価値
或る人が
徒歩で会社へ出勤し
或る人が
車で会社へ出勤する
どちらが価値のある出勤かというと
そんな事でどちらに価値があるかを
決められっこないのである
出勤手段だけで決められない事なのである
価値を問うのなら
何故徒歩出勤するのか
何故車出勤するのかを
きいてみないとわからないのである
しかし現代は考え方がいくとおりもあって
そんなに単純には決められないのである
一つの観点というものをさだめないと
どちらも価値があるし
どちらも価値がないということになってしまう
それが現代という世界の状態であるからだ
普遍的で完全無欠な価値というものは
現代では人間が手を出さない自然のみにあり
人間社会には無数の過程的価値があるのみである
その価値たるや
よくよく考察してみれば
たいへん惨憺たるものなのである
現代社会における価値とは
幾らでも在り
少しも無い
というものなのだ