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自転車のライト選びを考える(2)

2024-11-24 14:09:03 | 自転車用品
 こうした理由から、照明器具のスペック表では、ルクスではなくルーメンの値が記されているケースがよく見られます。製品によっては「光源から50cmの高さに置いた場合」など、一定条件におけるルクス値を明記されているものもあるようですが、照明器具の明るさを比較する場合は、ルーメンの数値で比べることが一般的になってきています。
 しかし、自転車用のライトの場合は光源が移動し、照らされる面が一定しないため、『ルクス(lx)』が用いられることはありません。自転車用ライトのカタログでは『カンデラ(cd)』か『ルーメン(lm)』で明るさが表記されるのが一般的になっています。しかし、ルーメンは「全ての方向に対して1カンデラの光度を持つ標準の点光源が1ステラジアン(立体角の単位)の立体角内に放出する光束」と定義 されており、単純にカンデラに変換することができないのです。これでは製品の明るさを比較することが難しいのが実情なのです。

 簡単に云ってしまうと、ルーメンは『光束』つまり「光の束」の総体、図でいうと電球から照射される光の矢印の全てということになります。そして、光の矢印の1本分の明るさがカンデラ「輝度」というわけです。従って、ルーメンとカンデラを対比する場合には照射角(半減角)が問題になります。ルーメンは360度を照らす明るさを示す単位だからです。
 例えば照射角(半減角)10度の場合、1ルーメンは約70カンデラですが、15度になると約30カンデラへと減衰します(図参照)。CATEYEの新製品”Nano Shot+”のカタログには「約600ルーメン(約5000カンデラ)を実現」と表記されていますが、照射角(半減角)は25度から30度程度の場合での換算ということになるのです。

 今ではUSB充電式のライトが増え、単位もルーメンで統一されつつありますが、CATEYEの乾電池式ライトでは今でもカンデラ表記のものが存在します。アーバン[HL-EL145]は800カンデラ、従来モデル(HL-EL140)は400カンデラと表記されているのです。800カンデラは約50ルーメンになります。

 個人的にもロードバイクに乗る前の自転車通勤ではCATEYEの乾電池式のライトを使っていました。特に単3電池1本で使用できたOPTI CUBEというライトを愛用していました。予備電池1本はバッグのポケットにも簡単に収納出来るというのが大きな理由でした。 決して明るいライトでは無く、暗くなる時間が早くなると単3電池2本のアーバンに替えるようにしていたのです。
 
 



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印象に残るレース:2024(3)

2024-11-24 08:32:34 | プロ・ツール
 今年初めの驚愕のレースはやはりストラーデビアンケでしょう。今季初レースとなったポガチャルが81kmという驚異の独走で勝利してしまったのですから。今年は距離と未舗装路区間が増えたこともあるのでしょうが、シーズン初戦にもかかわらずハイペースと豪雨により絞られた集団から残り81kmで飛び出し、優勝したポガチャルの独走劇はまさにポガチャル劇場でした。
 サイクルロードレースとしては18回目と歴史が浅いにもかかわらず、モニュメント(5大クラシック)に匹敵する人気が年々高まるストラーデビアンケ。イタリア中部のトスカーナ州シエナを発着地点とし、「白い道」と呼ばれる未舗装路区間を駆け抜けるワンデーレースです。過去にはペーター・サガンも活躍したレースでした。

 今大会はレースの総距離184kmから215kmと伸び、未舗装路も2箇所増えた計15箇所で63kmから71kmに。そのため総獲得標高差も3,100mから4,000mに迫り、難易度がさらに上がっていたのです。今年の世界選手権もそうでしたが、獲得標高が上がるとポガチャルの強さが際立つようです。
 序盤からアタック合戦が繰り広げられるも、UAEチーム・エミュレーツを筆頭にプロトンは強力な牽引で大きなタイム差を許しませんでした。最大2分半のタイム差を得た逃げ集団もパンクなどのトラブルで次々に集団に吸収されて行きます。雨粒が落ちてきた残り98km地点でクイン・シモンズとマグナス・コルトが仕掛けるも、この動きをUAEが許さず、それに伴う急激なペースの上げ下げによってプロトンは35名程度に絞り込まれることになりました。「新しい逃げの型」という記事にも書いていることですが、逃げ切りの条件のひとつが、この集団の絞り込みなのです。
 本降りとなった雨の中、後のミラノ~サンレモと同様に牽引役もイサーク・デルトロからティム・ウェレンスへと引き継がれて行きます。こうした重要なクラシックレースで牽引を任されるデルトロという選手の今後が楽しみです。

 例年なら白い土煙を巻き上げる路面は雨を含み、モンテ・サンテ・マリエに2つ設定された勾配18%の登りをウェレンスを先頭に登頂。2度目の急坂で先頭は8名まで絞られ、その下りからの登り返しでポガチャルが飛び出したのです。35名から8名に絞られたことで、直感的にチャンスと捉えたのだと思いますが、流石に残り距離が80km以上あったので、ほとんどの人が早過ぎると考えたはずです。
 確かに2022年にも同じモンテ・サンテ・マリエで仕掛け、初優勝を飾ったポガチャルでしたが、その時よりもフィニッシュまでの距離は約30km伸び、止んだとはいえ雨の影響で路面もスリッピーという状況だったのですから。この驚きのアタックにセップ・クスやシモンズも追従することはできず、そしてその差は徐々に拡がって行ったのです。

 今年のアタック場所を聞かれ、ポガチャルはレース前に「モンテ・サンテ・マリエだ」と答えた通りだった訳ですが、難易度5つ星の未舗装路区間で本当に仕掛けるところはポガチャルらしい。残り68kmでイネオスは前回覇者トーマス・ピドコックを含め3名を残し、ヴィスマはクスやクリストフ・ラポルト等4名を残すなか、追走集団後方にはデルトロとウェレンスが抑え役として脚を溜め、UAEが必勝体制を築いて行きます。
 逃げ切りの要因の二つ目がこの抑え役なのです。数的有利の追走集団に抑え役がいるのか否かで逃げ切りが決まる確率が大きく違ってくるのです。逃げが不利なのは数的有利が無いからですが、この数的有利な状況を覆すのが抑え役の存在なのです。複数人の追走集団にひとりでも抑え役が加わればローテーションが回し辛くなり、追走の脚が弱まるためです。
 難易度4つ星のセクター11「レ・トルフェ(残り41.9km)」登るポガチャルは、この時点で後続と3分半までリードを拡大していました。まずはチームカーが入ることが許される1分、そこから徐々にタイム差を開き、3分ほどになったところでマイペース走行に切り替えるというのが、今年のポガチャルの独走パターンでしたが、その最初のレースがストラーデビアンケだったのです。

 シエナ旧市街の石畳坂を悠々とこなし、時折笑顔を見せたポガチャルはフィニッシュラインに到達し、黒色のフレームが土埃で白くなったバイクを掲げたのがとても印象的でした。ジロとツールのWツール制覇を目標に、UAUツアーをスキップして今季初戦に選んだ大会で81kmの独走激は、今にして思えばポガチャル伝説の幕開けだったのかもしれません。この後、Wツールに加え世界選手権まで征しトリプルクラウンを達成してしまうのですから。
 



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