送られてきた荷物の袋で遊ぶみかん。テレビでよく見た光景ですが、猫って本当に袋が好きですね。
私が今年亡くなった著名人の中で残念に思ったのは、井上ひさしさんでした。
私が初めて読んだ井上さんの小説は、新聞に連載されていた「ドン松五郎の生活」でした。ま~簡単にいうと、漱石先生の「吾輩は猫である」の犬版。パロディーです。笑いの中に切ないペーソス(哀感)が散りばめられていて、社会に対する風刺も効いていますし、何より、地方や、農家の人など弱い人達の問題点を、的確に浮かび上がらせていました。
朝刊をあれほど待ちどおしく感じた日々はありませんでした。その後井上さんの本を次々読んで・・・現在我が家にある本は46冊。これは星新一さんの49冊に次、第2位です(我家の書棚のです)。
井上さんの本の特徴は、自身のコンプレックスからくる、人に対する優しさを底辺に、シャイのせいか、たっぷりの笑いで包んで(つつんでではなく、くるんでです)、なおかつ現実の社会の悲しさを冷徹に書いて、涙を誘うという感じでしょうか。(ハッピーエンドで終わるものより、悲劇というか悲しい終わり方が多いかもしれません)
それと、嘘(虚構・創作)を上手に本の中に書いてあります。綿密に取材をするそうで、ほとんどが本当のことで、その中にほんの僅かに嘘を混ぜてあるので、どこが嘘(創作)なのか分かりません。そういう構成と展開の才能は驚嘆する以外にありません。
語彙(彙は常用漢字になりましたね)の豊富さと、言葉遊びも他の追随を許さないほどでした。井上さんの「文章読本」は他の作家の「文章読本」よりはるかに面白く、分かりやすいと私は思います。
井上さんはいわゆる苦学生だったそうです(今時はほとんど死語ですね)。出っ歯で近眼という容姿も気にしていたようです。
コンプレックス。挫折や弱点があるほうが、人に対して優しくなれる(相手の気持ちが分かってあげられる)これは井上さんの本から学んだ事でした。
亡くなった年齢を見たら75歳。いつの間にかそんな年になっていたんですね。やり残した仕事もあったでしょうし、ファンとして当然残念なのですが、まずはユックリ休んでほしいと思います。・・・お疲れ様でした。
みかんが遊んでいると・・・ニケが奪い取ります。