数年前に話題になった小説で、題名を覚えてた。
図書館で目に入ったのを機に借りてきて読んだのだが、読むの大変だったなー。長かったー。
物語がなかなか進まなくて、飽きちゃう事も多かったし、読んでいて暗い気持ちになる事も多かった。
「あぁ、こういうことかー」って思い始めたのが、物語の本当に終盤。
2月7日に読み始めて、読み終わりが今日(2/19)。今日の、本当に読み終わりの方。全4巻の。
どういう事か、と私が思ったのかというと、
良いも悪いも、分からない。結果良ければ全て良し。
わー、上っ面だなー。
ただ、この感じは私の座右の銘に似ていて『all things happen for the best』。今は、全てがベストに向かって起きているのでは無くて、「起こった事を良い方向へ持って行こう」っていう自分の意識の持ち方だな、って思ってるけど、まず、それはさておいて。そう、今まで座右の銘と思っていたその考え方に似ているので、ちょっと受け入れられた。
そうでもなければ、なかなか受け入れられなかったかも知れない。
美術館の爆発事件に巻き込まれた13歳の主人公テオは、成り行きでその場から絵『ゴールドフィンチ』を持ち出してしまう。保護者の母親を無くしたテオの、その後の生活が描かれるんだけど、親切な友人の家庭に引き取られたかと思いきや、愛人を作って行方不明になっていた父親が迎えに来て、父親と愛人と一緒に暮らす生活の中で、親友とアルコールや薬物に溺れる日々を過ごす。その内父親が賭け事で借金をして、母親がテオに残していた財産を騙し取ろうとしている事が発覚する。その直後に父親は事故で亡くなり、身の振り方を大人に決められるのを嫌ったテオは、ずっと隠し持っていた絵を持って、母親と一緒に暮らしていたニューヨークに戻る。
ニューヨークに戻った主人公は、爆発事件の関係で知り合った古物商のお店に保護されて生活するようになる。
そこから8年経過して、テオは古物商で働いている。一見まじめに生活を送っているようだけど、破綻の危機にあった古物商を立て直すために商売で詐欺をしていたし、薬物から離れてもいなかった。親友の妹との結婚がきまり、その婚約パーティーに、昔の悪友が現れる。テオが大事に持っていたと思っていた『ゴールドフィンチ』は彼によってすり替えられ、その絵を巡って、その絵を取り戻すために?とにかく一緒に来い!と連れ出される。
そこから、絵を巡って、ギャング?のような人たちとの取引、やりとりがあり、なんやかんやで、テオは人を殺してしまう。親友に「とにかくホテルでじっとしとけ」と言われたテオは、1週間くらいかな?ホテルで一人悶々と色々考えて、不安に陥り、薬物での自殺を試み、失敗したその足で、自首しようとしていた。(物語はここから始まって、すぐに13歳の頃に遡る)その矢先に、親友が戻ってくる。
この辺から、やっとだんだん分かるようになる。
親友は、ギャングのアジトを見つけ、そこに美術館から盗まれた絵がある事を、警察に情報提供した。情報提供により、報奨金を得ることができた。しかも、そのアジトには他の報奨金がついている名画も隠されており、多額の報酬金を手に入れることができた。『ゴールドフィンチ』がどういう経緯で持ち出されたか、探られることなく、絵の状態を万全に保つ美術館へ戻す事ができた。
お前があの時絵を持ち出さなかったら、俺が絵をすり替えなかったら、ギャングと揉めなかったら、他の名画達も世の中から隠されたままだった。だから、色々あったけど、結果、よかったじゃないか。大金も手に入って、しかもこれは、悪い事をして得た金ではない。
という、強引なハッピーエンド?
その後、どうやらテオは古物商の同僚(元保護者だね)にも同じような説明をして、古物商の同僚もそれで納得し(?)、テオは報奨金で得たお金で、詐欺で売った家具を買い戻す旅をしている。
って感じで物語が終わっている。
おおぅ、なかなか受け入れ難い物語。でも、そう、そんな風な考え方でもいいのかな。どんな人生であれ、それをベストと思っていればいいのかな。
私はあまりにも恵まれた人生を送りすぎて、不幸な境遇で育った人達の考え方とか、全く分からぬ。アルコールや薬物に溺れるのは、破滅の道を進んでいるとしか思えない。やむなくそこに至ってしまう心境とか分からない。
でも、この物語が沢山の人に読まれて、好評を得たのは、多くの人が共感できる所があったからなんだろうと思った。
思えばすぐ近くに、幼い頃に親を災害で亡くした人とか、虐待を受けてたりとか、施設で育ったりとか、家が貧乏で進学できなかったりとか、子供の頃から祖父母の介護してたりとか、そんな事例がいっぱいある。
もしかして自分は、ごく少ない、稀少な、本当に幸せに育った人間なんじゃないだろうか。私は、ありのままの自分を受容してもらえる環境があれば、ひとは社会において善き存在になると、信じているんだけど、それって、やっぱり、こんなにも幸せに育ってきたからなんだろうか。
世の中には、私の想像を絶する生き方をしている人が、実はものすごくいっぱいいるのかも知れない。そして、わたしには、その人たちの、ものごとの感じ方とか、全然わからないのかも知れない。な。
なんて、色々と考えさせられました。
が、ほんとーに、読むのが大変だったので、もう一度読もうとは思わない。実は第4巻が結構、わけわからないまま読み進んでいて(多分テオ自身もわけわからんままものごとが流れているはずだから、分からないままでも良し!として)、だがしかし、もう一度読めば、色々分かることも出てくるんじゃないかと思うんだけど、やっぱもう読む気しないーーー。
もう一つ。この物語の登場人物達は、美術品をとても大切に思っていて、その事がもう一つのテーマなんだと思う。絵についても、古物についても。だから『ゴールドフィンチ』なんだと思う。これを書かなければ、筆者が残念に思う気がするので、書いておこう。
終わり。