タツとミソサザイどちらの手柄かはさておき、僕たちソフトテニス部は、ほぼコウジの到着と同時に給食室前に集合することに成功した。
「おう、お前ら。今日は予定通りに球拾い終わったんか。珍しいな。」
部活スイッチが入っているから言葉は荒いが、コウジの機嫌は至っていい。よかった。コウジの噴火を見ることなく部活を終われそうだ。『早めに球拾い始めただけでぇ~実は手こずりましたぁ~』なんて本当の事を言うものはいない。必要な嘘もあっていいと思う。周りをチラ見すると、みんなニコニコして、ブンブンと頷いている。うぅん・・・ちょっとワザとらしいだろ!!
「・・・?ニコニコニコニコ・・・気持ち悪ぃ。お前ら、何か怪しいのぉ。」
青ざめ、つばを飲む一同。
「・・・まぁええか。特に他に無いから今日は終わろう。明日、明後日は部活も休みじゃけ~な。しっかりゴールデンウィークを楽しめよ。」
「気をつけ!礼!」
「ありがとうございました!!」
あぶねっ!無事に開放された!それぞれが帰宅する方向へと散っていく。
「あっくん!木曜日はよろしく。」
真悟とは家の方向が違うから、帰りは別々。
「はいは~ぃ!楽しみやね~。ばいばい。」
今日はおだちゃん&タツと帰宅だ。タツの家は、県営住宅側から帰るには遠回りな場所にあるのだが、休みの日の部活の場合、家とから学校までの距離に関わらず自転車通学が許可されている。学校と家が異常に近い僕やおだちゃんは歩きだが、タツは自転車だ。遠回りといっても、自転車なら県営住宅コースでも大きな差はないから、土日や祝日の練習では一緒に帰ることが多い。っと、帰ろうとする3人、というよりタツをコウジが呼び止める。
「おい、本井。・・・ちょっとええか?」
まぁしょうがなく、僕とおだちゃんも立ち止まる。コウジのギラギラとした目つき・・・この時点で怪しい雲行きにタツは気付くべきだった。
「お前もう体はええんか?」
「うん。午前中に病院行ったら、もう大丈夫って先生が。」
・・・この返答をとりあえず耐えただけでもコウジを褒めたい。ただ、これで噴火確定。
「・・・そうか。あのなぁ本井。俺はのぉ、久しぶりに部活に復帰したにも関わらずぞ?俺に一言もなく帰ろうとすることに腹が立って呼び止めたんじゃ。でものぉ・・・気が変わった。」
「・・・?それでぇ?」
目を見開き、眉がピクピクと動くコウジ。・・・終わったなタツ。
「教師に敬語も使えんお前みたいな奴はのぉぉ!!!!!そのまま部活休んどけや!!!!!」
「へぇ~ぇ。」
僕には聞こえるけどコウジには聞こえない音量で、おだちゃんのため息がむなしい。あぁ・・・一瞬でも・・・
実はタツが賢いんじゃないかと思った自分って一体・・・。
―県営住宅コース
「いっやぁ!すっごい剣幕やったね!せっかく俺がラスト1球見つけたお陰でさぁ、コウジ機嫌よかったのに。・・・あれ?てことはよ。俺がみんなを守ったのに、俺だけ怒鳴られる・・・。おかしくね!?これ損じゃね!?」
チャリを押しながら歩くタツに、反省の色は全く見られない。
「いや・・・復帰を一言報告する必要はあるかわからんけどさ、敬語くらいは使おうぜ?もう中2よ!?先生に溜め口とか・・・若友先生くらいまでやわ!!」
「若友先生懐かし!まっ、敬語使えんって設定すらも俺のネタかもしれんけどなっ!」
「・・・あっそ。」
んなバカな。突然、タツがチャリのブレーキをかけ立ち止り、僕の方を向く。
「ってそうや!!さっき病院の話して思い出したんやけど!!」
「・・・どうした?」
「今日の午前中、真中病院であっくんの父さんと母さん見かけたよ~。」
「・・・え?」
待てよ午前中・・・父さんは・・・休日出勤?うん。よくある事ではある。母さんは・・・子供会の集まり!?確かに2人とも家にはいなかった!!いやでも・・・
「タツの見間違いじゃ・・・」
「白髪のおばぁさんと一緒やったけど?誰か病気?」
白髪っていったら・・・ばぁちゃんだ!!そっか糖尿病の検診・・・いや違う。それなら父さんが行く必要がないし、何より子どもに嘘をつく必要がない!!
