居間塵(imagine)

居間塵、と書いて、イマジン。その日その時、流れゆく時の川から、思いつくままに掬いあげる。絵図とポエムの棚

ドアのむこう

2012-06-21 12:02:19 | ポエム

ドアのむこう

 

そいつは
みをかくす
はいじんを
こなごなにする

ことばの
わふうのたくみを
いや
たくらみを
こっぱみじんにする
オフィスのばかでかい
ペンいっぽんも
だかないで
きょぜつのかおを
まうえにさらす
デスクがいすわっている

まよこにおかれた
くずばこには
しわだらけのもじがかさなっている
うえからのおもみにたえる
いわばしんりさくせんが
ようへいたちのにんむのように
おぞましくもかんこうされる

あるひ
ギィーっというおとをたてて
ドアがひらいても
デスクは
へいぜんと
うえをむいていた
むしろ
かがやきながら

 


ボレロ

2012-06-20 22:35:23 | ポエム

ボレロ(*)

 

つまさきを
刃物のように
研いでとがらせて
時速1メートルで
まえに身を乗り出して
堅固な壁のような
なにか重いしきたりの配下にある
邪悪をおしのけてゆく
微妙なその速度
それ以上でも以下でも成り立たない
慎重なチカラの球が
手足と顔立ちを
夕日のなかで
燃えたたせながら
いくたびも耐えながら
次々とクラヤミを
ほうりなげながら
何処までもそのチカラ
リズムのチカラを
バルコンの蔭と夕日と
やきつくような視線の束と
いくつもの意志をしたがえて
希望や理想など問わないで
飛び立つ赤々とした
燃え立つ羽の痕をのこす
鳥影となって
灼熱の茜空へとけてゆく

                   

                                                                                 (*)モーリス・ラヴェル作曲のバレーのための曲

 


ミステリー

2012-06-20 17:06:38 | ポエム

ミステリー

 

花がない
花がみつからない
どこに咲いているの
何時咲くの
なにも知らない

いちにちじゅう
あるきまわっている

意味がない
意味がみつからない
どんな意味があるの
何時わかるの
なにもわからない

社会という山壑
自然という原野

そこにある岩石
そこにある草木

いやそんな偉大なところではない
隣の家の軒の下
向かいの家の屋根の上
そういうところに
ひとが目もくれないところに
どっさりと
すがたをかくしている

そんな気がする
ひと時のなかの
妖怪

 


風景

2012-06-14 23:57:08 | ポエム

風景

 

それは
そっと
あらわれて
いつのまにか
仮面を冠りなおす

魔法のうねりが
世界を覆うと
蕾はくちをあけ
やすらかな
おいしいひかりを
むさぼる

かがやきの
おともきこえて
漂うが
突然
気をうしなったように
明暗がなくなり
荒野の上を
意味をなくした
白馬が
疾駆することもある

たしかめようとしても
迂闊だったことだけがわかる

 

 

 


ゼロ

2012-06-14 11:03:15 | ポエム

ゼロ

 

ゼロとは なにもない ということだ
一の次にゼロをいくつかならべる
それが無限にならぶと
意味不明になる
そんなものを
ゼロのアンサンブルといえば
数字の世界では
集合のなかにいれてもらえるのだろうか

いれてもらえば
意味不明ではすまされない
みんなのなかにいれてもらったら
はたらかねば

でもゼロは透明人間みたいで
さっぱりわからないが
一本の棒切れにくっついていると
世の中をさわがせることなど
オチャノコサイサイ
オチャノコサイサイ

十万 百万 千万 一億 十億・・・・
人気者や貴重品のお値段は
どんどん どんどん 風船みたいにふくれていって
惑星ゼロになって 
この世の輝く星になる

でも 流星って
惑星ゼロのなれの果てだそうだ


美術

2012-05-30 22:07:50 | ポエム

美術

蜘蛛の巣のすみで
金色に輝く蜘蛛の糸とミックスして
巣の広さとぴったりの
淡いグリーンの
小さな葉が微風にひらひら

かれにとっては
餌ではないが
しばしの休息には
ふさわしいのではないだろうか
それとも
もがく昆虫のほうが
食欲を口のなかで
モグモグするほうが
さしずめ至福の時間なのだろうか

逆光でキラキラする額縁
そのなかで透明にちかい
ちいさな薄緑色の美術品

三歳児の指さす世界で
揺れて光っている


言葉

2012-05-23 00:11:03 | ポエム

言葉

 

言葉がずらっと
ならんでいる
知っている言葉も
知らない言葉も
いっしょに
ならんでいる

言葉には
たくさんの情報がこめられている
100%知っているのと
70%しか知らないのとでは
「詩」の場合
理解されたり
理解されなかったりする

「詩」は
だから難しいといわれる

言葉のもつ感覚を
それぞれのもちぶんだけでいいから
たとえば
蒲公英を薔薇にしてみてほしい

 


花弁

2012-05-21 00:34:48 | ポエム

花弁

 

はなびらは
はなのいのち
はなびらのないはなは
ないのだろうか
そうだろうか
あるかもしれない
人間がしらないような
はなびらのないはなが
どこかで
さいている

さいているということができないように
おもってしまうけれど
はなはさいている
というほかに
いいかたをしらない
そこにいる
とでもいうのだろうか

それはどんなはななのだろう
はっぱにそっくりな
はなびらかもしれない
区別がつかないので
はなびらがないようにおもうからだ

植物学 生命学 進化学
美醜 善悪 古典 化石 液晶
枚挙不能
それでも
花というのにちがいない


空白

2012-05-12 20:10:58 | ポエム

空白

 

白鳥の
めのなかに
うつっている
きょうの
みずのいろと
白鳥のひとみのいろと
おなじだろうか
器官を
しんじて
そのまま
およぐように
ぼくも
湖畔の屈折をたどる
白鳥はとっくにきえていなくなった

