本当の道化は馬鹿ではできない。
私はみんなの笑いものだったから、いや、笑われものだったが、死んだТКЯНは本当に頭の良い優しい男だった。
だから彼はみんなに好かれた。
嫌われ者の私とは大違いだ。
その彼が何で私を友達に選んでくれたのか、未だに謎だ。
親御さんより先に亡くなってしまった彼のことだから、彼は賽の河原で石を積んでいるのだろう。
が、彼は低能児の私の友達をやってくれた。
嫌われ者の私の友達をやってくれたという、大いなる善根を積んだ。
常一主宰の我たる神様も、あの世の裁判官であるという閻魔大王も、きっと彼を極楽浄土に送ってくれたことだろう。（彼の家の宗旨は浄土宗だったと思う。
イエス様は友情に篤いという。
そのイエス様が同じように友情に篤い彼のことを見捨てるはずはない。
なぜ今日はТКЯНのことを思い出したのだろう？
ここのところ、ずーっと彼のことを忘れていたから、あいつのことだ。
「俺を思い出せ。」と、耳元でささやいたのかもしれない。
さてと、そろそろ妹が夕飯の買い出しから帰ってくるはずだ。
妹の帰りの道が守られることを祈って、荷さばきの手伝いをすることにしよう。
