Uさん、こんばんは。
プライマーのプリアンプ、PRE30の投稿第3弾です。
今回は、実際に使用してみての注意点、使いこなしについて少し触れておこうと思います。
その1 極小音量での再生が出来ない。細かい音量調整は出来ない。
PRE30のボリュームは、離散タイプで、ノブを回転させてノッチをカチカチ上げていきます。
フロントパネルの小さなディスプレイに、”1.2.3...”と、相対的なボリュームの大きさが表示されます。
”-00db"といった、物性上の表示ではありません。
実用上問題ない程度に音量幅が刻まれていますが、0(-∞)と1の間に断絶があり、極小音量での再生が出来ません。
0から1にすると、ある程度の音量になってしまうのです。
アンプが温まっていると、1でもそこそこの音量になります。
音楽を聴きながら何かをしたいとき、本当に小さな音で良いのに最低音量がそれなりにありますから困ってしまいます。
自分においては、これがPRE30の一番の、それもかなり大きな問題点です。
LUXMANの最近のプリアンプも同じような構造になっていて、極小音が再生出来ないようです。
一時、C-600fを買おうか迷っていたのですが、選ばなくてよかったと思いました。
自分的にこの問題は駄目です。
その2 ある程度の音量で再生する
その1で書いたように、微小な音量での再生は出来ません。
それと音量が小さいと音がこじんまり・こもりがちで低音も出ず、PRE30の良さが引き出せません。
この機種はある程度の音量を出すことを前提に設計がなされているのかもしれません。
ボリュームを上げるため、逆説的ではありますが、余り能率が高くないスピーカーを組み合わせるのが案外あっているのかもしれない。
その3 電源投入順序に注意~パワーアンプより先にPRE30
この機種には、スピーカー保護のためのリレーが付いていません。
外国産のアンプではこの手の仕様はよくあるようです。
このため、PRE30の電源投入よりパワーアンプの電源投入が早いと、パワーアンプ側に大きな電流が流れます。
この結果、スピーカーに一時的に大きなパワーが入ってボッという大きな音が出ます。いわゆるポップノイズです。
これはスピーカーに大変な負荷を掛けますし、精神的に良くありません。
うっかりこのことを忘れて、一回だけこれをやってしまいました。バチンという音が出た後、やってしまったと思いました。
恐る恐る電源を再投入してみると、綺麗な音がスピーカーから流れてきました。
冷や汗をかきました。
ということで、必ず、PRE30→パワーアンプの順で電源を入れるようにします。
但し、PRE30の主電源が入っていて、スタンバイになっていれば大丈夫です。
その3 弦の響きに少し歪がある。
シークレットガーデンのお気に入りの一曲に、ストリングスのアンサンブル部分があります。
この背景部分の弦の響きに歪が感じられます。
音源に歪が含まれている可能性もありますが、PRE30でこの曲を再生すると、何故か特にこれが強く感じられます。
余りにも気になり、気持ちよく曲が聴けないので、暫くオーディオで音楽を聴くのを止めてしまったこともあります。
次の項目で何とか回避しました。
その3 LEVEL調整
PRE30には、LEVEL(利得)調整機能があります。
素人の浅い考えで、LEVELを調整すればノイズが少なくなるポイントがあるかもしれない、そうすれば音が良くなるかもしれないと、良く聞こえる位置をあれこれ変えて見てみましたが、結局分からずじまいでした。
暫くして、LEVELを調整すれば、気になる弦の歪を回避出来るかもしれないとふと思い立ち、再調整することにします。
レベルを最小の-20にしてみたら、歪が余り感じられなくなりました。
レベルをー20にした分、ボリュームを上げることになりますが、それだけ全体の音の出が大きくなり、音痩せが解消されて高音と中低音とのバランスが良くなり、耳障りが少なくなったのではないかと思います。
なお、レベルを下げると、下げた分だけボリュームは一定になります。
そこからさらにノブを回していくと音が大きくなっていきます。
