DREAM-BALLOON

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ブログ開設から4000日!

105:お祭り~ウォークラリー~

2012-04-26 15:46:25 | ★DAILYLIFE★(acco小説)
 過呼吸を起こした守田さんが落ち着いたから、やっとこさレンジャーの皆さんに挨拶に行こうとしたのだが・・・。
「いないワヨ。中には誰もネ。」
この守田さんの一言で、僕と真悟はまたも自動ドア直前で引き返し、詳しい話を聞く。
「え・・・?誰もいないんですか!?お祭りなのに!?」
守田さんは腕時計を確認する。今、1時半過ぎだ。
「2時からね、ウォークラリーがあるノヨ。みんなもうその準備に向かってるのネ~。」
「お~。今年はウォークラリーやるんですね!!」
っと真悟。んん・・・ウォークラリー??そういえば、真悟が『毎年イベントがあるうほ~!!』的な発言を前に学校でしてたような・・・。守田さんが更に詳しい説明を付け加える。
「観察パークの外周一周でやるらしいジャナーイ。その、ところどころでクイズが出題される・・・トカ。確か、淡水池の前に集合・・・って原口さんに聞いたワヨ。まだ間に合うジャナーイ。」
「うっほ~い!それは行くしかないね、あっくん。」
「じゃぁ・・・行きますかぃ?」
淡水池か。ここからだと、ヨシ原を越えた先である。ちょっと遠い。なんと不親切なスタート場所だろう・・・。守田さんが僕たち2人を見送る。
「きゃ~師匠~!頑張ってネ~!!」
「・・・。」
行ってきますよ~。頑張ってきますよ~。

 ―淡水池
「え~。それでは皆さん、よろしいでしょうか~?」
2時にスタート予定なのだろう。少し早めに着いたつもりだったが、ちょうど原口さんが説明を始める所だった。参加者はぱっと見で10組前後。僕たちを除く全員が、工作へやってくる親子ペアである。僕たちもしれっとその中に紛れて、原口さんの説明を聞く。
「え~皆様。本日は伊豆背自然観察パーク祭りにようこそお越しくださいました。それでは本日のメインイベントでありますウォークラリーについて説明させていただきます。この公園の外周を一周。1時間少々のコースが、今回みなさんに歩いていただくコースになります。」
ふむ。確か、クイズとかに挑戦しながらゴールまで歩くんだったな。小学校の縦割り集会で何度かやったことがある。まだ僕たちに気づいていない様子の原口さん。説明は続く。
「ところで、この外周を1周しますと・・・当公園の4大フィールド全ての前を通ることになります。そして、それぞれのフィールドの前で、みなさんには合計4問のクイズに挑戦していただきます!!反時計周りに一周しまして・・・ヨシ原、汽水池、干潟、そして最後にここ淡水池の順ですね。まぁ心配されなくても、ウチのレンジャーが各ポイントにおりますんですぐわかります。それでは早速、親子・・・それから・・・」
ここで参加者の顔を見渡す原口さん。そして目が合う。やっと僕たち2人に気づいた。
「お友達でペアやトリオを組んでいただいて。1組目から順番に3分間隔で次の組がスタートになります。“三人寄れば文殊の知恵”ということわざもありますね。是非、好成績を収めていただきたいと思います!!」
なるほど。とりあえずルールは単純だ。途中、4問の問題を回答しながら公園を一周する訳か。
「俺らさ~、最後でいいよね??」
「うん!全然おっけー。」
真悟の提案を心よく受ける。全10組としても、最後の組はスタートまで30分待ち。小さい子には少々長い。その役目、僕たち中学生が引き受けようではないか。一方、原口さんは、3分間を確認したり、スタートの合図を出したりとまだまだ忙しそうだ。先にスタートする組を見ていると、直前に原口さんからカードのようなものを受け取っている。どうやらクイズの正誤を記入してもらうようなものらしい。

 約30分たった。さあ。残すは藤村・植村組だけである!!やっと原口さんと話ができる。
「はぁ、疲れた疲れた。・・・おう!お2人さん!よう来たのぉ。クイズ頑張ってくれ~。」
「まぁ頑張りますけど・・・あっくんと2人だけなんで・・・。」
「え!?ちょいゴリラ!!僕じゃ不安!?」
まぁ否定はできないが・・・。慌てて誤解を解く真悟。
「違う違う!!ほら!2人やとさ、使えんやん?文殊の知恵が。頼りになるよあっくんは。」
「あ・・・そういう事?」
一安心。実際ことわざ通りだとすると、両親+子供の組が多いから文殊の知恵を使える強敵は多いという事に。

「おっ!わし、これはええ事を思いついたかもしれんぞ!!」

ここで出てしまった!!!原口さんの突然の思いつき!!!間違なく面倒くさいやつ!!!

