その国では、生まれる前の健康診断で、先天性の障害を持つ疑いのある子供は堕胎される。
そして生まれ落ちると、姓名ではなく、もののように番号で国家に管理される。
まともな親の子に生まれればよいが、変な親の子供に産まれると、実の親から虐待を受け殺される。
そして、就学時健診で健康な子と病弱な子に振り分けられ、健康な子供たちは仲間内での競争し、将来奴隷になるための変態狂育を受けさせられる。
その変態狂育が実を結んだものが、その国で「いじめ」と呼ばれる子供たちの習慣だ。
特記しておくが、優秀な子供たちは、お受験という名の特別教育により、将来この国の幹部になるようなエリート教育を受けることができるのだ。
そんな環境の中で、運良く心身を病まずに青年になったものが、社会に出る。
ここでも、きちんと奴隷としてのエトスを身につけたものが企業に採用され、将来の性質により、奴隷としてのエトスを身につけられなかった人々は、就職から排除され、非正規採用の職業に就くのだ。
きちんと奴隷としてのエトスを身につけた指標となるのが、SPI試験の結果だ。
そして前記のエリート層はまともな食事で長生きでき、すみかも一等地の摩天楼に住めるようになるのだ。
摩天楼の下にあるのが、現代の貧民窟と呼ばれる公営住宅だ。
そして郊外には、普通の人たちが住む、新興住宅地があるのだ。
そうやって、エリートと奴隷の拡大再生産が行われる。
不思議なことに、奴隷の子供たちが育ち盛りになり、一番金がかかる頃、奴隷は熟練労働者になるのであるが、ここでリストラという名の旋風が吹き荒れ、突然企業を解雇され、全然適性のない仕事に就くように仕向けられるのだ。
その間奴隷たちは、長時間拘束される低賃金労働をさせられ、そんな環境の中で、子育てと親の介護をしなければならないのだ。
ひどい話である。
そして退職の頃、どこから嗅ぎつけたのだか知らないが、退職金を老後の生活のために投資するように勧められる。
投資。
聞こえはいいが、公営市場で行われるギャンブルだ。
大体の人々が、それで退職金をすってしまう。
儲かるのは胴元である市場幹部と金融会社だ。
さて、前には書かなかったが、毒入りの食事を食べた奴隷たちは、大体健康を害する。
見た目は健康なのだが、得体の知れない奴隷向けの細菌兵器で、体を害するのだ。
それで奴隷向けの化学兵器である「治療薬」を飲まされ、病死していくのだ。
低賃金長時間労働でもうけた利潤はどこへ行くのだろう?
それこそこの国の謎なところだ。
一つヒントを書いておこう。
この国では、名の通った会社は、大体信販会社と金融会社を自前で持っている。
それを奴隷に高金利で貸し付け、またまた儲けるのだ。
そんなに儲けたところで、原価二束三文のバカ高い装飾品に変わるだけなのに。
奴隷は奴隷らしく仲間内で仲良く暮らしていればいいのに、子供の頃身につけさせられた競争意識で、全く無意味な宝石や装飾品を借金で買って、お金を無駄使いして悦に入っているのだ。
その辺のからくりがわからないのが、変態狂育の功徳である。
そしてこの筋はループする。
全く悪魔のやることは抜け目ないと思った。
その国がどこか推理することは、読者諸賢にお委ねする。
以上、ικμτ。