知らない世界へ帰りたい(日本探求)

自分の祖先はどんなことを考えていたのか・・・日本人の来し方、行く末を読み解く試み(本棚10)。

新日本風土記「日本列島 ”だし” の旅」

2012年11月03日 09時09分52秒 | 日本の美
 NHK-BS放送で件名の番組を視聴しました。
 まずはHPからの番組紹介を;

日本人の食を語る上で欠かせない「だし」。鰹節や昆布、煮干しなどの自然の恵みを乾燥してうまみを凝縮し、調理の際に水に「うまみ」を抽出する。日本の風土の中で長い時間をかけて育まれてきた、世界に類を見ない食文化だ。
お米や野菜をだしで煮た離乳食、毎日食卓に上る母親のみそ汁、駅のホームの立ち喰いそばに、日本料理店の極上のお椀・・・日本人の暮らしには、どんな時も傍らに「だし」がある。今や「だし」は、脂分や塩分を抑えても十分な満腹感を得られるなど、その効用も科学的に証明され始め、世界から注目が集まっている。
番組では、極上の鰹節を生み出す鹿児島枕崎の職人、家族で支えあう北海道知床の昆布漁師一家などに密着。日本全国、四季折々の「だし」にまつわる人々の物語を通して、日本の風土が育んできた、独自の食文化を見つめ直す。


 油と砂糖には嗜癖性があり、制限無く摂取し健康を害する食材として有名ですが、マウスを使った実験でそれと同等の食欲をそそる食材として「だし」が注目されたことは以前から知っていました。
 番組中でも、その研究が紹介されています。京都大学農学部の伏木亨教授の仕事だったのですね。著書も多数あるようなので後日読んでみたいと思います。
「おいしさの科学と健康」(伏木亨)
 「だし」は油と砂糖と異なり、健康を害することはありません。つまり、日本人の健康を守ってきた伝統的な味なのです。
 古くは1200年代に活躍した曹洞宗開祖である道元も「六味」の中に「淡味」と記し、だしの存在を示唆しています。

 一口に「だし」といっても味の由来は様々。
 海からの贈り物では、東日本は「鰹節」、北日本は「昆布」が代表的。なかにはフグを使う地方もあります。
 山からの贈り物では「しいたけ」。
 禅宗の精進料理では「油揚げのだし」、つまり大豆由来。鰹節や煮干しなど生きもの由来の食材は使えないので工夫したのですね。

 これらの食材を煮たり焼いたり炙ったり干したり、それはそれは手間と時間をかけて加工し、うま味成分を凝縮する技を我らの祖先は磨き伝えてきたのでした。
 大切にしたいものです。

 私が子どもの頃は、鰹節本体を削り器で削り節にするのは子どもの仕事でした。カンナ部分で手を擦って切ってしまったことも一度や二度ではありません。袋詰めの削り節や顆粒状の調味料が一般的になった世代の若い人達にはピンとこない話かもしれませんね。

 さて、番組の最後の部分で、母親が自分で削った鰹節を赤ちゃんの離乳食に使う場面が出てきました。
 はじめて口にする10倍がゆを一口飲み込んだ赤ちゃんが、ニッコリ笑ったのが印象的でした。

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