おとぎのお家と青い鳥

本ブログでは、主に人間が本来持つべき愛や優しさ、温もり、友情、勇気などをエンターテイメントの世界を通じて訴えていきます。

新 青春うたものがたりシリーズ「風のある町」7 / A town with the wind

2013-03-04 19:23:12 | 人・愛・夢・運命・教育・家族・社会・希望

2013年の新年を迎え、すべての有名サイトでNO1に輝いた当ブログ人気作品─新青春うたものがたりシリーズ『風のある町』─が、Googleサイトにおいて約115,000,000 件中1位を獲得するという大快挙を成し遂げました。それを記念して新シリーズとして─新青春うたものがたりシリーズ『風のある町』─を 再スタートさせて頂くことにしました。前回の連載同様どうぞよろしくお願い致します。

ピアノ

企画 / 下家 猪誠
作 / 猪 寿

第7話/ 生きていることが一番の幸せ
      ~愛のスカイダイビング~2

どんなに淋しくたって 生きていることが一番の幸せだと
誰かが言っていた
どんなに悲しくたって 生きていることが一番の幸せだと
誰かが言っていた
どんなに苦しくたって 生きていることが一番の幸せだと
誰かが言っていた
それは、きっと本当だろう・・・
だって生きているからこそ 笑ったり
だって生きているからこそ 泣いたり
だって生きているからこそ 怒ったり
だって生きているからこそ 楽しんだり
この両手で抱えきれないほどの いっぱいの感動に出会えるんだもの


◎前回のあらすじ


愛の「大空を飛んでみたい・・・」と望みが、彼女の命がけの訴えで叶うことになった。
「お願い、私にはもう時間がないの・・・」
「それは、本当はパパやママそうだけど、先生だって知っていることでしょう・・・」
「だから、私は自分の命と引き換えにしても、大輝との残こされた時間を少しでも大切にしたいし、ひとつでも多くの自分の思いを叶えたいの・・・」
そしてもうひとつ、愛が大輝に頼んだことは、最後の二人の愛の証としてお互いに結婚衣装を身に着けて、スカイダイビングを行うことだった。
例え、それが仮の結婚式だと分かっていても、自分が「大空を飛んでみたい・・・」と望んでいた空の上で、大好きな大輝と結婚式があげられることは、あと数ヶ月の限られた命しか残っていない愛にとっては、この上ない最高の幸福だった。
TOKIOスカイダイビングクラブに到着後、約三十分ほどの簡単なレクチャーを受けた大輝と愛は、オーナー兼スカイダイビングのインストラクターでもある谷口自身が操縦桿を握るセスナ機で、遊覧飛行も兼ねたて主治医の堂本誠や、担当看護師の吉田由美子らと一緒に四千メートルの上空へと向かって飛び立って行った。
大輝と愛が“夢を見ているのではないかと・・・”と思うほど驚いたのは、彼女が望んでいた結婚衣装を身に着けて、スカイダイビングを行うことだけではなく、みんながセスナ機の中で二人のために結婚式を挙げてくれたことだった。
主治医の堂本誠が神父代わりになって、愛が自分の命を賭けてまで望んでいた、大輝との空の上での結婚式が行われた。
「その健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」
「はい、誓います。」
「はい、誓います。」
二人とも堂本の言葉に、何のためらいを見せることもなく、結婚することを誓いあった。
そして、今日の二人の結婚式に参列してくれた人たちみんなの、予想もしていなかった温かい心遣いに対するあまりの感激から、指輪の交換が無事終了しケーキの入刀が終わる頃には、もう二人の目の色は真っ赤に変色してしまうほど、勝手に次から次に涙が溢れ出して来てしまい止まらなくなっていた。
そのあまりの感激から大輝と愛は、いつの間にか周囲に人がいるのも忘れてしまって、二人だけの世界に入り込んでしまい、ボロボロと頬を伝って零れ落ちるお互いの涙を拭いあいながらい抱きあっていた。
そして、その姿がごく自然で当たり前のように、二人の唇はまるで一心同体でもなるようかのように、ひとつになって重なり合っていた。
だが、それは愛にとって大輝との最後の口づけであり、最後の愛の交換でもあった。