「そっか・・・教えてくれてありがと・・・。」
胸騒ぎがした。
「事件の・・・予感やね・・・。」
「うわ!おだちゃん!?おったんかい!!・・・じゃ、まったね~。」
県営住宅の入り口に着いた。タツは軽快に下り坂を下って行った。
―自宅
「ただいま。」
タツの話の真偽・・・確かめなければ。
「お帰り~。」
「お兄ちゃんお帰り~。」
いつもと変わらない2人の返事。それに今日は追加で・・・
「おっ。お帰り晃宏。お疲れ。」
父さんだ。
「・・・。早いね。今日、仕事行ったんじゃなかった?」
「おぉ・・・うん。」
父さん、明らかに動揺したのがわかった。
「お父さんね、今日は仕事が早く終わって、3時くらいには帰って来たんよ~。」
佳昭よ。たまには役に立つ情報をありがとう。祝日出勤でも、帰宅がそこまで早い事は普通ない。確定だな。佳昭がトイレに行った瞬間を見計らう。状況がわからないから、一応それくらいの配慮は。両親へ突然に切り出す。
「2人ともさ、今日の午前中・・・嘘ついてまで、おばあちゃんと真中病院で何しよった?タツが見かけたらしいけど。」
誤魔化してくるかとも思っていたが・・・父さんと母さんは、案外素直に認めた。
「もう気付かれたか・・・。悪いけど、夜、佳昭が寝てからでもいい?」
「はぁ・・・タツ君か。・・・まさか私たちにまで被害とはね。」
ただ、こういう事態も想定されていない訳ではなかったのだ・・・。
―午前中、病院
「あのっ!!」
ベンチから立ち上がり、重たい空気を切り裂いた母さん。
「確かに雅巳さんの言う通りで、転移がある可能性が高いかもしれませんよ!?でもどちらにしたって、私たちがこんな気持ちじゃ駄目だと思うんです!昨日、晃宏と佳昭がバードウォッチングでお世話になってる方から聞いたんです。何羽かは助からないと思ってた5羽ヒナが、奇跡的に全員無事だったって・・・。」
父さんは呆れて言う。
「もとちゃん・・・その鳥は怪我か病気か知らんけどよ?人間の癌とは・・・」
母さんは、カワラヒワに語りかける時の渡中さんの笑顔を思い出す。
「それはそうよ!?でも、私が思ったのはね・・・まず、私たちが信じてお父さん支える事が大切なんじゃないかって事よ!!周りが最初から諦めてちゃ駄目でしょ!?
それは、対象が鳥でも人間でも同じじゃない!?」
渡中さんは、5羽全てが生きられる可能性は低いという客観的事実を受け止めつつも、どこかで全羽が助かることを信じて愛情を注いでいた。そしてその結果、小さな奇跡は起きた・・・。そして、母さんの思いはばあちゃんにも伝わった。
「もとちゃんの言う通りかもしれんね。とにかく私たちは、せみはし先生を信じて頑張ってみよ~い~ね。」
「お母さん・・・“すみはし”先生です。オシいんですけどね。」
父さんも、女性2人に押される。
「まぁ、それもそうか!じゃ、僕は親父に病気と入院の話をしてくるから。どうせ、仕事って設定で家には戻れんし。とりあえずは、大腸癌で手術が必要っていう事実だけ伝えて・・・かなり状況が悪いことは黙っとこうと思うけど、どうじゃろ?」
「雅巳に同感じゃね。」
「うん、私も。」
患者本人に病気を伝える時、ありのままに病状を伝える場合と、ある程度嘘をついて楽観的に伝える場合があると思う。今回が後者なのは、3人がじいちゃんの性格を理解しての事だ。ハンチングにサングラスという多少ワルそうな見かけと裏腹に、じいちゃんはかなり気が小さい。周りが信じて支える事は勿論大切だが、当の本人が病気との戦いを諦めてしまっては元も子もない。
「で、晃宏と佳昭にはどうしようか?」
こちらは、父さんと母さんから頃合を見計らって話すという事で3人の意見はまとまった。ただし、こちらにも病状が深刻なことは内緒で。これは、ばあちゃんの孫にあまり心配を掛けたくないという強い希望からである。じいちゃんに病状が漏れる心配を減らすという狙いもある。
勿論この時の頃合というのは、決してその日の夜などではなかったのだが・・・
―夜、自宅
タツの災いによって、息子の1人には早くも頃合が訪れたのである!!僕はテーブルに座り、向かい合って座る両親から話を聞き終えた。佳昭は隣の部屋でぐっすり眠っている。
