今夜も電話をかけてきやがった。
それもこんな時間(夜の九時半)に。
それもどうでもいい話で。
その話の内容は彼の名誉のためにここでは書かないが、それは彼自身が悩んで結論を出す問題であって、私に話して決着のつく問題ではない。
よろず彼はこんな感じだ。
彼は葛藤にぶつかると、成長によって超克するのではなく、定石みたいなもので決着をつけようとする甘さがある。
彼にとってみれば、キリスト教のドグマですら、体のいい人生のQ&Aの集まりだと思っているんだろう。
ところが当てが外れて、ドグマと自分の欲望の間で調整が取れなくなり、悩んでいるのだ。
私は彼の話し相手ぐらいにならなれるが、葛藤を成長によって超克していくのは彼自身の仕事であって、私の仕事ではない。
それにしたって、もっと常識的な時間に電話をしてくるのであれば、もうちょっと優しい対応もできただろうが、さすがに二日連続で、夜の九時半にかけてこられた日には忍耐にも限度がある。
それも五十にもなって。
とりあえず、今日という今日は、頭にきたからガチャ切りしてやった。
今日は頭にきたから、もう寝ます。
あとは知らねえ。
あいつの人生だ。俺の人生じゃねえや。
そんなわけである。
以上、ικμτ。