CYCLINGFAN!!

自転車をこよなく愛し、自分の脚と熱いハートで幾つになっても、可能な限り、どこまでも走り続けます~♪

マイヨ・ロホの行方(9)

2024-09-06 15:18:00 | ブエルタ・ア・エスパーニャ
 ブエルタ・ア・エスパーニャ第18ステージはまたまたプロチームのエキポ・ケルンファルマが勝利し、ブエルタ3勝目を飾りました。最後の逃げに3人ものメンバーを乗せ、ワールドチーム顔負けの戦術での完璧な勝利でした。山岳ステージで2勝のカステリーリョに続きウルコ・ベラーデ。このままのメンバーならワールドチーム入りも可能なほどの力がありそうですが、こうしたチームは資金力が無いことが多いので、有力選手はワールドチームへ移籍して行くので、余程協力なスポンサーが見つからない限り、上のクラスに上がるのは難しいのです。

 このステージでも大きい集団の逃げを許してしまったメイン集団ですが、総合争いに絡んでいる選手がいなかったため、最大10分近い差を空けてしまいます。逃げには山岳賞ジャージのジェイ・ヴァインは乗っていなかったので、UAEは選手の調子を見てマルク・ソレルでの山岳賞に切り替えたのかもしれません。
 途中の2級と1級の山頂をトップ通過したソレルが山岳賞ジャージを獲得しています。ただ、最後は遅れてしまいまっているので、今日・明日の厳しい山岳ステージでジャージが守れるかは不明です。ただ、そこはUAEのことなので、明日はジェイ・ヴァインが逃げに乗ることもゼロではないでしょう。

 総合勢に大きな動きこそありませんでしたが、最後の1級山岳でEFのカラパスのアタックからミケル・ランダが遅れてしまいました。ランダが遅れたことで総合上位勢も牽引に加わり、3分以上のタイム差を付け、表彰台争いからランダを脱落させることに成功しています。

 この動きによって一番助けられたのはログリッジでしょう。オコーナーからわずか5秒差のログリッジは最後のTTまで動かなくても良い位置にいるのですから。対して総合表彰台を争うマスやカラパスはまず、オコーナーとのタイム差を詰めることが必要なのです。特に総合4位のカラパスは上にいる3人のうちひとりを上回らなければいかないのです。
 すぐ上のマスはここまでの走りから登りでは差を付けるのは難しそうなので、積極的に動いてオコーナーを引きずり降ろさないといけないのですが、この日はオコーナーを振り切ることはできませんでしたが、ライバルになりそうなランダに差を付けるという結果になりました。
 マスとカラパスは今日と明日で仕掛けてオコーナーを引き離す必要があるのです。山岳賞を狙うUAEも積極的に逃げに乗せてくるでしょう。この逃げにシバコフが乗れば、総合勢が動いてしまうので、シバコフを集団に残して、それ以外のメンバーでアタックが可能なのです。
 ただ、シバコフもログリッジに5分ほどのタイム差を付けられているので、どこかで動く必要があるのですが、アダム・イエーツとマルク・ソレルというサブエース級の選手を抱えるUAEなら、今日と明日は何かを仕掛けて来るかもしれません。
 とりあえず逃げにジェイ・ヴァインとデルトロを乗せ、途中でアダムやソレルを引き連れてシバコフがアタックするなんていうシナリオは面白そうなのですが…明日のステージは誰もが注目しているので、裏をかくなら今日でしょう。
 特に今年はポガチャルでWツールを征しているUAEにとっては3大ツールの完全制覇という昨年のヴィスマに並ぶ偉業の可能性もまだゼロではないので、何とかシバコフで大逆転は出来ないかとチームが考えていても不思議はないのです。
 ただ、今年のジロでもリタイヤしているように、最後まで踏ん張り切る力があるかどうかでしょう。2017年にU23カテゴリのレースで目覚ましい活躍を見せ、2018年にチームスカイ(現イネオス)でプロデビューしたシバコフ。ロシアのウクライナ侵攻もあり、国籍を居住しているフランスへ変更し、昨年UAEへ山岳アシストとして移籍して来ている選手です。どちらかというとシバコフを囮にしてアダムやソレルが暴れる可能性が高いのかもしれません。UAEはもうひとつのステージ優勝と山岳賞は最低限の目標でしょう。
 



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ヴィスマ・リースアバイク低迷の理由(4)

2024-09-06 10:00:48 | プロ・ツール
 ログリッジにヴィンゲゴーというWエースにワウト・ファンアールトという最強の布陣だったヴィスマですが、ログリッジが去ってしまったのは非常に大きな痛手となってしまったようで、春先からワウトやヴィンゲゴーが次々と落車による怪我で長期離脱を余儀なくされます。何とかツールには間に合わせて来たヴィンゲゴーも準備不足の為か最終週に失速しポガチャルに大敗を喫してしまいます。

 クスをエースに臨んだブエルタでもエースとしてのクスは早々にその役割を降りてしまうのです。その後は好調のワウトのためのアシストに徹し、ワウトはポイント賞に加え山岳賞迄手に入れてしまったのです。
 第15ステージでUAEのジェイ・ヴァインに山岳賞のポイントで並ばれた時は、ポイント賞に狙いを絞ると思っていたのですが、第16ステージでは積極的に逃げに乗り、クライマーのジェイ・ヴァインに山頂スプリントで勝ち、山岳賞も狙って来たのです。
 確かにここまで3勝と絶好調のワウトでクライマー並みに登れてしまえば無敵です。逃げにUAEはジェイ・ヴァインの他にデルトロとマルク・ソレルも入れていて、3対1だったにも関わらず最初の1級に続き2つ目の1級もトップ通過。最後の登りを考えれば逃げ切りは難しい状況だったので、ワウトの山岳賞狙いは無謀にも見えたのです。

 その後の直後の下りで貰い落車で無念のリタイヤになってしまったワウト。今年のヴィスマ凋落の象徴のような感じでした。骨折は無かったようですが、裂傷が深く、おそらく世界選手権は無理ですし、今季中の復帰は難しいと思います。
 完璧だったチームからログリッジというたったひとつのピースが抜けただけで、チームがここまで変わってしまうものなのでしょうか?良くも悪くもログリッジとワウトはヴィスマの支柱だったのだと思っています。昨年のブエルタで最後まで総合争いをしていたら、クスのマイヨ・ロホは無かったかもしれません。それでもヴィスマの総合優勝は確実で、3大ツールの完全制覇という偉業は為されていたはずです。

 どちらかというとチームの指示に従順に従う選手や、クスのようにアシストとしてより力を出せる選手が多い感じのヴィスマにあって、ログリッジとワウトの闘志がチームにエネルギーを注入させていたのではないでしょうか?レースの勝ち方を知るログリッジが去り、ワウトが春先に怪我で離脱してから、ヴィスマに覇気が感じられなくなっていたのです。
 



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