竹が生えている
大量の辞書の
意味の世界のように
地下茎をべったりと張り巡らせて
繁殖している
地上にのびていくのは
言葉の記憶
それとも
言葉の混乱
いや、みためには混乱はない
断絶を寸時も許されないもの
たとえば
心臓の鼓動
自分という手づくりの標本
風にふかれてもたおれない芯
ひときわ背の高い目的
いうならば
高さの弱点をカバーする意志
時々
風雪でたおれそうになっても
しなやかに
まがるだけで決して折れないもの
節(ふし)と節(ふし)とをその気にさせるあざやかな愛着
竹はそういう世界の生き物にちがいない