達障害や特性のある子に適した、進路とライフプランとは?
7/2(金) 6:45配信・Impress Watch
発達障害の診断を受けている子や、こだわりが強い、落ち着きがないなど、発達に特性があるグレーゾーンの子を持つ保護者にとって、将来への不安は尽きない。通学しなくても卒業資格を得られるオンライン教育など、昨今は選択肢も広がっているが、選択肢が増えることで悩みが深くなることもある。
そんな保護者に向けて、株式会社LITALICOライフ(以下、LITALICOライフ)は、『グレーゾーン向け個性を伸ばす「中学・高校受験」』ウェビナーを開催。子どもの将来のために、親はどこまで準備しておくべきか。個性や得意分野を伸ばすために、どんな進路や環境が適しているのか。ウェビナーの様子をお届けする。
■ 発達障害を持つ子どもの特性を分析し、見極めることが大切
LITALICOライフは、「障害のない社会をつくる」をビジョンに掲げる株式会社LITALICOが手掛けるライフプランニング事業。生まれついての特性や発達障害など、その人に合った進路選択、就労支援を福祉やファイナンスの面からサポートしている。
今回のウェビナーは、そのノウハウを持つLITALICOライフの鈴木健氏が登壇。同氏はライフコンサルタントとして、年間180世帯の個別相談に応じるかたわら、年に90回もの講演をこなし、約3500世帯に向けて勉強会の場を提供している。
ウェビナーの冒頭は「お子さんの特性や個性について教えてください」という鈴木氏の呼びかけから始まった。参加した保護者からは「ADHD傾向がある」「衝動的ではあるが、発想は抜群」「自己肯定感が低い」「漢字ができない」「コミュニケーションが取れない」などさまざまな声が挙がり、「うちの子も同じ」と参加者同士で共感する声も多く聞かれた。
自身もADHDの傾向があると語る鈴木氏は、発達障害の子どもと向き合うには、「個」と「環境」、2つの視点で考えることが大切だと述べた。「特性を持つ子どもたちが抱える生きづらさは、環境によるものが大きい。個と環境の間にある生きづらさを解消することが、障害のない社会につながる」と鈴木氏は語る。
たとえば小学校で教員がクラス全体に向けて指示を出した時、ADHD傾向のある児童は聞き漏らしてしまうことがある。なぜ1回の指示で伝わらないのか、その児童が持つ特性について周囲の理解がないと、注意されたり、“できない子”という不当な評価にもつながりかねない。鈴木氏は「子どもたちの特性は変えられないので、正しく分析し、理解してあげることが大切だ」と述べ、“クラス全員が教員の指示をしっかり聞いていて当たり前”という環境自体こそ課題であり、生きづらさを感じる原因だと語った。
■ ケーススタディから学ぶ、子どもの特性を“個性”として伸ばす環境の選び方
鈴木氏は「個」と「環境」、2つの視点が効果的に働いたケーススタディとして、現在、大学生であるMさんの事例を紹介した。Mさんは小学校5年の時にADHDと診断され、夢中になると周りの声が聞こえない過集中の傾向があった。また、学力は高いものの、型にはまったことが苦手なため、漢字の繰り返し練習に意欲を持てず、担任の評価が下がったこともあったという。
そんなMさんに転機が訪れたのは、中学卒業後に親元を離れて入学した、バリ島のインターナショナルスクールだ。入学したGreen Schoolは多文化、多人種を背景に自己選択を尊重する校風で、授業はすべて選択制。ADHDの特性は変わらないが、生徒を否定せず、良いところを伸ばす環境に身を置いたことで、Mさんは自身の特性について理解し、それをオープンにすることができたという。
その結果、自己決定に自信を持ち、失敗しないように自分の中でPDCAサイクルを回せるようになったMさん。自由度の高い環境に身を置くことで、「自分の可能性をつぶすのはもったいない」と感じるようになり、大学入学後は、教育やデザインに関心を抱き、教育を変えるような仕事につきたいと考えているようだ。
