今年は例年より早く、3月初めからヒノキが始まり、初めのうちはそんなに反応している人はいなかったのですが、先週あたりから「花粉のキャパオーバー」によって、スギよりもヒノキに反応している人が増えてます。
毎月の注意点にも挙げたように、スギ・ヒノキは「トマト」と交差しますから、花粉症状に限らず、この時期不快症状のある人は、まずトマトを控えてみて変化があるかどうか、試してみましょう。トマト自体にアレルギーがあれば、食べていても・いなくてもスギ・ヒノキ花粉を吸い込めばアレルギー反応は出ますが、花粉は避けられないので、やはりトマトを食べていないほうが影響を抑えることができます。
またシラカバ科(1~6月)・イネ科(5~10月)・キク科(8~11月)に共通して交差するのが「セロリ」です。
ほぼ食べないという人でもアレルギーがあれば、脳が花粉とセロリを勘違いして反応してしまいますので、対応花粉時期(1~11月=ほぼ一年中)には何かしらの問題が起こっています。
そして「花粉症にはビタミンDが効く」という話を聞いたことはないでしょうか?
Dも効くじゃなくて、「Dが効く」と言えるだけの証拠は、様々な書籍が出ていることからもわかるでしょう。
もちろん、「ビタミンDにアレルギーがない人は」という前書きが必要だと思いますが。。。
ビタミンDはカルシウムやビタミンK、そしてタンパク質と共に骨折・骨粗鬆・くる病(小児)・骨軟化症(大人)・フレイル・イタイイタイ病に関係することは知られていますが、酸性体質、慢性炎症性疾患、各種抗原抗体・免疫反応にも関与しています。
その他、ビタミンDの受容体は以下に挙げるようにほぼ全身の器官・細胞にありますから、「すべての臓器がビタミンDを必要としている」という事になります。
脳、神経、心筋、肝臓、脾臓、肺、腎臓、副腎、胃、大腸、小腸、膵臓、甲状腺、副甲状腺、前立腺、卵巣、子宮、睾丸、副睾丸、乳房、耳下腺、胎盤、胸腺、筋肉、骨、骨髄、軟骨、皮膚、脂肪、網膜、下垂体、毛のう、血管、リンパ球、骨芽細胞など (「ビタミンDは長寿ホルモン」斎藤嘉美著より)
骨粗鬆はもちろんのこと、アレルギーを含む各種疾患に「ビタミンD不足」は関与する、とも言いかえることができるでしょう。
ビタミンDが足りないと粘膜という免疫最前線の機能低下により、必要なものが取り込まれず、不必要なものが取り込まれ、不要なものが排出できないという状況になり、その結果、様々な病態に繋がっていきます。
ビタミンDは、①食事から摂る、➁紫外線を浴びる(日光浴・日焼けサロン)、③サプリメントを摂ることで補給できます。
しかし冬季は太陽が弱く、その上近年は「ステイホーム」が習慣になっていたため、②からの恩恵は普通の生活ではあまり得られていません。
さらに美容目的で積極的に肌を隠している人、日焼け止めをしっかり塗っている人は、確実に「骨粗鬆・骨軟化症・フレイル予備軍」ですから、食事とサプリメントでしっかり補給しておく必要があります。
ビタミンDを含む食材は魚・魚卵・卵黄・紫外線照射でつくられた干しシイタケ・きくらげ、そして昔懐かしの肝油ドロップなどがあります。
大人の肝油ドロップというものもあるようなので、昔の幼稚園みたいに、老人ホームやデイサービス施設で食べさせたらいいですよね。誤嚥が心配な人や乳幼児なら、ビタミンD3には液体のサプリもあります。
ビタミンDのサプリメントは、こちらで使っているのは、ビタミンD3(5000IU)です。
ビタミンD3はビタミンK2(MK7)と一緒に使う必要がありますが、日本人は納豆・海草を食べる人も多いので、ビタミンK2の補給は食生活次第だと思います。
しかし、生理出血が多い・長引く人、鼻血・眼球出血・痔出血・血尿・下血がある人といった具合に、出血が関わる症状が何かしらあるなら、今および将来の病理対策・予防にビタミンD3とビタミンK2(MK7)のサプリは必ずセットで使っておいた方がよいでしょう。(もちろんひどい症状がつづくなら、放置せず専門医に罹り、きちんと病理の有無を確認してください。)
またビタミンDを摂りすぎると、ビタミンAが足りなくなることもあるので、目の症状(ドライアイ・よるものが見えにくいなど)があればビタミンDを減らしたり、ビタミンAやβカロテンを補給してみるのも手です。
そして大事な事は、肉・穀物・野菜類にはほぼビタミンDが含まれていない、ということです。
肉食が増えている近現代において、中高生の血中ビタミンD濃度が低い理由として、食生活における魚離れが進んでいることも、その一因と考えられます。