「お二人さん、もう愛の交換タイム(時間)はもう終わりましたか?」
みんなが搭乗しているセスナ機を操縦している、TOKIOスカイダイビングクラブのオーナー兼インストラクターでもある谷口が、ちょっと大輝と愛をからかうふうにそう言うと、二人はお互いに顔を見合わせ照れ笑いした。
その姿は、まるで新婚生活を迎えたばかりの、本当の夫婦のようだった。
「どうやら見たところ、愛の交換タイムも終わったようだし、そろそろスカイダイビングの準備に入りますか?」
「はい、大丈夫です・・・」
大輝が谷口に向かってそう答えると、愛も「私のほうも大丈夫です・・・」と、結婚式を挙げた時と同じように、大輝に同調するかのように言った。
早速、二人は2000回以上のスカイダイビング歴を持つという、ベテランインストラクターの相葉浩と稲垣健一の指示に従って、結婚衣装の上にジャンプスーツを着込むと、ヘルメット、ゴーグル、手袋などのスカイダイビングに必要な防寒具を身に付けた。
そして、二人は防寒具を身に付ける準備が終わると、インストラクターと体を固定しジャンプするための、ハーネス(パラシュートを装着するための器具)と呼ばれるベルトを背負った。
大輝は相葉と、愛は稲垣と、それぞれにパートナーを組むことになった。
二人が感激したのは、谷口の粋な計らいで大輝と愛が空中で話が出来るように、ヘッドホンマイクを用意してくれていたことだった。
ただ、このハーネスと呼ばれるベルトは、思ったより躰を強く締め付けるものだったので、大輝が愛に“大丈夫か?”と聞くと、笑顔でピースサイン返って来たので一安心した。
このハーネスを強く締める理由は、空中でパラシュートを開いた瞬間に、その空圧でベルトが強く肩にくい込んだり、その反対に躰からすり抜けたりしでもしたら危険だという、安全性上の問題からだという。
「さあお二人さん、いよいよお待ち兼ねの空の散歩に、出掛けることにするかね・・・」
谷口のその言葉で、大空に飛び出すための乗降口が開かれた。
おそらく、初めての体験だということもあったし、その風圧の強さと空気の冷たさに恐怖感に襲われたのだろう。
乗降口が開かれたそのとたん、ほんの今さっきまで空中に飛び出すジャンプの準備をしてはりきっていた、大輝の顔色が全身から血の気が引いたように青白く豹変し、思わず腰が砕けたように後ずさりした。
「ち、ちょっと待ってください!」
そんな大輝の、子供のようなへっぴり腰で言い訳をする態度を見て、最初はクスクス苦笑していた愛も、最後は思わず吹き出した。
「アッハッハハハ・・・」
「あ、愛、何がそんなに可笑しいの!」
「だって、大輝がそんなにビビっているところ、初めて見たんだもの。なんだか、子供がお医者さんに注射をされるとき怖がって、無意識に自分の中だけで注射は痛いものだと決め付けて、駄々をこねている姿を見ているみたいで可笑しくて――アッハッハハハ・・・」
「そ、そんな、子供が注射を怖がる話と、今のことを一緒にするなんて・・・」
「愛、それってちょっと酷くない・・・」
「まあ、まあ、お二人さんもう夫婦喧嘩は止めて、やることやらないとね・・・」
「旦那がそんなビビリじゃ、奥さん行く先大変だね・・・」
谷口がそう言うと、機内中で大爆笑が起こった。
それに釣られて、大輝も気持ちが解れたのか、右手で頭をかきながら照れ笑いした。
その瞬間だった。
大輝が、相葉に「躰の力を抜いて大きく深呼吸して・・・」と言われ、相葉の言葉に従って躰の力を抜いて深呼吸していると、いきなりドンと背中を押されて気が付いたら、もう機内の外に飛び出していた。
「うわーっ!たすけて~」
「耳が痛いよ~」
「神様、僕はまだ死にたくないよ~」
ただ、大輝がどんなに喚こうが騒ごうが、もう空中に出た以上どうすることも出来なかった。
でも、当初はさすがに大輝が喚き散らしているように、人間が自然の理屈に逆らって時速200キロで降下するということは、スカイダイビングの未体験者にとっては、かなりの風圧や息も出来ないようなスピードを感じ、これまで地上では味わったことがない、独特の恐怖感に襲われるのかも知れない。

「大輝、大丈夫よ。隣を見て私も一緒だから・・・」
突然、愛の言葉がヘッドホンを通じて聞こえて来たので大輝はビックリしたが、確かに彼女が言ったとおりに隣を見ると、愛が彼の方を見て手を振っていた。
それにしても、愛の度胸は大したものだった。
まったく大輝とは違い、彼がこれまで体験したことがない風圧や空気の冷たさに対する恐怖感から、なかなか決心がつかないために半ば強制的にスカイダイビングを実行させられたのに対して、まったく愛は逆に彼女のパートナーであるインストラクターの稲垣も驚くほど、自ら進んで自分が鳥にでもなったかのように、大空に向かってジャンプして行った。
そしてまた、時速200キロという猛スピードで降下しているのにもかかわらず、大輝のことを気遣って声を掛けたり手を振ってあげたりする、スカイダイビングの初体験者とは思えないような余裕さえ見せた。
もしかして、これは愛自身がこれまで常に死の恐怖と隣り合わせに生きて来て、いつしかその死に対する恐怖感を彼女なりに物凄い努力をして、自分の中で素直に受け入れるようになっている、ひとつの強い気持ちの
現われでもあるのかも知れない。

だが、この行動が愛の死を早めることになろうとは、このときの彼女自身はもちろんだが、大輝を含め彼女に係わっている周囲の者は誰一人として気付いていなかった。


 
 にこら善恵

◎紹介コメント

僕にとっての善恵さんのイメージは、汚れのない「自然」そのものです。もっと分かりやすく言いますと、それだけすべての人に対して愛や幸せを齎してくれる人だということです。僕が大好きな海と戯れ、僕が尊敬しているマザー・テレサを尊敬していることからも、すぐにその人柄が連想できます。

◎プロフィール

職業:リフレ 責任者
出身校: 大阪大学 医学部(看護)
居住地: 愛知県西春日井郡
出身地: 大阪府大阪市
誕生日: 4月2日
ウェブサイト:http://ameblo.jp/niconicoyoshie/
メールアドレス:nicola.yourfriend@gmail.com


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