「Mさんのケースで伝えたいのは、“海外留学をしましょう”という話ではない」と鈴木氏。それよりも伝えたいのは、「成功体験を積み重ねること」と「自己決定すること」の大切さだと強調する。
「特性のある子どもたちは行動分析学上、叱られると行動が弱化してしまう傾向にある」と鈴木氏。やみくもに叱っても子どもの特性は変わらず、かえって攻撃性を帯びたり、親や教師とのコミュニケーションを避ける結果になりかねない。たとえば「1時間」という約束を越えてゲームをしていた時、何度も注意をするのではなく、仮に1時間は過ぎていても、自ら進んでやめたことを褒めるのが、成功体験としても大切なのだという。
また「ADHD傾向のある子どもは自分が興味のないことを強制されるとモチベーションが下がる一方、自分が決めたことに関しては高いパフォーマンス力を発揮することができる」と鈴木氏。自分の意思で達成したことを認め、褒めることが子どもたちの自立につながると述べた。
ウェビナーでは、鈴木氏が参加者に「みなさんのお子さんが夢中になること、強みになることは何ですか?」と問いかける場面もあった。「みんなと同じ」ことが求められる環境では、マイノリティとされてしまう子どもたちも、特性を尊重し、伸ばしてくれる環境では優れたスキルとして武器になるのだ。
参加者からは、「決めたことをやり通す力」「絵や工作」といったクリエイティブな内容や、「野球」「虫の研究」「ガンプラ」「バス釣り」「マイクラ」といった夢中になっているものも挙げられた。なかには、「タイタニックが沈没するシーンをマインクラフト内で検証する」「昭和歌謡曲を聞くこと」というユニークな子も。参加者から多くの声が上がり、子どもたちの多様な個性に温かくなる場面もあった。
鈴木氏はこうしたやり取りの中で、「まずは、子どもたちの関心に“いいね!”で肯定してほしい」と伝えた。保護者は、子どもが何かに没頭しているとき、それが進路や職業にどう生かされるのか、という視線で受け止めがちだが、子どもの目線に寄り添って深掘りすることが大切だという。「たとえ、親の目から見るとくだらない動画でも、子どもと一緒になって笑えるくらいの姿勢が良い」と鈴木氏は述べた。
■ 特性に応じた進路選択と、実現するためのライフプランが大切
ウェビナーの後半では、子どもたちの個性を伸ばすためにどんな環境があるのか。子どもの特性に応じたさまざまな進路について紹介された。
鈴木氏は進路を検討するうえで、「子どもを中心に考え、環境のメリット、デメリットを整理すること」「将来、幸せになれるために逆算すること」「子ども自身のやりたいことを尊重し、自己決定を大切にすること」の3点が重要だと述べた。
具体的な進路については、従来の公立、私立中高に加え、昨今は「STEAM教育」や「ものづくり・技術を極める専門教育」「オンライン教育」「長期留学」など、特色ある教育が増えていると紹介。鈴木氏は、その学校自体を勧めているわけではないとしつつ、こうした教育に取り組んでいる学校と各進路の特徴について説明した。
STEAM教育では、1つの事に集中して取り組む、こだわりが強い子が向いているとコメント。プログラミングやクリエイティブな分野に興味を持つ子どもたちに向けて、STEAM教育を取り入れている首都圏の私立校や、さらには愛知県の県立高校などが取り上げられた。
一方、より専門性を高め、現場の近くでものづくりを学べる選択肢として高等専門学校を紹介。中学卒業後、5年一貫教育でエンジニアや研究者を育成する特色や、国公立であれば学費の負担が少ないメリットを挙げた。
オンライン教育では、選択肢の広がりを感じるさまざまな学校を紹介。オンラインでいつ、どこでも授業を受けられるメリットを挙げ、ICT活用に抵抗がない、好きなことや、やりたいことが定まっている子に向いていると述べた。
