないけれど、この二つのブランドには興味があった。香港に6週間いた頃、カオルーンで探してみたが、高くて手が出ない。だから、今も僕のところには憧れだけが残っている。僕が持っているのは、スイス国鉄の使っている時計と同じデザインのクオーツだ。

・ネクタイ:ペイズリー
昔から、ペイズリーに決まっている。一時、全く見かけなくなったけれど、10年周期ぐらいで出回ってくるので、今の僕の20本は、お値打ち品(?)。ストライプはちょっと…ね。
・ウイスキーとジン:タラモアデュウとジュネバー
アイルランドのこのウイスキー、タラモアデゥウはとてもいい。チーバスリーガルにも劣らない深みと軽さがある。Whiskyではなくて、Whiskeyと綴ってある。
ジンは大好きだ。(だった?)今は飲めない。ジュネバーはオランダのジン。独特の風味があって、奥深い。入れ物にも惚れている。
・カクテル:マルガリータとヴェルモット
テキーラベースのマルガリータはクラッシュした氷と、塩とがとてもいい。ヴェルモットは、もちろんジンベース。しかし、心臓君の問題があるから、楽には手が出ない。困ったものだ。
・スケッチブック:Gekkoso
何と言ってもスケッチブックGekkosoだ。僕の思いでのスケッチブックは、全て Gekkoso。なんといっても、スケッチブックはGekkoso。
そうそう、最初の話に戻ると、小学校への新入学の下の孫には、パイロットが最近発売し始めたゲル状のクレヨン、24色。女性の口紅のように、上端をクルリと回せば新しい芯が出てくる。彼女も喜んで試し描きを描いてくれた。孫が一人遊びをしてくれたので、おかげで、娘とは大人の話が出来た。
追伸:
車については、僕の好みがあるのだけれど、別のエッセイで書いているから、重複は嫌なのでここでは省略します。
参照:HP
http://tetsundojp.wix.com/world-of-tetsundo
⇒ブログの側にある、「本にならなかった短編」の中の「自分史を映しだす車たち」2編。
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