前回百蔵山へ登ったのは2007年の10月だった。その隣に若干高く構えるのが扇山。扇を広げたような優しい稜線の山である。いつか登ってみたいと思っていたので、少々冷え込んだ3月28日の土曜日にチャレンジすることとなった。当初こちらのみ登るつもりだったのだが、どうせなら隣の百蔵と一緒に楽しんでみるか!と縦走を決意したのだが、以前登った百蔵の印象をすっかり忘れており、お気楽なコースとばかり思っていたのだ。今、当時のブログを読んでみて、ちゃんと険しかった、という事実が書いてあったのに愕然。チョー登り応えのある山だったのを完全に失念しており、これを書いている翌日はすっかりと筋肉痛でヨチヨチ歩きになってしまったのであった。さて、そんな急登を登り切ると比較的広い山頂に出る。あいにく晴れてはいるのだが、スキっとしない春らしい天気の為、富士山を拝むことはできなかった。本当なら写真のように雄大な富士が見れるのだろう。すでに膝はガクガクしているが、腹が減っては戦はできぬ、早速昼食のお弁当タイムだ。食後はいつものようにコーヒーを入れて、至極の時を楽しむ。
あまりゆっくりもしていられないので、次の本来の目的地である扇山を目指す。扇山へのルートは北側の斜面が多く、非常に冷たい風が吹き付けてくる。ビュービューと音がする。高度を一気に200m程下げると、しばらくは800m付近を上下する道となる。コースタイムは2時間半程度だ。途中、写真のような痩せ尾根があり、木があるから良いものの、うっかり足を滑らせるとちょっと怖い感じだ。1時間以上上り下りを繰り返しているとだんだん飽きてくる。
振り返ると、木立の中から先ほど昼食を平らげた百蔵山の容姿が見えてきた。ありゃ急だわ、とあらためて認識した。位置関係からすると、扇山は目前になっているが、その手前に一つピークが待っていた。大久保山だ。これは先ほどの百蔵山よりも標高が高い。しかもまたしても急登である。登っても登ってもまだ先が続くという、まるで人生の縮図のような状況だ。返しても返しても減らない借金みたいな…。それでも少しなだらかになった先には待望の山頂があった。それほど眺望も良くなく、単なる通過点のような役回りでちょっと気の毒な山であった。
軽く休憩を取った後、扇山山頂へと向かう。この先、大久保コルにて、JR中央線の鳥沢駅からのルートと合流する。今回はここまで2名程度しかすれ違っていないことに気がついた。あまり人気がないのだろうか。静かな山行である。しばらくすると登山道が大きく開け、扇山の巨大な山頂が目前に広がる。しかも誰もいない。独占状態だ!とはしゃぐにはちょっと寒かった。おやつのドライフルーツをちょいちょいとつまんで、下山の途につく。コースタイムは1時間半程度で鳥沢駅であったが、テンポ良く降りたつもりなのだが少々時間を食ってしまい1時間50分程度で駅に到着、しかしその数分前に電車は出てしまっていたのであった。今回は休憩を入れて7時間弱の山行だ。登り応え、歩き応えの揃った山に感謝を込めて、国分寺の居酒屋へ消えていったのは言うまでもないだろう。