あなたはたくさんの敵の群れの中で、たった一人で戦ってきた勇士。
時々近寄ってくる優しげな人もいたけれど、それは利用目当ての人や敵のスパイ。
そしてあなたは誰も信じられなくなって、心折れた。
私は知っている。
どこにも居場所がなくて、真夏の炎天下や凍えるような寒空の下で、その苦しみをわかってくれる人に出会いたくて、ずーっとひとりぼっちで街角や公園の片隅で立っていたことを。
あのSARSがはやったときや、新型コロナがはやっている今も、あなたはそうやって過ごしていたね。
痛ましい話だ。
本当に身を切られるような思いだ。
居場所のない女性や子供たちには行政は優しいが、居場所のない男性には、行政は厳しい。
だから、なけなしのお金で路上飲みをして、つかの間の時を潰す。
そしてそういう人たちに、羊の皮を被った飢えたオオカミや吠え猛る獅子が近寄ってくる。
群れる能力のある人は、そんな奴らには引っかからないが、群れる能力のない人は、仲間だと思って彼らの手にかかる。
ああ、何という痛ましいことだろう。
私はそれを知っている。
が、私は無力だ。
居場所のない女性や子供たち、そして寂しい人たちに、白き群れと心地のよい居場所が与えられますように。
その通りになれ。