横浜市消防局が撮影協力する主な目的は以下の3つだそうです。1つ目は消防の理解を進めること。視聴者はドラマを通して、消防の仕組み、119番のかけ方、すぐに消防車や救急車を送り出せないさまざまな事情などを知ることができます。ドラマは、消防士だけでなく医師、刑事なども含め、劇的なシーンを作るために動きのある職種を扱いがちな中、消防指令センターの舞台は屋内です。指令管制員は外に出ず、声を使って仕事するため、あまり動きがありません。日ごろ表に出ない人々ですが、「人命を左右する」という難しさでは消防士に匹敵することも含め、今作で市民の理解を一歩進められそうな感じがあります。
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2つ目は横浜市だけでなく全国的な好影響が期待できることです。今回はフジテレビの騒動があったため協力先の横浜市にスポットが当たっていますが、そのコンセプトは消防全体にかかわる作品でしょう。ドラマを見てもらえたら全国の消防局に好影響が期待できるし、ひいては各地の安全につながっていく可能性もあるのです。もし横浜市消防局がネガティブな声を重視して協力をやめたら、全国の消防にかかわる人々を失望させてしまうかもしれません。また、119番通報者が説明不足だったり、パニックに陥ったりする姿を見ることで、私たち視聴者は「できるだけ落ち着く」「状況を手短に話す」など伝える側の心構えを知ることもポイントでしょう。今作は現場の再現にディテールまでこだわって撮影している様子がうかがえますし、少なからず「今回は全国の消防局を代表して撮影協力している」という意識があるのではないでしょうか。
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3つ目はこのドラマが市民の安全につながることです。劇中では指令管制員たちが救急車到着までの処置方法を伝え、励ましの声をかける様子などが描かれています。さらに「自力で病院に行ける人や緊急性のない問い合わせ、人生相談や孤独の解消、いたずらなどの入電がいかに無駄か」という抑制も期待できるのもメリットの1つ。いつ誰もが119番通報者や要救助者になる可能性があるだけに、自他の安全性を高めるという点での効果が期待できます。