居間塵(imagine)

居間塵、と書いて、イマジン。その日その時、流れゆく時の川から、思いつくままに掬いあげる。絵図とポエムの棚

コンコンコン

2012-08-09 13:00:24 | ポエム

コンコンコン

 

 

コンコンコン
このオノマトペ
よく似ていてちがう童謡がある
雪とあられがコンコと降る歌

ところで「ン」が一つおおいのである

今日も胸のおくから
のどもとついて
コンコンコン

喜怒哀楽の彩錦が
ひるがえってウラムキになり
コンコンコン

萬華鏡はいっしゅんとまり
真っ暗闇の視界だが
コンコンコン

いつまでつづくかわからねど
いのちをつなぐ
コンコンコン

 
汗までかいてこの夏は
エアコン駆使して
コンコンコン

さてまたきょうもはじめるか
キツネが巣穴をとびだして
コンコンコンをききにくる

コンコンコンコン
コンコンコン


2012-08-03 12:02:57 | ポエム

昔  

 

アッと
すれ違いの病院の廊下
顔みあわせて
探査電波が一瞬行き交う
脳髄の記憶回路のしぼりこみ
あゝ
と聲が同時にからんで
おもいだしたが
時間のあしあとをまるだしにして
とにかく
微笑む

昔が
幽霊のようにうごく
あゝこれが幽霊か
と、認識した
たちまち
病院の廊下が回り舞台になる
幻の舞台
これをアートにしたのが
ワビ サビ だなとおもう

廊下の立ち話ではなにも語れない
ワビ サビ まで時間がかかるので
アバヨと
お互いが手でしゃべって
昔から出たら
カンカン照りのアスファルトが
ひとつのオールドタイムを
溶かしていた

とろけた昔をふみつけながら
暑い! とひとりごと

 

 


肉軆論

2012-08-02 01:19:16 | ポエム

肉軆論

 

いま
僕の肉軆の首都に
しかけられている
爆発物について
湾岸線をたどってゆくと
いま
わずかの気泡が
ブクブクと
わきでている場所がある
その暗黒の林では
すべての鳥は
黙るか
はげしく鳴きたてるか
どちらかだが
いずれ
日差しなき林には
ホトホト疲れたかすかな風が
通りぬけたあと
映画のように
爆破犯が導火線に連動する
セシボンな仕掛けを
セットしたのが
セコンドをきざみはじめるだろう

爆発物処理班は
白亜の殿堂で
いま
100%にならない
思考錯誤が
あと、数千時間で
しあがるかどうかで
火花をちらしている

その火花は
完成すると
花火のように
美しいのだが
はかなくきえるから
夜空の暗闇ばかりが
めについてはなれない

それよりも
僕は肉軆をはげまして
暗い林の鳥たちをめざめさせ
煌めくバラードを
スローなロックで
思いっきり唄いたい
そして
ステージの照明は
赤色だけでいい


想念

2012-07-29 12:13:46 | ポエム

想念

 

想いが
どこかから
やってくる
それは
自分のこころが
いつのまにか
よびよせているから
やってくるのだ

そして
こころが
そまってゆく
色彩は
その想いによって
さまざまに変幻する

自分の世界でおこることは
現実とマッチするとはかぎらない

真っ赤なホノオか
真っ白なホノオか
真っ黒なホノオか
真っ青なホノオか

えんえんとつづく
マッチしない色彩に似ている

なにとなにが
マッチしないのか

静止した鉱物のようになる
地下にもぐるモグラになる

いずれにしても眼球の
免疫力をたかめないと


さりながら

2012-07-24 00:53:39 | ポエム

さりながら

 

時間は
わすれるための
もっともこころづよい道具だ
と、おもわないかい?

あゝ
そんなこともあったんだ

思い出が
うまれかえってきても
それはもともとの姿をしていても
果物のように
熟れているとはかぎらない

ガラスのケースのなかの
お人形のように
泣いたりも笑ったりもしないものになっているから

そう思うと
時間がない 時間がない

さわぐほど
つまらないことはない

 
時間は魔法の杖にはならない

おおくのものを
しっかりと
つれてゆく
それって
掃除機ににているね!


名前をつけないで保存

2012-07-17 21:04:38 | ポエム

名前をつけないで保存

      ―液体の糸の流れる音―         

 

子供は「今」を歓んでいる
大人は「今」をお願いしている
子供と大人の間は幾つもの迷路になっている
歓待されている「今」と
疎まれている「今」は
連結して
列車となってレールの上を
果たして走ることができるのか

前も後ろも左も右も
あるはずの
結びの糸は見つからない

見つけようとする人と
あっけにとられている人と
「今」をまんなかにすえて
子供と大人を
結びつけるものが一つある

その糸は
赤い液体の糸
人の身中をとうとうと
音を立てて流れている
この赤い液体
いきものの
いのちの泉か噴水か

時々この液体の糸の流れる音が
耳に聞こえることがある

ザッザッザッザッ と
聞こえる聞こえる

ザッザッザッザッ
ザッザッザッザッ

エッ!
耳鳴りでは断じてない
耳鳴りではないから ネ!

