ブエルタ・ア・エスパーニャ第18ステージはまたまたプロチームのエキポ・ケルンファルマが勝利し、ブエルタ3勝目を飾りました。最後の逃げに3人ものメンバーを乗せ、ワールドチーム顔負けの戦術での完璧な勝利でした。山岳ステージで2勝のカステリーリョに続きウルコ・ベラーデ。このままのメンバーならワールドチーム入りも可能なほどの力がありそうですが、こうしたチームは資金力が無いことが多いので、有力選手はワールドチームへ移籍して行くので、余程協力なスポンサーが見つからない限り、上のクラスに上がるのは難しいのです。
このステージでも大きい集団の逃げを許してしまったメイン集団ですが、総合争いに絡んでいる選手がいなかったため、最大10分近い差を空けてしまいます。逃げには山岳賞ジャージのジェイ・ヴァインは乗っていなかったので、UAEは選手の調子を見てマルク・ソレルでの山岳賞に切り替えたのかもしれません。
途中の2級と1級の山頂をトップ通過したソレルが山岳賞ジャージを獲得しています。ただ、最後は遅れてしまいまっているので、今日・明日の厳しい山岳ステージでジャージが守れるかは不明です。ただ、そこはUAEのことなので、明日はジェイ・ヴァインが逃げに乗ることもゼロではないでしょう。
総合勢に大きな動きこそありませんでしたが、最後の1級山岳でEFのカラパスのアタックからミケル・ランダが遅れてしまいました。ランダが遅れたことで総合上位勢も牽引に加わり、3分以上のタイム差を付け、表彰台争いからランダを脱落させることに成功しています。
この動きによって一番助けられたのはログリッジでしょう。オコーナーからわずか5秒差のログリッジは最後のTTまで動かなくても良い位置にいるのですから。対して総合表彰台を争うマスやカラパスはまず、オコーナーとのタイム差を詰めることが必要なのです。特に総合4位のカラパスは上にいる3人のうちひとりを上回らなければいかないのです。
すぐ上のマスはここまでの走りから登りでは差を付けるのは難しそうなので、積極的に動いてオコーナーを引きずり降ろさないといけないのですが、この日はオコーナーを振り切ることはできませんでしたが、ライバルになりそうなランダに差を付けるという結果になりました。
マスとカラパスは今日と明日で仕掛けてオコーナーを引き離す必要があるのです。山岳賞を狙うUAEも積極的に逃げに乗せてくるでしょう。この逃げにシバコフが乗れば、総合勢が動いてしまうので、シバコフを集団に残して、それ以外のメンバーでアタックが可能なのです。
ただ、シバコフもログリッジに5分ほどのタイム差を付けられているので、どこかで動く必要があるのですが、アダム・イエーツとマルク・ソレルというサブエース級の選手を抱えるUAEなら、今日と明日は何かを仕掛けて来るかもしれません。
とりあえず逃げにジェイ・ヴァインとデルトロを乗せ、途中でアダムやソレルを引き連れてシバコフがアタックするなんていうシナリオは面白そうなのですが…明日のステージは誰もが注目しているので、裏をかくなら今日でしょう。
特に今年はポガチャルでWツールを征しているUAEにとっては3大ツールの完全制覇という昨年のヴィスマに並ぶ偉業の可能性もまだゼロではないので、何とかシバコフで大逆転は出来ないかとチームが考えていても不思議はないのです。
ただ、今年のジロでもリタイヤしているように、最後まで踏ん張り切る力があるかどうかでしょう。2017年にU23カテゴリのレースで目覚ましい活躍を見せ、2018年にチームスカイ(現イネオス)でプロデビューしたシバコフ。ロシアのウクライナ侵攻もあり、国籍を居住しているフランスへ変更し、昨年UAEへ山岳アシストとして移籍して来ている選手です。どちらかというとシバコフを囮にしてアダムやソレルが暴れる可能性が高いのかもしれません。UAEはもうひとつのステージ優勝と山岳賞は最低限の目標でしょう。