4つ目の長期留学についていは、多文化の環境になじみやすく、自分の意思がはっきりしている子に向いているとコメントする一方で、特性上、親元から離れて生活することの難しさや金銭面での課題感を指摘。「大事なのは一人ひとりの個性に合わせて進路を選ぶこと」と強調し、日本国内にも通信制学校を始め、発達特性に理解のある学校を探すことは十分可能だと述べた。
一方で、子どもの進学、就職、親の定年、老後など、ライフイベントは家庭によってさまざまであり、そのうえで子どもに適した環境を与えるとなると費用もかかる。3大資金と呼ばれる教育費、住宅費、老後費への備えは、将来を考えるうえで重要な課題だ。
さらに考えておきたいのは、大学卒業後だと鈴木氏。平成30年度の大学卒業者のうち、発達障害のある大学卒業者は、そうでない者と比べて、全体の約4割の学生が卒業しても進学、就職をしない「その他」に分類されている。
つまり、大学卒業すれば、全ての子どもがすぐ自立できるわけではない、ということだ。鈴木氏は、「大学を卒業した後も、子どもが自立するまでの生活費を親が負担する備えが必要になる。その出費は意外に多く見落としがち。こうした費用を備えておくことも重要だ」と述べた。子どもと親、両方のライフプランに沿った準備と対策が大切だといえるだろう。
今回のウェビナーに参加して、鈴木氏が何度も繰り返した「子どもはこの世に生まれた以上、全員が正解」という言葉が強く印象に残った。我が子に少しでも周囲の子どもと異なる点を見つけると、親はつい不安になったり、マイナスな想像をしてしまう。そんな保護者に向けて「どんなに不安で見通しを持てなくても、子どもを中心に考え、適切な環境を準備していけばハッピーな人生になる」という明るいメッセージが与えられたように思う。
定型発達から外れた子どもはマイノリティ、という古い価値観は少しずつ変わり、選択肢も増え、自分の力でより良い環境を引き寄せられる時代になりつつある。今回のウェビナーを主催したLITALICOライフを始め、各所でライフプランニングの講座が開催されている。こうした機会を上⼿く利⽤し、漠然とした不安を現実的な計画に変えていくのが、未来を考えるひとつの⽅法になるだろう。
7/2(金) 6:45配信・Impress Watch
発達障害の診断を受けている子や、こだわりが強い、落ち着きがないなど、発達に特性があるグレーゾーンの子を持つ保護者にとって、将来への不安は尽きない。通学しなくても卒業資格を得られるオンライン教育など、昨今は選択肢も広がっているが、選択肢が増えることで悩みが深くなることもある。
そんな保護者に向けて、株式会社LITALICOライフ(以下、LITALICOライフ)は、『グレーゾーン向け個性を伸ばす「中学・高校受験」』ウェビナーを開催。子どもの将来のために、親はどこまで準備しておくべきか。個性や得意分野を伸ばすために、どんな進路や環境が適しているのか。ウェビナーの様子をお届けする。
■ 発達障害を持つ子どもの特性を分析し、見極めることが大切
LITALICOライフは、「障害のない社会をつくる」をビジョンに掲げる株式会社LITALICOが手掛けるライフプランニング事業。生まれついての特性や発達障害など、その人に合った進路選択、就労支援を福祉やファイナンスの面からサポートしている。
今回のウェビナーは、そのノウハウを持つLITALICOライフの鈴木健氏が登壇。同氏はライフコンサルタントとして、年間180世帯の個別相談に応じるかたわら、年に90回もの講演をこなし、約3500世帯に向けて勉強会の場を提供している。
ウェビナーの冒頭は「お子さんの特性や個性について教えてください」という鈴木氏の呼びかけから始まった。参加した保護者からは「ADHD傾向がある」「衝動的ではあるが、発想は抜群」「自己肯定感が低い」「漢字ができない」「コミュニケーションが取れない」などさまざまな声が挙がり、「うちの子も同じ」と参加者同士で共感する声も多く聞かれた。
自身もADHDの傾向があると語る鈴木氏は、発達障害の子どもと向き合うには、「個」と「環境」、2つの視点で考えることが大切だと述べた。「特性を持つ子どもたちが抱える生きづらさは、環境によるものが大きい。個と環境の間にある生きづらさを解消することが、障害のない社会につながる」と鈴木氏は語る。
