生物界の法則をいくつか取り上げ、それら法則が具体的にどのような法則なのかが詳しく紹介されています。
そしてその法則から導きだされる生物界の未来予想や、ヒトの未来のために今するべき事は何なのかの考察が書かれている本。
いくつかの法則が挙げられているけれども、著者が一番伝えたいのは『アーウィンの法則』なんじゃないかと思った。
「生物界は我々が思っている以上に広大で、多様だということ」
ヒトはとかく自分中心に考えがちで、生物における研究も、ヒトに似たものやヒトに役立つものを中心に行われてきた。しかし、生物界において、ヒトが研究済みのものは極々一部で、ヒトがよく分かっていない生物が大多数である。
コレだけでは全く伝わる気がしないんだけど
本の内容は、他の法則の話、生物の進化や絶滅の話、未来の地球環境の話など多彩で、いずれも生物学における人類の知識が偏りがちで、分かっていない事、目を向けていない事が多くある事が示唆されているので、アーウィンの法則を実感させられるのだ。
『私たちヒトが知っている事は、多くの生物のほんの一部にすぎない。生物界はもっともーっと広い』
ということをたくさんの人に伝え、理解して欲しい!というのが著者の意図と感じました。
その中でも、印象に残った内容を2つ。
生物界の多くを占めるものが細菌。細菌はヒトの体の中にも外にもいるし、ヒトが利用している動物や植物にも、環境の中にもいるのに、その研究はいっこうに進んでいない。
宇宙にコロニーを作ってヒトが住む計画も考えられているが、果たして可能だろうか?どの細菌がどういう役割を果たしているのかも分からないのに、良好な環境を作れるだろうか?
コレを読んだ時に、『宇宙から帰ってきた日本人』の中で毛利衛さんが言っていた事を思い出しました。
地球に帰ってきてハッチが開いた時に気付かされた事。「湿った空気が入ってくる。すると、いろんな匂いがする。いろんな匂いがするということは、微生物がそこに含まれているということです。〜〜そして、『あ、これが地球なんだ』って思った。
おお〜、裏打ちされとる!
地球環境を再現するって難しいんだね。無菌状態で生まれ育った時、ヒトは健康ではいられないのに違いない。
果たして将来、地球人は地球外で生きていけるのかな?その時には、ヒトもまた、それに対応して進化してるってことか!?
もう一つ。
『ヒトの胃は産まれた時は中性』
コレ知らなかった!ビックリよ!
産まれてから1ヶ月くらいは中性で、だんだん酸性になっていくんだって。
なので、産まれてから、1ヶ月くらいの間に、どんどん細菌を体に取り込む。産道で母親から細菌を受け取るってのは知ってたけど、必要な細菌、体に合う細菌って一人一人違くて、だから、遺伝的に似ている母親から最近群を受け取るのって、とっても効率的なんだね!
産まれた後も、母乳をもらう時にも、細菌も一緒にもらうし、産まれた環境下にいる細菌も、育った環境下にいる細菌も取り込む。家庭に動物がいると、いろんな細菌がいて、良いようだ。
胃が酸性になっちゃったら口からは取り込めない。
でも、その間にヤバい細菌に遭っちゃうと、ヤバいわけだよね??
なんて危うい!!
でも、それほど危うくはないって事なんだな?
とにかく、細菌って、よく分かってないけど、人間にとって、とっても大切なようですよ。