ぼくのてあしは
水におかされて
とけてゆく雲のようだ

むねの空白だろうか
虚木のような
林の中へ
身体が彷徨ってゆく
前後がつながっていない
意識と感情も
風に侵されて
目の前の事象たちは
白鳥のように
きえた

空白は
残るものだろうか
それも
おぼろげに
再生の場所として

 

 


そのうちに

2012-05-09 01:10:06 | ポエム

そのうちに

 

ぼくは
とんだ思いを
ある日のみしらぬ街角の
ショーウィンドウのなかの
うつくしい言葉のかたちの
ハンドバッグのなかえ
こっそりとかくした

しばらくは
ぼくは未熟な心象風景をスケッチし
その風景をどうしたら輝かせられるかを
こころみたが
あのみしらぬ街角のショーウィンドウのなかの
あのハンドバッグのなかえかくしたとんだ思いが
筆先を混乱させるのに抵抗できず
突風のように
吹き乱れてしまった

それからというものは
もう毎日あのみしらぬ街角にたって
ショーウィンドウをみながら
うつくしい言葉のかたちの
ハンドバッグばかりが
めについてはなれなくなって
日がな一日通行人を
映しこむ
一枚のこわれやすい
ショーウィンドウのガラスと化した

ぼくなりの
これが
あたらしい
セイカツに
なったんだ
そして
今日はおおぞらはれて
太陽が
ぼくを
かがやかせてくれたかもしれないような
まぶしさをかんじていた
きっと
あの
とんだ思いが
結露したんだ

 


結ばれない恋

2012-05-01 23:37:42 | ポエム
結ばれない恋

それは紐
それを結ぶ
恋で結ぶので
なにもかも
火のように
燃えながら
結ぶ

ところが
結ばれたと感じると
とたんにほどける
あの手品の紐

最初から結ばれていない紐を
結んだ様にする手品の紐
それが
ほんとうの
結ばれない 恋

エッ
ほんとかよ

言葉 と 風

2012-05-01 21:46:49 | ポエム

言葉 と 風

 

かぜ というもの は
くうき が いどうする とき の
げんしょう で ある
ということはさておいて
そんなに いどうして ゆくえしれずになる ものに
ことばをからませると
つねにことばはどこかえうごいていって
じっとしていられない幼児のようになって
けんかしたりして おとなにしかられる こども ではないですか
もっと いうと むいみな げんしょう におちこんでしまう
ということをまともにうけとめると
いきおい かぜ なんかに ことばを からませては ならない
というけっかから うわさのように しか
ことばがつたわらない ことになって
このことば 木のように しげっていく みたいだけれど
いったい だれが こんな ところに
ひとのみにくい ところ を えらんで
ことばの木をうえて
いったいだれが それを そだてていくの かい
と もんくいわれても いたしかたがない ではないか
だから 辞典 というかたちで
ほごされているとしたら
その 辞典 とやらに
おさまっている 言葉 は
だれさん の 言葉 ですか
新語 という 言葉 はないのですか
ぼく は 新語 をたのしみにして いきています
ぼく は 新語 をじぶんでつくります
ぼく は 新語 でしゃべりたいのです

そんな ふうな こえ が
それこそ 風 にふかれて このあいだ
ぼくのまえに とんできました

ああ うれし

 


なんにもオトがしないと

2012-04-30 00:29:53 | ポエム

なんにもオトがしないと

 

つまり
まったくの ひどいことなんだ
なんにもオトがしないっていうことは
地下何万メートルにも
ミミをつんざくオトがしているというのに
今夜というコンヤは
やばいことしてるときのように
ゼロデシベルなんだよ
誰が
お前が

まったく
オトをたてないで
およいでいるから
クラヤミのようなんだ
そういえばコンヤはあの月が
ゆくえをくらまして
真っ暗だ
空 が

こんなよるはいやだな
こんなよるには
ミミをつんざくデシベルの
それもとっておきの
美味なメロディーで
しずかに本をよみながら
よこたわっていたいな

オトよ
よみがえれ

 

 

 

 

 

 

 

 


2012-04-28 00:27:54 | ポエム

 

このごろ
ぼくのまわりで
あさからチュンチュン鳴く雀
さっぱりいなくなった

雀の国の食糧庁長官か事務次官が
エサのない場所に指定したのだろうか
ききずてならぬじたいだよ
飢饉が発生しているのだろうか
雀の国にしんせつなお婆さんが
いなくなったのだろうか

日がないちにち
電線をみていても
やってこない雀
アスファルトの道路は
すっかりきれいに土けがない
隣近所に赤ん坊がいなくなって
雀もさみしいのだろうか

廃屋の街になる気配が
このごろ
真実味をおびてきている
そんな静かな街
地方都市のなかでも
みんなきづかぬうちに
おとぎ話が
きえていくのは
世の常になるのだろうか

電線ばかりが
いやにふえてきている

 

 


いちばんたのしいこと

2012-04-26 00:54:38 | ポエム

いちばんたのしいこと

 

それは
じぶんが
かいたことばが
いきいきとして
さかなのようにはね
ひとびとのハ-トに
いちはやくとどいて
すいすいとおよぎまわり
ぴちぴちとげんきよく
そだっていって
せかいがパ-ツとなって
キラキラキラとかがやいて
どこもかしこも
もうなんともいえないこうけいが
やまのようにせいちょうしていって
これはとんでもないことだとみんながおどろき
しだいしだいにリズムにのって
それでもはねすぎたりはしないで
やがてそのまましずかになって
それでもちいさくちぢんだりしないで
おおきなもりのようになって
それは
じぶんでなくてもよいとおもうこと