2013年の新年を迎え、すべての有名サイトでNO1に輝いた当ブログ人気作品─新青春うたものがたりシリーズ『風のある町』─が、Googleサイトにおいて約115,000,000 件中1位を獲得するという大快挙を成し遂げました。それを記念して新シリーズとして─新青春うたものがたりシリーズ『風のある町』─を 再スタートさせて頂くことにしました。前回の連載同様どうぞよろしくお願い致します。
企画 / 下家 猪誠
作 / 猪 寿
第6話/ 最後の愛の交換
~空の上の結婚式~2
◎前回のあらすじ
愛の母親の百合子の手助けによって、なんとか大輝は愛の望みである「大空を飛んでみたい・・・」という願いを叶えてあげようと努力をするが、彼女の主治医である堂本誠の反対により、あっさりとその望みは絶たれてしまった。
帰り際、堂本の勧めもあって愛の病室を訪ねた大輝がその事実を彼女に伝えると、彼女は泣き狂ったように点滴用の器具を自らすべて取り外して床に投げ捨てると、無菌室の扉を勝手に開けて四人がいる病室の待合室がある廊下の外に飛び出して来た。
そして、両親の泰三と百合子や主治医の堂本の前で床に跪きくと、大粒の涙をボロボロ零しながら自分の最後の頼みを聞いて欲しいと大声で訴えた。
「お願い、私にはもう時間がないの・・・」
「それは、本当はパパやママそうだけど、先生だって知っていることでしょう・・・」
「だから、私は自分の命と引き換えにしても、大輝との残こされた時間を少しでも多く一緒にすごして大切にしたいし、自分の望みを叶えたいの・・・」
さすがに、愛のそんな行動をみたら、どんなに頑固な泰三であろうと、心を動かされずにはいなかった。
もちろん、それは百合子も主治医の堂本も同じ思いだった。
そんな二人の親心とはまったく逆に、愛は久しぶりに空の上から見る街や海、山並みの景色に、大感激した。
「大輝、やっぱり空の上に来ると、いつもくよくよしている自分が馬鹿らしく思えるほど、気持ちが晴れやかになれるし最高ね。」
「これは、もしかしたら、私が今生きているという実感から来ることかしら・・・」
「僕には、そんなに難しいことは分からないけど、きっと愛の言う通りだと思うよ。」
「じゃあ、やっぱり死んでしまったら、こんな気分は味わえなくなるんでしょうね。」
「今日は、そんな湿っぽい話はやめようよ。」
「?????」
「だって、二人の結婚式じゃないの。」
「ごめん、そうだったわね。」
大輝がそう言うと、彼の言葉にこのセスナ機に同乗していた全員が同調して頷き、二人の結婚式を祝うために長渕 剛の“乾杯”を歌い始めた。
♪かたい絆に 想いをよせて・・・
そのとたん、大輝と愛の目には自然に涙が溢れ出していた。
そして、みんなの大合唱が終わると、主治医の堂本誠が神父代わりになって、愛が自分の命を賭けても望んでいた、大輝との空の上での仮の結婚式が挙げられた。
「その健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」
「はい、誓います。」
「はい、誓います。」
二人とも堂本の言葉に、何のためらいを見せることもなく、結婚を誓いあった。
そして、誓いの言葉が終わると、百合子が二人のために用意してくれていた指輪の交換が行われた。
さらにまた、堂本を始めとして今日二人の結婚式に出席してくれたみんなが用意した、ウェディングケーキへの入刀式が行われた。
ウェディングケーキ自体は、やはり本物の結婚式の会場で挙式をあげるときの物のようにはいかず、かなり誕生日時のような小さなものだったが、ずっと二人とっては本物の挙式のときのケーキよりも大きく、価値のあるものに思えた。
今回の空の上での挙式のことが、まったく二人には知らされていなかったために、指輪の交換を終えケーキの入刀が終わる頃には、もう二人の目の色は真っ赤に変色してしまうほど、みんなの温かい気遣いに対する感激で胸がいっぱいになり、自然に涙が溢れ出して来て止まらなくなっていた。
それからの大輝と愛は、いつの間にか周囲に人がいるのも忘れてしまって、二人だけの世界に入り込んでしまい、ボロボロと頬を伝って零れ落ちるお互いの涙を拭いあいながら、いつしかい抱きあっていた。
そして、知らず知らずのうちに二人の唇は、まるで一心同体でもなるようかのように引きよせられてひとつになり重なり合っていた。
だが、それは愛にとって大輝との最後の口づけであり、最後の愛の交換でもあった。
藤原綾子
◎紹介コメント
最近は、あまりご挨拶は頂いていませんが、よく以前はご挨拶に遊びに立ち寄ってくれていました。ほとんど、お話したり直接お会いしたりしたことがありませんので、正直なところ本当の意味での藤原綾子さんがどんな方なのかはまだよくは分かりません。ただ僕が藤原さんの写真や文章を見て感じていることは、かなり前向きで気丈な性格(人前では、絶対に弱さを見せない)の方ではないかと思っています。
◎プロフィール
職業:Vert Mer 代表
出身校: 早稲田大学
居住地: 世田谷区既婚
言語: 日本語、英語
血液型: O型
出身地: 世田谷区
誕生日: 6月20日
ウェブサイト:http://www.vert-mer.com/
メールアドレス:http://facebook.com/ayako.fujiwara1
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当関連ブログ
gooブログ「おとぎのお家と青い鳥」
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