今回は、動橋町の”篠の道場”として知られる「篠生寺(じょうしょうじ)」
に伝わるお話です。
篠生寺には、とってもこわ~い老婆(おばば)の木像があります。
木像の老婆(おばば)は、片膝を立て、垂れたお乳を隠すこともなく、ふてぶてしくも
見学客を睨み返してきます。その木像の老婆(おばば)にまつわる「ちまき笹伝説」を
ご紹介します。
その老婆(おばば)の名前は「桝屋小右衛門(ますやこえもん)の母」です。
1475年5月4日のちまき節句の日、蓮如上人が小松の波佐谷松岡寺から吉御坊へ
帰られる途中、動橋で日が暮れてしまいました。
そこで蓮如上人は桝屋小右衛門の家に「一晩泊めて下さい」と願い出ましたが、
小右衛門の母は「汚い坊主、さっさと立ち去れ」と追い払いました。蓮如上人が、
母がちまきを作っているのを見て、「せめてちまきをもらえませんか」と頼んだところ、
小右衛門の母は笹で包んだ石を投げつけ、「これを食えたら泊めてやるぞ~」と
ケラケラ笑ったそうです。
これを見た蓮如上人は小右衛門の母のあまりに邪見な心をあわれみ、その心を正すために、
ゆでた笹を地にさし、みるみるうちに根が付き青葉が生じる様子を見せました。
すると蓮如上人の不思議な力に驚き、小右衛門の母は自分の非行をわびました。そして、
これまでの「自分さえ良ければいいんだ」という心を改め、その夜から息子の小右衛門
ともども蓮如上人の弟子となり、教えを守りました。小右衛門は「篠の道場」の初代と
なって、念仏の教えを広めました。
木像の老婆(おばば)の姿は、実はわたしたち人間誰にでもある「邪見な心」を表現し、
現代人をも戒めてくれているのです。でも、邪見な心を小右衛門の母一人が
背負わされているみたいでかわいそうな気がします。
なお、「篠生寺」では、毎年6月の蓮如忌に、女性門人が「笹より」「笹あらい」
をして準備した約5,000本の「ちまき団子」を有料で配布するそうです。
ぜひおでかけください!! (情報ビジネス科課題研究『実高ふれ愛隊日記』より)