※このレベル調整の前に、スピーカーケーブルをベルデンからリアルケーブルに変えたり、電源タップをファーマンからタスカムに変えたりして、出来るだけ不必要な残響音の減少を目指した調整を行っています。
その3 ウォームアップ・エージング
自宅の個体は中古ですから、エージングは十分に進んでいると考え、自宅では特にこの項目については意識していません。
暖気運転も、本来物ぐさなので、余り意識していないのですが、それでも30分ぐらいはアンプの力が出てこないものと捉えて、気楽に聞き流しています。
その4 スピーカーは低音の出る柔らかな音質のものを
PRE30は、低音が余り出ません。
ですからこれに組み合わせるスピーカーは低音が出るものが良いと思います。
そういう点ではトールボーイとの相性が良いのかもしれませんが、しっかり低音が出れば、ブックシェルフでも良いと思います。
柔らかな音質のものをと書いたのは、PRE30の出音がどうにも固くこわばったような感じがするからです。
モニター型の解像度優先・線の細い硬質な音が出そうなスピーカーよりも、PRE30の肩をほぐしてくれるようなメーカーのものの方が似合う気がします。
パッと思いつくところでは、Dali、Dynaudioあたりでしょうか。やはり北欧ブランドですね。
その5 プライマーのプリアンプには、プライマーのパワーアンプを
個人のWebサイトや、匿名掲示板では、PRE30の音の拡がりや音の余韻に高い評価を付けている場合があって、自分もこの音響的な評価に可成り期待して導入したのですが、実際はそれほどでもありませんでした。
パワーアンプをBTLのモノブロック化している影響もあるのかもしれませんけれど、現段階では目指しているところから少し離れたところにいます。
それでひょっとしたら、PRE30にはプライマーのパワーアンプを当てなければ、本当の実力が発揮出来ないのではないかと思うようになりました。
余りにも世評と自分の評価が異なるためです。
どのレビューもプライマー同士の組合せでの結果を書いているようですので、実際にそうなのでしょう。
同年代のパワーアンプでは、A30.2(A31.2)かA33.2です。でも両方とも重量が20㎏ぐらいあり、自分にとっては少し重いのが困ります。15㎏とか17㎏ぐらいに納めてもらいたい。A32なんて40Kg越えですから絶対にあり得ません。
そうすると次世代のA34.2(重さ12㎏弱)が好対象となりますが、こちらはデジタルアンプです。
デジタルアンプには少しトラウマがあるので、これまた向き合うのが苦痛ですし、アナログのA33.2らとの音質の違いも気になります。
それから、出来ればパワーアンプはモノブロック化したいので、都合2台必要になります。全て中古で賄ったとしても25万円から40万円。結構大きい。
これから掛けるコストと、得られる利得、これに見合うだけの音質が得られるかどうか、しかもそれが自分好みのものでなくては、となれば、本当にそれだけの投資をすべきかどうかの判断をしなくてはなりません。
視聴が出来ればよいのですが、既に対象となる機器は廃番です。後継機のPRE35、A35.2当たりを聞いてみるという手は残されているのですが…。
兎に角、PRE30は外見と仕上げが美しく、また、内部が完全バランス構成という仕様もあって、何とか手元に残しておきたいと思います。
視聴の対象となるかもしれない後継機のPRE35,32は確実にオーディオ的性能は上がっているのでしょうが、目の周りに隈取が出来て、パンダやパグ(犬)のようなファニーフェイスになってしまい、PRE30の冷涼な存在感・美しさが失われています。デザイン的には完全に後退しています。
しかしながら、今のPRE30を手元に残しておいても、その真価を発揮できるのはかなり先のことになりそうです。悩ましい。
場合によってはスピーカーもなぁ~という感じです。
その前に、PRE30が”お前の相手なんかできるか。お前の駄耳には俺の良さは理解できない”と捨てセリフを吐いて、自分の手元から飛び去ってしまうかもしれません。
一応、PRE30についてはこれで終わりとします。後日談があれば別の機会で記事にします。
では、ごきげんよう。
さようなら。