たとえば小学校で教員がクラス全体に向けて指示を出した時、ADHD傾向のある児童は聞き漏らしてしまうことがある。なぜ1回の指示で伝わらないのか、その児童が持つ特性について周囲の理解がないと、注意されたり、“できない子”という不当な評価にもつながりかねない。鈴木氏は「子どもたちの特性は変えられないので、正しく分析し、理解してあげることが大切だ」と述べ、“クラス全員が教員の指示をしっかり聞いていて当たり前”という環境自体こそ課題であり、生きづらさを感じる原因だと語った。
■ ケーススタディから学ぶ、子どもの特性を“個性”として伸ばす環境の選び方
鈴木氏は「個」と「環境」、2つの視点が効果的に働いたケーススタディとして、現在、大学生であるMさんの事例を紹介した。Mさんは小学校5年の時にADHDと診断され、夢中になると周りの声が聞こえない過集中の傾向があった。また、学力は高いものの、型にはまったことが苦手なため、漢字の繰り返し練習に意欲を持てず、担任の評価が下がったこともあったという。
そんなMさんに転機が訪れたのは、中学卒業後に親元を離れて入学した、バリ島のインターナショナルスクールだ。入学したGreen Schoolは多文化、多人種を背景に自己選択を尊重する校風で、授業はすべて選択制。ADHDの特性は変わらないが、生徒を否定せず、良いところを伸ばす環境に身を置いたことで、Mさんは自身の特性について理解し、それをオープンにすることができたという。
その結果、自己決定に自信を持ち、失敗しないように自分の中でPDCAサイクルを回せるようになったMさん。自由度の高い環境に身を置くことで、「自分の可能性をつぶすのはもったいない」と感じるようになり、大学入学後は、教育やデザインに関心を抱き、教育を変えるような仕事につきたいと考えているようだ。
「Mさんのケースで伝えたいのは、“海外留学をしましょう”という話ではない」と鈴木氏。それよりも伝えたいのは、「成功体験を積み重ねること」と「自己決定すること」の大切さだと強調する。
「特性のある子どもたちは行動分析学上、叱られると行動が弱化してしまう傾向にある」と鈴木氏。やみくもに叱っても子どもの特性は変わらず、かえって攻撃性を帯びたり、親や教師とのコミュニケーションを避ける結果になりかねない。たとえば「1時間」という約束を越えてゲームをしていた時、何度も注意をするのではなく、仮に1時間は過ぎていても、自ら進んでやめたことを褒めるのが、成功体験としても大切なのだという。
また「ADHD傾向のある子どもは自分が興味のないことを強制されるとモチベーションが下がる一方、自分が決めたことに関しては高いパフォーマンス力を発揮することができる」と鈴木氏。自分の意思で達成したことを認め、褒めることが子どもたちの自立につながると述べた。
ウェビナーでは、鈴木氏が参加者に「みなさんのお子さんが夢中になること、強みになることは何ですか?」と問いかける場面もあった。「みんなと同じ」ことが求められる環境では、マイノリティとされてしまう子どもたちも、特性を尊重し、伸ばしてくれる環境では優れたスキルとして武器になるのだ。
参加者からは、「決めたことをやり通す力」「絵や工作」といったクリエイティブな内容や、「野球」「虫の研究」「ガンプラ」「バス釣り」「マイクラ」といった夢中になっているものも挙げられた。なかには、「タイタニックが沈没するシーンをマインクラフト内で検証する」「昭和歌謡曲を聞くこと」というユニークな子も。参加者から多くの声が上がり、子どもたちの多様な個性に温かくなる場面もあった。
鈴木氏はこうしたやり取りの中で、「まずは、子どもたちの関心に“いいね!”で肯定してほしい」と伝えた。保護者は、子どもが何かに没頭しているとき、それが進路や職業にどう生かされるのか、という視線で受け止めがちだが、子どもの目線に寄り添って深掘りすることが大切だという。「たとえ、親の目から見るとくだらない動画でも、子どもと一緒になって笑えるくらいの姿勢が良い」と鈴木氏は述べた。
