西暦2008年6月14日、この日は記念すべき日となったのである。近所の里山程度しか登らなかったへっぽこ登山隊であるボクらが、日本百名山のひとつ、山梨は北杜市にある瑞牆山へ登頂したからだ。その計画は綿密に進められていた。秩父札所巡りの企画ハイキングが終わった度に居酒屋にて反省会と称して、T氏と計画を練っていたのだ。ところが残念なことに直前になって仕事の関係でT氏はキャンセルとなってしまった。彼の意思を強く継ぐことを誓ったのは言うまでもない。
さて、当日の天気は申し分の無い天候だ。8時少し前に瑞牆山荘先の駐車場へ到着した。すでに8割方満車だ。ここからは約1時間弱をかけて、富士見平小屋まで向かう。写真1枚目のような林間コースを登っていく。登山道は広く歩きやすい。鳥の鳴き声と、ほーほーと大きな鳴き声が聞こえていて快適なトレッキングだ。まだ新緑の葉が美しい。
富士見平小屋に到着すると、既にテントが数張りセットされていた。瑞牆山だろうか、それとも金峰山へ行ったのであろうか。ここを分岐として金峰山へ登ることもできるのだ。ここでは美味しい水をゲットできる、とmixiのフォーラムでアドバイスを受けていたので、Platypusの1?ウォーターキャリーを持参して水場を探した。2枚目の写真がその水場である。大きなポリバケツに一瞬ひるむが、ここから噴出す水を一口飲んでみると、その冷たさ、まろやかさに感動だ。早速ウオーターキャリーを満タンに満たして、出発した。あまりにも美味しかったので、実は帰りにも立ち寄って水筒を満たしのであった。
ここからはせっかく登ってきたのだが、天鳥川(あまとりがわ)まで下りになる。時折、木々の間からこれからチャレンジする瑞牆山がチラチラと姿を見せてくるのだ(写真3枚目)。率直な感想として、「まだあんな先かよ、しかも高すぎるぜ」と言う印象が頭から離れない。30分も歩かずに川原に到着した。この川も水量が豊富で綺麗な川であった。ちょっとした休憩スペースがあるので、富士見平で休憩したばかりではあったが、これからの行程を考えると、少しパワーチャージの時間が必要だ。 ベンチに腰をかけて、これから挑もうとする瑞牆山までの地図を確認した。 登山マップ上では約1時間半程度で山頂となっている。ちなみに腕時計の高度計を見ると1800mなので、500mちょっと登ることになる。かなりの急登コースへと変貌するのだ。さて意を決して出発するとすぐに桃太郎岩という巨大な岩に遭遇する。4枚目の写真にあるように良い具合に割れ目が入っている。きっと桃が割れて誕生した桃太郎にちなんで名付けられたのであろう。何故か小枝で岩の下側を支えていた。
今回、瑞牆山をこの時期に選んだのは、シャクナゲが綺麗だという話を聞いたからでもある。天鳥川を過ぎるまで、花らしい花等まったく見かけなかったが、高度を増すに従ってシャクナゲの花が出迎えてくれるようになっていた・・・「なっていた」と過去形なのは、花を愛でる余裕もなく、ただひたすらに岩肌をよじ登り、汗を拭き拭き次の足場を確保する、という連続技に忙しかったからである。途中、見事に咲き誇るシャクナゲと出合った時に、そこで休憩されていたご夫婦らと「見事ですねぇ~」とそれらしく会話を交わしたのであった。
周りの木々の背丈が低くなり、周りの山々を見下ろすような眺望になってくると山頂も近い。梯子を上り、ひと踏ん張りすると待望の山頂へ到着である。まずその眺望に感動だ。そして岩の端っこまで行って見る。断崖絶壁の眺望はまさに足がすくむの一言。夢中で写真を撮った後、腰が立たなくなってしまった。
これは山頂まで登り切った人にしか味わえないご褒美なんだろうな、と昼食の準備もせずに感動しまくっていると、まぁ坊がお昼の準備をしてくれていた。今回のお昼は、冷凍したベーグルを持参し、それにクリームチーズやスモークサーモン、野菜等を挟んで食べるサンドイッチだ。程よく解凍されたベーグルや具材、それにすばらしい景色が最高の味を引き出してくれる。さすがに2230mの山頂で吹く風は冷たい。食後は若干下がったところで風を避けながらインスタントスープで温まった。
たっぷり1時間近く山頂で過ごしていたが、そろそろ下りることにした。非常に名残惜しい感じだ。しかし、山頂からT氏へ携帯で写メールした際に、東北地方で大きな地震があったことを教えてもらった。もし山梨地方で起きていたら、と思うとぞっとする。東北地方には知り合いも多いのでちょっと心配だ。帰路は既に笑い始めた膝を騙し騙しの行程である。ほぼ垂直な岩肌をへばり付きながら下りる。こんなところ登ったっけか?と自問しながらどうにか富士見平まで下りることができた。ここで行きに汲んだ美味しい水でコーヒーを入れることにした。最近我が家で流行っている、冷凍和菓子も持参してきており、程よく解凍されている、というか、むしろ冷たく冷えてて美味しい和菓子と、ドリップしたてのコーヒーはまさに至極の時であった。この時お世話になったコーヒーは、東京は小金井市にある珈琲鳴館のモノである。美味しいコーヒーをいつも有難うございます>スタッフの方々
下山後は一風呂あびて待望のビールタイムである。これが楽しみで登山してます!とこの時ばかりは宣言してしまいたいくらいだ。日本のヨセミテとか言われる瑞牆山、本当にすばらしい山であった。今度は紅葉の綺麗な時期に、お隣の金峰山へ登ってみたいと思っている。