群青(ぐんじょう)
断酒会のことを昨日少し触れたので、私のアルコール体験と依存症のことに少し触れて見たいと思います。
先ず "「アルコール依存」と「アルコール中毒」の区別です。世間一般はこれを同一のもの、あるいは意味をはっきりさせないで使っていますが、医学用語としてはこの両者は全く別のものです。
「中毒」とは、飲酒の結果として起こる好ましからざる影響のことをいい、中でも急性アルコール中毒は、酔い「一種の意識障害」のことであり、長期大量飲酒の結果、肝障害や高血圧などを引き起こすことを「慢性アルコール中毒」といいます。
「依存」とは、酒を飲む癖のことであり、人が酒の酔い心地を味わうために繰り返して酒を飲むようになる状態をいいます。 "
(引用「アルコール依存症に関する12章」自立へステップ・バイ・ステップ 斉藤 学編 有斐閣新書 この本は依存症治療を受けた人にはお馴染みの、学習書のバイブルです)
世間では「アル中」といえば昼間から酒を飲んで路上に酔いつぶれている薄汚い浮浪者のイメージです。これは誤った認識とされます。ちょうど今頃、大学生が入学コンパとか一気飲みで、慣れない酒で命を落とす「急性アルコール中毒」アル中は気をつけねばなりません。死に至ることもあります。
私は青年期20歳になるか、その前から酒に縁がありました。職場が3K職場の肉体労働。そういうところに使い走りのような日雇い臨時職として、戦後間もない頃中学を卒業して就職した縁で酒に親しみました。一日の仕事が終わって、お客様がご祝儀に一升瓶を下さると茶碗酒の酒盛り、煮干を肴にときどきでした。それが残念ながら酒が好きなのに弱い体質でした。
酒を飲むより酒に飲まれるタイプです。酒は「百薬の長」として尊ばれたり、「気違い水」として嫌われたりします。
飲酒習慣が体や家族や職場や地域、社会などに問題を起こすようになると、もう治療の対象ですが、先ずこの病気を本人は認めようとはしません。
私は酒に弱く、限度を越えて二日酔いは若い頃からあったし、二次会には必ず行く、節度を越えることも度々で、結婚直後から家内にはこの酒癖で迷惑をかけっぱなしでした。
退職間際はもうアルコール耐性(酒にたいする強さ)の限界で、やれやれ退職してほっとしたのもつかの間、家人に逝かれ途方に暮れ、「底つき体験」(治療用語:大事な治療開始のきっかけになる)に至り、ようやく断酒を決意し近くの保健所に電話しました。自覚でこううした行動がとれたことは軽症の証拠と診断されました。このときいきなり精神病院も抵抗あるだろうと、断酒会という自助グループを教えてもらいました。
断酒会へ顔を出し相談するとキチンと病院でも治療を受けるべきと諭され、私は通院治療を許され半年ほど病院と断酒会に通いました。入院患者と共に集団療法、認知行動療法です。断酒会には2年間お世話になりました。
アルコール依存症は身分の富貴・職業・意思の強さ、全く関係ありません。医師でも裁判官でも、警官でも誰でもかかる「心の病です」。内科では直りません。治療はアルコール治療専科がある精神病院になることは仕方ありません。親切で皆優しかった「断酒会」の皆様に感謝しています。-----------------------------------------------------
興味のある方は以下を覗いて見てください。
・厚生労働省のみんなのメンタルヘルス アルコール依存症
・厚生労働省のアルコール依存症の患者数を知るページ 患者数80万人、疑いのある人は440万人 もう一つも。
・厚生労働省の成人の飲酒実態と関連問題の予防について このページの久里浜式スクリーニングテストを試みて下さい。
・アルコール薬物問題全国市民協会(ASK:アスク) 治療を必要とする人は80万人、疑いのある人は440万人(2004年調査) 外来・入院で治療を受けた人は17,100人(2002年)で47人に1人しか治療を受けていない。
・自助グループの二つ、アルコール症は回復はあっても治癒はない、断酒継続のため自助グループがあります。 全日本断酒連盟(全断蓮) 実名で活動する。
AA アルコホリクス・アノニマス アメリカ式 匿名で活動するが組織の数は少ない。
・Good-bye アルコール依存症 は隣の県富山市民病院の吉本先生のホームページで昔から著名です。メール相談に応じてもらえます。
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