■ 特性に応じた進路選択と、実現するためのライフプランが大切
ウェビナーの後半では、子どもたちの個性を伸ばすためにどんな環境があるのか。子どもの特性に応じたさまざまな進路について紹介された。
鈴木氏は進路を検討するうえで、「子どもを中心に考え、環境のメリット、デメリットを整理すること」「将来、幸せになれるために逆算すること」「子ども自身のやりたいことを尊重し、自己決定を大切にすること」の3点が重要だと述べた。
具体的な進路については、従来の公立、私立中高に加え、昨今は「STEAM教育」や「ものづくり・技術を極める専門教育」「オンライン教育」「長期留学」など、特色ある教育が増えていると紹介。鈴木氏は、その学校自体を勧めているわけではないとしつつ、こうした教育に取り組んでいる学校と各進路の特徴について説明した。
STEAM教育では、1つの事に集中して取り組む、こだわりが強い子が向いているとコメント。プログラミングやクリエイティブな分野に興味を持つ子どもたちに向けて、STEAM教育を取り入れている首都圏の私立校や、さらには愛知県の県立高校などが取り上げられた。
一方、より専門性を高め、現場の近くでものづくりを学べる選択肢として高等専門学校を紹介。中学卒業後、5年一貫教育でエンジニアや研究者を育成する特色や、国公立であれば学費の負担が少ないメリットを挙げた。
オンライン教育では、選択肢の広がりを感じるさまざまな学校を紹介。オンラインでいつ、どこでも授業を受けられるメリットを挙げ、ICT活用に抵抗がない、好きなことや、やりたいことが定まっている子に向いていると述べた。
4つ目の長期留学についていは、多文化の環境になじみやすく、自分の意思がはっきりしている子に向いているとコメントする一方で、特性上、親元から離れて生活することの難しさや金銭面での課題感を指摘。「大事なのは一人ひとりの個性に合わせて進路を選ぶこと」と強調し、日本国内にも通信制学校を始め、発達特性に理解のある学校を探すことは十分可能だと述べた。
一方で、子どもの進学、就職、親の定年、老後など、ライフイベントは家庭によってさまざまであり、そのうえで子どもに適した環境を与えるとなると費用もかかる。3大資金と呼ばれる教育費、住宅費、老後費への備えは、将来を考えるうえで重要な課題だ。
さらに考えておきたいのは、大学卒業後だと鈴木氏。平成30年度の大学卒業者のうち、発達障害のある大学卒業者は、そうでない者と比べて、全体の約4割の学生が卒業しても進学、就職をしない「その他」に分類されている。
つまり、大学卒業すれば、全ての子どもがすぐ自立できるわけではない、ということだ。鈴木氏は、「大学を卒業した後も、子どもが自立するまでの生活費を親が負担する備えが必要になる。その出費は意外に多く見落としがち。こうした費用を備えておくことも重要だ」と述べた。子どもと親、両方のライフプランに沿った準備と対策が大切だといえるだろう。
今回のウェビナーに参加して、鈴木氏が何度も繰り返した「子どもはこの世に生まれた以上、全員が正解」という言葉が強く印象に残った。我が子に少しでも周囲の子どもと異なる点を見つけると、親はつい不安になったり、マイナスな想像をしてしまう。そんな保護者に向けて「どんなに不安で見通しを持てなくても、子どもを中心に考え、適切な環境を準備していけばハッピーな人生になる」という明るいメッセージが与えられたように思う。
定型発達から外れた子どもはマイノリティ、という古い価値観は少しずつ変わり、選択肢も増え、自分の力でより良い環境を引き寄せられる時代になりつつある。今回のウェビナーを主催したLITALICOライフを始め、各所でライフプランニングの講座が開催されている。こうした機会を上⼿く利⽤し、漠然とした不安を現実的な計画に変えていくのが、未来を考えるひとつの⽅法になるだろう。