学びの薗 出た日のためにとシャンソンを 教えてくれし 尼(ナン)のような師
オー・ソレミオ アベ・マリア モルドゥ 惜しげなく歌って見せし 師の眼差しよ
三曲の アベ・マリアの絶唱に 音楽室が熱くもえた日
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シューベルトの美しいアヴェ・マリアを聴くと、もう一つのアヴェマリアが思い出されます。
グノーのアヴェ・マリアです。
高校時代、選択科目で音楽を取っていました。講師のT先生は六十歳くらいに見えましたが、
グレイの髪を引き詰めにして、化粧気はいっさいなし。
質素でいくらかくたびれた黒や灰色のジャケットとタイトスカート、どっしりした革靴。大きな丸いメガネ。
まるで、修道女のようでした。
しかし、その声量はすばらしく、生の声は四階の音楽室から三階二階の教室にまで聞こえてくるのです。
聞けば上野の音楽学校の声楽家を首席で卒業され、当時も、
音大を受けるような方が自家用車(当時はそういう言い方があったのです)差し回しで、
教えを乞うくらいの格の高い先生だとか。
先生は発声の基礎から、音楽の聴き方などを何気ない話として教えてくださいました。
また、シャンソンを教えてくれたり、
ザ・ピーナッツのハーモニーのすばらしさを話題にしたりとおよそ、音楽については
もし、時間があれば、いくらでもお話しができる感じでした。
印象に残っているのは、先生のご自身の独唱です。ピアノの弾ける生徒に伴奏させて、
シューベルトのアヴェ・マリアとグノーのアヴェ・マリアと、ブラームスのアヴェ・マリアを
歌い比べてくださいました。
その圧倒的な歌声は、いまだに脳裏にたたまれています。
グノーのアヴェ・マリアをU-tubeで見つけました。
バッハ~グノー 「アヴェ・マリア」
Diana Damrau ~ Ave Maria (Bach/Gounod)