僕と真悟はおそるおそる尋ねる。
「えっと・・・何を思いつきに??」
「ほれ!!」
手渡されたのは、1組に1枚のはずのカードを2枚。
「2枚・・・ですか?」

「そう!!真悟君と晃宏君!!同じ組でありながら敵どうし!!別々で問題に挑戦するんじゃ!!」

・・・うわっ。やっぱり面倒くさい思いつき。ま、諦めるしかない。原口さんの思いつきに拒否権はない。
「お~、それ面白そうですね!!」
「じゃろぉが??もっと褒めてくれ~真悟君。」
何で真悟は乗り気なんだよ・・・。上機嫌になった原口さんは、思いっきりネタバレする。
「ぶっちゃけるとの!今回用意された4問は、どれも野鳥に関係した問題になっとるんじゃ!!最近は晃宏君もバードウォッチャーとして成長してきとるからの。いい勝負が出来ると思うぞ!わしもラストで・・・っと!これ以上は秘密にしとこうかの~!!よし!3分過ぎたぞ!ラストの藤村・植村組・・・

ウォークラリースタートじゃ!!!」

はぁ・・・真悟と和気藹藹のウォークラリーにしたかった。

 淡水池からヨシ原までは一直線だ。スタートからほどなく、レンジャーの証:青ジャージを着た出題者と思われる人物が先に見えた。どうやら・・・最初の出題者は猿越さんのようだ。
「頑張ろうね、あっくん!あっ、一応言っとくけど手加減はなしよ?」
「・・・うん。」
真悟はゴリラの血のせいもあってか、穏やかそうで意外と闘争本能が強い。・・・本気だ!!原口さんは僕に、成長していると言ってくれたが、真悟にかなうはずもないじゃないか・・・。と、そんな事を考えているうちにヨシ原の前に到着する。やっぱり出題者は猿越さんだった。
「おっ・・・2人も・・・参加しとったか。早速問題・・・いくぞ。」
ええぃ!こうなったらやるしかない!!
「お願いしますっ!」
「よし・・・。まずは・・・これを見てくれ。」
「おぉ・・・。」
思わず小さく歓声を上げてしまった。猿越さんが足元から拾い上げたのは・・・長さが30㎝はあろうかという長細い鳥の羽だ!!念を押す猿越さん。
「・・・よく見ろよ。」
とりあえず細長い!色は黒と茶色で、この2色が交互でボーダのように見える。何だろう・・・茶色と表現た部分の色が何とも独特で、派手さはないが深みのある羽だ!さらに、羽の両端は少し赤味ががって見える。僕も真悟も、さわって質感を確かめる。
「・・・よし。・・・じゃぁ問題。」
猿越さんは、裏返しで同じく足元に置かれていたフリップを僕たち2人に見せる。そこには問題文と、可愛く描かれた2羽の鳥のイラスト。・・・二町さん作のフリップだな。何なに・・・。

『2択クイズ:この羽は、ここヨシ原で生活している鳥さんの尾羽(尻尾の羽)です。どちらの鳥さんでしょう? 1番:キジ 2番:クジャク』

「・・・。」

キジだ!!!!!

ヨシ原から甲高い鳴き声が響く。
“ケーン!ケン!”

「・・・。」

キジだ!!!!!

「答える準備は・・・ええか?」
「は、はい。」
準備も何も・・・。
「よし。じゃ・・・2人とも同時にいくぞ。・・・せーの!!」

僕「1番!!」 真悟「1番!!」

よし!当たり前だが真悟と回答は同じ!ただその真悟も、あまりに簡単で逆に自信が持てないといった感じだ。猿越さんの感情を表に出さない表情が、妙な緊張感を誘う。・・・あれ??ひっかけ??いや!ひっかけようがないだろ??

「正解。」

やっぱキジだ!!!!!

よかったー!!はぁ。力が抜けた。それにしても、何でこんな問題を・・・。
「これ・・・あまりに簡単過ぎじゃない?」
「ね!キジ鳴くし、俺も逆にハラハラしたわぁ。」
「2人とも・・・何を言うとるか。他の参加者のことを考えてみぃ・・・。」
他の参加者?・・・そうか!他はみんな工作親子!つまり小学校低学年でも考えられるレベルに問題が設定してあるという訳か!!
「中学生バードウォッチャーさんには悪いが・・・この先の問題も・・・こんな感じと思うぞ?」
真悟が笑う。

「はは。どっちみち・・・必要なかったね。文殊の知恵。」

「みたいやね。」
この程度の問題なら・・・真悟と対決なんて固い事考えず、予定通りの和気藹藹としたウォークラリーを楽しめそうだ。

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3 Comments

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Unknown (acco)
2012-04-26 15:52:03
第105回投稿。また間あきましたけども・・・書いた~!!いやほんと今度から1話の文章量考えよ・・・。
始まりましたねウォークラリー。楽しくなってきた^^
そいや慎吾にメール返してないわ 浩也の日記もあったし、たまには慎吾とか貞πのも読みたいよ。

★次回予告★
ウォークラリー中盤戦!!
出題者はなんと園長!?
2人を襲う園長の奇問ww
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Unknown (ごんしんご)
2012-08-25 10:58:11
そりゃね、読み返すわ笑

読み返して気付いたけど、原口さん←は「とる」よりも「ちょる」を使うよ!
おれ最近完全に「ちょる」が抜けたせいかここだけ気になった(^^)b
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Unknown (acco)
2012-08-27 01:06:33
あっちゃっちゃ!
それは僕が最近 とる ばっか使うようになったせいや…
あざっす!今度修正しとくー!
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