ノアの小窓から

日々の思いを祈りとともに語りたい

花を切る

2014年11月16日 | 自然





         ごめんなさい まだみずみずしい 葉をむしり 
                           瓶に合わせて 菊活ける幸(さち) 





          私の幸せって、こういう自分の「横暴」に支えられているんだよね、と、
         ちょっと切ないうれしさです。

         でも、食べ物も、着るものも、仕事も、お付き合いも、
         みんな、そういう交換があるような・・・。

         こんなセンチメンタリズムこそ傲慢かもしれません。
         神様は、すべてをご承知で天地万物をお造りになったはずですから。

                  ◎   ◎   ◎


          これも、一年前の記事です。
          好きな歌です。
          少々収まりの悪い葉でも、なんだか歪んだ花でも、葉や花を切りすてるのは、
          あまり好きにはなれないのです。若いころから、いまも。
          だから、花を活けるのは下手です。
 






スリリングな季節

2014年11月02日 | 自然





        バスに乗って帰る道を、ゆっくりと歩いて帰る。

        緩やかな坂道に真っ赤な葉っぱが惜しげもなく散っている。

        うるしで塗り込めたような真紅!!

          ワーォ

        拾わない理由はない。

        後ろから追いついてきた女性が、

       「まあ、たくさん」

       「きつねに化かされているのかもしれないんですけどね」

        恥ずかしくて、言い訳する。

       「そうなんですよね。道に落ちてるときはきれいんだけれど」

             
            
         確かに、家に帰ってくると、魔法のとけたシンデレラ?

         もっと、あでやかで、もっと、蠱惑的だったはずだけど、

         スリリングな秋に、

         今日もまた、ちょっとめまいを起こしてしまいました。




                   





        

        

        

        

冷たい花

2014年10月29日 | 自然




       花って冷たいのね。
       いま、初めて気がついたように友人が言うのです。

       ダリヤ園の中です。

       こんなにきつい日差しでも、だから、日焼けしないのね。

       葉っぱも冷たいよ。
       私は、葉っぱを指でゆっくり撫でながら言います。
       ほんと、どうして、こんなに強い日差しの中で、ひんやりしていられるのかしら。


                  ★★  


       忘れがたい場面があります。

       映画「ラストエンペラー」の中で、清朝最後の皇帝・愛新覚羅溥儀 の
       皇后・婉容がバーティの広間に飾られているカトレアの花を食べるのです。

       溥儀は、すでに清朝皇帝の地位を失い、日本軍による傀儡政府・満州国の皇帝に、据えられていました。
       溥儀の不安定で複雑な運命に従う皇后・ 婉容は、皇帝よりも
       もっと孤独な女の葛藤の中を生きていました。

       (どうやら)ホモセクシャルである夫とは夫婦関係はなく、彼女は美しいお飾りでした。
  
       
       他方、溥儀の弟・溥傑は、侯爵嵯峨実勝の娘・浩と結婚し、パーティの席に、
       臨月腹の妻を伴って現れます。


       婉容は弟嫁を見つめながら、溥儀につぶやくのです。
       「あたしたちも子供が欲しいわ」

       それから、そばのカトレアの花をちぎって、食べ始めるのです。
       むしゃむしゃと、まるでサラダのなかのクレソンをつまみ上げて、口に放り込むように。


                ★  ★  ★


       確かに、胸が燃えそうなとき、冷たい花びらは、気持ちを静めるのかもしれない。
       高価なカトレアの花をむしりとることなど、私にはできないけれど、

       清朝最後の皇帝の夫人とはいっても、婉容さんは、皇后だったのです。

       と、今ごろ、納得なのです。