アレルギー疾患の増加、がんの弱年齢化、自殺者・発達障害の診断・不登校の増加、不妊症・不育症の増加といった「本来ならどんな生活をしていても、《寝れば治る》はずの10~30代」に起きている心身の健康リスクは、日本の将来を考えるうえでも重要課題です。
そしてこれらの全ての問題にまず土台としてのビタミンD不足・欠乏が大きく関与しているのは明らかですから、国を挙げての早急な対応が望まれます。しかし、新型コロナやオリンピックのように国がすぐに動くのは「特定の企業・団体に利権が発生する場合だけ」ですよね。
だからこそ国や他人を当てにせず、自分と自分の家族はまず自分で守るという姿勢は不可欠です。もちろん政治が先導してくれたら嬉しいですので、この人はという信用・信頼できる政治家が皆さんの地元にもしいるなら、どうぞ働きかけてください。
話を戻しますと、「ビタミンDの何が問題か」というなら、まずビタミンDが足りてないという現実をひとりひとりが知らないことが問題なのです。なぜならビタミンDの血中濃度をみるには、25(OH)D(25-ヒドロキシビタミンD)という項目が欠かせないのですが、これは一般的な健康診断項目にはまだ含まれていません。
現代人に不足している3代栄養素は、《ビタミンD》《亜鉛》《マグネシウム》とよく言われますが、これらは健康診断で診てなければ足りているかどうかもわかりませんし、それらの不足による症状も、薬で対処することになります。
2019年7月から「原発性骨粗鬆症」に対して、25(OH)Dは保険適用となっていますので、高齢・女性・最近骨折したことがある…、といった方はかかりつけ医に相談して測ってもらったらいいでしょう。女性の骨粗鬆検査は自治体で補助があるところも多いと思いますので、その際に一緒に調べてもらえるといいですね。(静岡市は30歳以上の女性は500円です)
保険適用外で自費診療でないと測れない採血項目は、ほとんどの人は知りませんから測りません。保険適用のある骨代謝関連検査項目として1,25-水酸化ビタミンD3・カルシウム・リン・副甲状腺ホルモン(PTH)・骨型アルカリフォスファターゼなどがありますが、この項目だけでは、病態を的確に判断できないのです。
ビタミンDは脂溶性ビタミンですから、多すぎも少なすぎもいけませんので、臨床的には、【25(OH)D 50~80ng/ml】が望ましいとされています。測ったことがない、という方はぜひ他のミネラル成分などと共に検査してみてください。
25(OH)Dを全世代に対して保険適用とし、かつ健康診断の必須項目とできたなら、将来国を背負う子供たちのビタミンD不足・欠乏を生まれる前(妊産婦の不足)から解決できていれば、少子化対策にも、そして医療費や休職による個人及び社会的損害の大幅削減に繋がる大きな武器となるでしょう。
でもこれは政治の力でないと変えられませんね。。。産科医や助産師さんたちにも、もっと頑張ってもらいたいところです。
骨粗鬆・骨軟化症に対しては、病院で活性型ビタミンDの薬が処方されます。
アレルギーの観点からいえば、ビタミンDサプリメントも処方薬も、「それ自体にアレルギーがないこと」を確認しましょう。
初めはなくても、使っている中でアレルギー性が出てくることはよくありますから、数か月毎には確認が必要でしょう。
そしてアレルギーが出てくれば、効果は落ちますし、逆効果になることもあるので、必ずアレルギー除去を優先しましょう。
自分と家族を守るためにも、以下のようなビタミンDに関する書籍を読み、正しい知識を身につけておきましょう。
他にもいろいろありますが、とりあえず4つ挙げておきます。
- ビタミンD3奇跡シリーズ Jeff.T.Bowrel 著(洋書と同じ向きに印刷されているので、初めはちょっと読みにくいかも)
- ビタミンDは長寿ホルモン 斎藤嘉美著
- 最高の栄養 満尾正著
- 病気を遠ざける1日1回日光浴! 斎藤糧三著
静岡市のクリニックサイトから
- ①田中消化器科クリニック 血中ビタミンD濃度の季節変化
- ②輝齢(きれい)ハラダクリニック アレルギー・花粉症・免疫強化には「ビタミンD」
どんなことでも、情報を取り入れて、自分の頭で十分咀嚼して、納得できるものを飲み込み、それを自分の体で試す(消化)ことが一番大事ですよ。全員に共通の正解なんてないのですから、自分の正解は人任せにせず自分で探していきましょう。それが、「反省しても、後悔しない」自分を大事にする生き方です。
斉藤 記