前回の続きです。
現在の物理学では、ニュートンの運動方程式により質量mと加速度αを使って力Fを定義します。従って力の次元は[M][L][T]-2とします。
F = mα
しかし力の定義には他の方法もあり得ます。例えばバネにおけるフックの法則を考えてみましょう。バネの自然長x0、力Fをかけたときの長さx、バネ定数kとして、
F = k*(x-x0)
この式には比例定数としてバネ定数がありますが、この定数を無次元量として力の次元を長さの次元と同じにすることも可能なはずです。困ったことにバネ定数はバネによって違いますが、何か基準となるバネを用意してそれが単位長さだけ延びる力を力の単位とできるでしょう。ちょうどキログラム原器やメートル原器のように力原器を作ればいいのです。と、言うは易く行うは難し、ということは明らかですね(^_^)。バネ定数はバネの長さでも違いますし、伸び(歪み)と自然長との比を使い弾性率を無次元量にしてこれを使うとしても、弾性率もまた材料ごとに違いますし、ちょっとした熱や経時変化でも変わってしまいます。
さてフックの法則とニュートンの運動方程式を比べて見ると、質量というのは力と加速度の関係式における比例定数とも考えられることが見て取れます。質量とてバネ定数と同じく物体により異なります。ただ質量は物体が一部を失うとかしない限り変化しません。従って時が経っても変化しないという保存則が成り立ちます。放置しても経時変化してしまうバネ定数との大きな違いです。
しかしこういう実際的条件を別にすれば*1)、考え方としては力の次元を長さの次元と同じくするということも可能なのです。また力の単位"ニュートン(N)"が定義される以前の単位"kg重"では、力と質量の次元が同一だという見方もできます。
まとめると、物理量における組立量の次元は物理法則から得るのですが、どんな物理法則を使うかで次元の定義が異なりうるのです。力の次元を[M][L][T]-2と決めてあるのは、ニュートンの運動方程式を中心とする力学において便利だからなのです。そう、これは実は物理帝国主義の陰謀だったのです(爆)
冗談はともかく、次は次元を増やす話をします。
-------------
*1) 実際的条件が極めて大切なのだが
現在の物理学では、ニュートンの運動方程式により質量mと加速度αを使って力Fを定義します。従って力の次元は[M][L][T]-2とします。
F = mα
しかし力の定義には他の方法もあり得ます。例えばバネにおけるフックの法則を考えてみましょう。バネの自然長x0、力Fをかけたときの長さx、バネ定数kとして、
F = k*(x-x0)
この式には比例定数としてバネ定数がありますが、この定数を無次元量として力の次元を長さの次元と同じにすることも可能なはずです。困ったことにバネ定数はバネによって違いますが、何か基準となるバネを用意してそれが単位長さだけ延びる力を力の単位とできるでしょう。ちょうどキログラム原器やメートル原器のように力原器を作ればいいのです。と、言うは易く行うは難し、ということは明らかですね(^_^)。バネ定数はバネの長さでも違いますし、伸び(歪み)と自然長との比を使い弾性率を無次元量にしてこれを使うとしても、弾性率もまた材料ごとに違いますし、ちょっとした熱や経時変化でも変わってしまいます。
さてフックの法則とニュートンの運動方程式を比べて見ると、質量というのは力と加速度の関係式における比例定数とも考えられることが見て取れます。質量とてバネ定数と同じく物体により異なります。ただ質量は物体が一部を失うとかしない限り変化しません。従って時が経っても変化しないという保存則が成り立ちます。放置しても経時変化してしまうバネ定数との大きな違いです。
しかしこういう実際的条件を別にすれば*1)、考え方としては力の次元を長さの次元と同じくするということも可能なのです。また力の単位"ニュートン(N)"が定義される以前の単位"kg重"では、力と質量の次元が同一だという見方もできます。
まとめると、物理量における組立量の次元は物理法則から得るのですが、どんな物理法則を使うかで次元の定義が異なりうるのです。力の次元を[M][L][T]-2と決めてあるのは、ニュートンの運動方程式を中心とする力学において便利だからなのです。そう、これは実は物理帝国主義の陰謀だったのです(爆)
冗談はともかく、次は次元を増やす話をします。
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*1) 実際的条件が極めて大切なのだが
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