 

 


どこえいったの

2012-07-17 19:26:29 | ポエム

朗読のための詩 「ドレミの音階で朗読」

 

どこえいったの ド

蓮根の穴を捜してみて レ

みれども見れどもみあたらない ミ

ふあふあの布団のうえでおどってるみたい ファ

空はあおてんじょうに漉きとおっているよ ソ

ららら ららら 乱高下 ラ

辛辣な忠告ありがとう シ

どこからか大きな音がするだけで ド

信じていたものがなくなって シ

楽になっても始まらない ラ

そしたらも一度最初から ソ

普段の仕方でやり直し ファ

皆んなで一緒に輪になって ミ

レースの思想をおっぴろげ レ

土砂降りの雨にさらそうよ ド

 

 


ある抽象的な虹彩

2012-07-09 18:58:15 | ポエム

ある抽象的な虹彩

 

円錐形の光が
つきささった痛い都市で
すべての邂逅が
キャンパスの芝生のように
ひろがっている
重い想いが
子供のように散らばる
アスファルトは波をうち
エレクトロニクスは
長距離運転をめざし
森や池や鳥たちは
アリスのような世界の中へ
たちさってゆく

夢幻の白光よ
もういちど
キャンパスから出発したいな

書物を両腕にかかえて
階段の蔭で
人の足音を目にしたいな

ボディーのチャックが故障して
なおらないのに
鳥は平気でさえずる


パズル「ベンチ」

2012-07-02 11:54:56 | ポエム

パズル「ベンチ」

 

ベンチには
いろいろなひとたちがすわる
なにかといっしょにきてすわる
たとえば野球の選手がすわるベンチとして
アイウエオ順でさがそうか

一番バッターは
愛をつれてくる
おおきな愛の先頭バッターホームランを

二番バッターは
今をつれてくる
今をみつけられるような三塁打を

三番バッターは
歌をつれてくる
悲喜こもごもがころがるようなテキサスを

四番バッターは
液をつれてくる
すきなものを川のようにながすヒットを

五番バッターは
丘をつれてくる
あまりにもおおきなあたりでみんなふっとんだ

おかげで六番バッターは
パズルがとけなくて
ベンチにはすわれなかった

 

 


追いかけてみたら

2012-06-26 13:25:18 | ポエム

追いかけてみたら

 

そいつは
すきまかぜのように
すりぬけてゆく
物や人びとのあいだを
一足お先に!
とかなんとかいって
するすると追いこしてゆく

追いかけていってみると
そこは時間の海だった
たくさんの難破船と
すこしの豪華客船と
港をうしなった船の群れ

水平線あたりだろうか
もうもうとして
海が蒸発していく
水蒸気が
ぼう ぼう ぼうと
天上へ 天上へと

水温は異常に高く
摂氏100度にちかい

夢が朝方蒸発するのも
こんな温度の上昇が
脳中枢でおこっているのだ
そして ひからびたちいさな丘たちは
夜明けの日にさらされて
ゆっくりとおぼろげに
世界の屋根から
気もそぞろに わくわくとして
それぞれの舗道へと降り立つ

朝一番の短い影を飼い犬のようにつれて

 

 

 


「さん」

2012-06-25 12:26:44 | ポエム

「さん」

 

 こんにちは
 いいお天気さんで

お隣の御婦人の
朝の挨拶でした

天気に「さん」をつける
天気を敬語でよぶ
自然に感謝を
という想いが
「さん」となる

ここだけでは
優しいのだ
それ以上は
雲のなかにしておけばよい

「さん」は
そういうものだ

 


強いて言えば

2012-06-25 11:39:28 | ポエム

強いて言えば

 

その朝は
小さい小鳥の様になって
森の中にいた
朝一番の曙の太陽は
きらきらとして
僕の翼を照らしていた
翼のあることを
すっかり忘れていた

僕は元気を取り戻した
今は小さい翼だけれど
ラッキーのはじまりだと
大鷲の翼のようになることもできる
力強い飛翔も
夢ではなくなる

夜になるまで
僕は待った
夢をみるためには
できるだけ永い夜がほしい

その日の夜は「超」永かったから
僕の思いをかなえてくれた
だから何時までも夢に浸ることができた

最大の大鷲になって
ちいさな森なんかではなく
頑丈な岩壁のうえで
広大な視界をまえに
翼をおおきくひろげ
獲物をねらっていた

僕の描いたたった一枚の絵が
とあるマジシャンのポケットにあるそうだ


2012-06-24 13:51:46 | ポエム

 

あかいはなに
あかいみがなる
それははなのいろに
みもそまってしまうから
それとも
いろはおなじでも
なかみはちがったものを
みはもっているのかもしれない
みをわってみて
なかみをみてみれば
それはわかるけれど
わらずにおくほうが
こころをそだてるのではないだろうか
あまり
りろんてきではないけれど
りろんてきではないほうが
ぼくは
いちばんたのしいのだ


おたまじゃくし

2012-06-23 12:32:27 | ポエム

おたまじゃくし

 

おたまじゃくしは
かえるのこ
ごせんふのうえにのぼれば
ミュージシャン
たえなるおととなりすまし
ひとをあいてに
みみからはいって
たえなるサウンドで
ひとのかんじょうを
じゆうじざいに
てだまにとって

喜怒哀楽
風声鶴唳
垂直傾斜
遊動円木

おたまじゃくしは
かえるのこ
ごせんふのうえからおりたなら
りっぱなごせいちょうを
まちましょう

そうして
いちおしの
ふるいけさがして
とびこみましょう

 


ああそうゆうことか

2012-06-23 00:25:48 | ポエム

ああそうゆうことか

 

あれは
いつかの
あのひとすじの
あかいゆうひいろになって
ろじょうをおうだんしていって
すーっときえてしまったが
ひかりというものは
かんたんにさえぎられるものだったんだ
それからひかりはどうしたんだろう
せいしふめいのまま
ひとびとにわすれられ
そのままかげにもならず
さりとてこうぎもしないで
たんたんときえてゆくのだ

しかしまたすぐにまいもどり
あかいゆうひいろになって
たちあらわれて
いっしゅんのいきおいで
ろじょうをおうだんしていって
すーっときえてしまう
そうやってたえずすきまをうめているのだ

ぼくはそれをすくおうとしたら
ぼくはめずらしいかげになった