世界ランク2位は今年パリ・オリンピックでTTとロードで2冠を達成したレムコ・エヴェプールです。昨年まではツール連覇中のヨナス・ヴィンゲゴーを追い抜いてしまいました。彼のバイクはスペシャライズド S-WORKS TARMACです。いつの時代もロードバイクのベンチマークだったTARMACもSL8へと進化しています。
スペシャライズドにはAETHOSという軽量のクライミングバイクがあります。AETHOSの特徴は、ペダリング時のパワーの受け止め方と、受け止めたパワーの分散方法にあります。ペダリングで生じた負荷は、チューブ形状自体がフレーム全体に分散しながら運ぶため、これまで必要だった剛性を高めるためのカーボン積層がAETHOSでは排除されたのです。結果として大幅な軽量化となった訳です。
TARMACのSL8はこのAETHOSの「フレーム全体でパワーを受け止める設計」思想が活かされているそうで、余分なカーボンの剛性層を取り除くことが可能になり、これまでのバイクでは考えられない軽量化を実現したようです。
VENGからエアロ性能をAETHOSから軽量化の設計思想を受け継いだTARMACのSL8は最強のロードバイクのひとつと言えるでしょう。コンポーネントはシマノDURA-ACEで、エヴェネプールはポガチャルと同様に165mmのショートクランクを使用しています。まあ、これはポガチャルとエヴェプールの身長差を考えれば、ポガチャルが特殊といえるのかもしれません。メインホイールはロヴァールのRAPIDE CLX IIで、一般発売も行われているものより軽量なチームエディションだそうです。
ただ、レムコはオリンピック2冠の後はゴールドにペイントされたスペシャルカラーのバイクに乗っています。塗装だけで100gも重量が増していると言われているので、レムコはポガチャルほどバイクの軽さに拘りはないのかもしれません。