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蔵馬ウケネタ、日常のことなど思った事を綴る。

甘い傷/飛蔵プチ小説

2018年12月19日 23時04分46秒 | 蔵馬受けblog内小説


電車でふと、「飛影の傷をなめる蔵馬って良い構図だよな」と思ったのでちょっと
書いてみました、飛影と蔵馬はお互いに心配し合ってるだろうけど、
蔵馬からの気持ちを書いてみたいなと
思ったのです。

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「蔵馬」
甘く囁くから、吐息が蔵馬を包み込んだ。
その腕が強く、蔵馬を抱きしめたから、蔵馬は力を抜いたのだ。
数ヶ月ぶりの飛影の温もり。
部屋の乾いた空気が、一瞬で暖かくなっていた。冬の夜。
もう数ヶ月会えていなかった飛影の、声だ。
僅かな温もりで、冬の空気も消えるようだ。
うしろから、抱きしめる飛影に、
蔵馬は振り向いた。
と、その目が細められた。
「っ、飛影!」
ガッと、肩を掴まれた飛影が呻く番だった、唐突に、蔵馬は飛影を押さえつけた。
「ちょっと!」
叫ぶように、蔵馬は飛影の黒衣を捲った。
「見せて!」
一気に黒衣を剥がしていく。
「チッ」
言ったのは飛影の方だった。
気づかれたくなかった。そんなこと無理だとわかっていても。明らかに、血のにおいが
している。鉄に似たにおい。蔵馬は、それを見てまた目を細めた。
「どうして言わなかったの!」
それには、答えられなかった。そんな表情するから。そして蔵馬がこうなると逃げられはしない。
声は強いのに、触れた指は弱々しく震えた。
「これ…直ぐ消したら残らない毒だよ」
小さく笑って、蔵馬は言った。飛影が肩にかけていた手を外しその腕を握った。
「大丈夫…俺が、消してあげる」
生ぬるいものが、赤い傷に触れた。ジクジクと、蔵馬の唇が傷をなぞるように舐め上げた。
「んっ」
顔を伏せて、ゆるくゆるく、蔵馬は舌を這わせた。
ジュルと、何度も音がした。
散らばる赤い傷に指で触れて、蔵馬は
しゃがみ込んだ。
熱を含んだ蔵馬の唇が、吸い付いていく。
「ふっ…」
何も言えず、飛影はそれを見ていた。
動くたび流れる黒髪が切なく見えた。ちゅるちゅると、蔵馬は吸い上げて赤の塊を導いた。
薄い唇に、小さな血の塊が、転がっていた。キリッと、蔵馬は飛影を見上げた。怒っているような
悲しんでいるような…感情が読み取れない。快い感覚ではないことは、さすがに飛影でもわかった。
でも、悪いことをしているわけではない。魔界に生きるのだから怪我くらい当たり前だ、そう言い
そうになって、何故か言えなかった。
「んっ」
手のひらにそれを落とすと、蔵馬は血の塊に強く吸い付いていく。
「もう…大丈夫だよ」
飛影を見上げる蔵馬の瞳は、甘く揺れていた。
「また、傷ができたら」
決意を含んで、蔵馬は飛影の腕に顔を寄せた。
「俺が受け止めるよ」
「ばか…」
飛影は、ばか、としか言えなかった。手に負えないと、飛影は思った。こいつの言葉を拒む強さを自分は
持ち合わせていない。手に負えない。
「そうしたら…また来る」
言うと、蔵馬は飛影の腕にからだを預けた。
「もう…血だらけにならないでよ」
分かったという代わりに、唇を塞いだ。

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飛影は飛影で、蔵馬になら
流されてしまっても良いかなと思っている
そんな気がするので、蔵馬が飛影の傷をなめるのって、
なんだか艶めいていてドキドキします。









震えた