久しぶりに一冊の本を、三時間で読み切りました。
池上敏也
揺れ惑いおり、妻逝きて
末期がんの妻を、自宅で介護し看取った方の物語です。
張りつめた重い世界――。
でも、
そっけない語り口が織りなす世界は、
静謐で、暗くなく、感傷的でもなく、
一言で定義するなら、
きずなの物語でしょうか。
夫婦のきずなと言った言葉さえゆるい、
人間同士の根源的なきずな、
他の誰もが立ち入ることができないたましいのきずなの深みに
招き入れられて、
ただ、ただ、吐息をついてしまいました。
とはいえ、ここまでのきずなは、夫婦でなければ到達できないもの。
それも、終生添い遂げる長い長い結婚生活です。