「じゃぁ・・・じいちゃんは大腸癌やけど、手術して切除すれば治るんやね?」
僕の問いかけに自信を持って、父さんが答える。
「そ~そ~!入院して、検査がちょっとあって、まだ手術がいつになるかわからんけどね。まっ、晃宏がそんなに心配せんでも大丈夫よ。へっへっひっひ!!」
「・・・了解。」
父さんは、相変わらずの気持ち悪い笑い方ではある。でもそれは、変なニコニコよりよほど自然で、コウジが感じたであろうようなワザとらしさは感じられなかった。
僕は嘘を見抜けなかった。
両親の方が一枚上手だった。
「悪気があった訳じゃないけどね、子ども会の集まりとか・・・嘘ついて悪かったね、晃宏。」
母さんが素直に謝ってくることは稀である。
「・・・いや、それは別にいいよ。」
・・・噴火を回避する・・・必要のない争いを避ける・・・よけいな心配を掛けたくない。理由は様々あるとは思うが・・・
「必要な嘘はあると思うし。」
翌日、5月4日水曜日、じいちゃんは真中総合病院に入院した。
「おう、お前ら。今日は予定通りに球拾い終わったんか。珍しいな。」
部活スイッチが入っているから言葉は荒いが、コウジの機嫌は至っていい。よかった。コウジの噴火を見ることなく部活を終われそうだ。『早めに球拾い始めただけでぇ~実は手こずりましたぁ~』なんて本当の事を言うものはいない。必要な嘘もあっていいと思う。周りをチラ見すると、みんなニコニコして、ブンブンと頷いている。うぅん・・・ちょっとワザとらしいだろ!!
「・・・?ニコニコニコニコ・・・気持ち悪ぃ。お前ら、何か怪しいのぉ。」
青ざめ、つばを飲む一同。
「・・・まぁええか。特に他に無いから今日は終わろう。明日、明後日は部活も休みじゃけ~な。しっかりゴールデンウィークを楽しめよ。」
「気をつけ!礼!」
「ありがとうございました!!」
あぶねっ!無事に開放された!それぞれが帰宅する方向へと散っていく。
「あっくん!木曜日はよろしく。」
真悟とは家の方向が違うから、帰りは別々。
「はいは~ぃ!楽しみやね~。ばいばい。」
今日はおだちゃん&タツと帰宅だ。タツの家は、県営住宅側から帰るには遠回りな場所にあるのだが、休みの日の部活の場合、家とから学校までの距離に関わらず自転車通学が許可されている。学校と家が異常に近い僕やおだちゃんは歩きだが、タツは自転車だ。遠回りといっても、自転車なら県営住宅コースでも大きな差はないから、土日や祝日の練習では一緒に帰ることが多い。っと、帰ろうとする3人、というよりタツをコウジが呼び止める。
「おい、本井。・・・ちょっとええか?」
まぁしょうがなく、僕とおだちゃんも立ち止まる。コウジのギラギラとした目つき・・・この時点で怪しい雲行きにタツは気付くべきだった。
「お前もう体はええんか?」
「うん。午前中に病院行ったら、もう大丈夫って先生が。」
・・・この返答をとりあえず耐えただけでもコウジを褒めたい。ただ、これで噴火確定。
「・・・そうか。あのなぁ本井。俺はのぉ、久しぶりに部活に復帰したにも関わらずぞ?俺に一言もなく帰ろうとすることに腹が立って呼び止めたんじゃ。でものぉ・・・気が変わった。」
「・・・?それでぇ?」
目を見開き、眉がピクピクと動くコウジ。・・・終わったなタツ。
「教師に敬語も使えんお前みたいな奴はのぉぉ!!!!!そのまま部活休んどけや!!!!!」
「へぇ~ぇ。」
僕には聞こえるけどコウジには聞こえない音量で、おだちゃんのため息がむなしい。あぁ・・・一瞬でも・・・
実はタツが賢いんじゃないかと思った自分って一体・・・。
―県営住宅コース
「いっやぁ!すっごい剣幕やったね!せっかく俺がラスト1球見つけたお陰でさぁ、コウジ機嫌よかったのに。・・・あれ?てことはよ。俺がみんなを守ったのに、俺だけ怒鳴られる・・・。おかしくね!?これ損じゃね!?」
チャリを押しながら歩くタツに、反省の色は全く見られない。
「いや・・・復帰を一言報告する必要はあるかわからんけどさ、敬語くらいは使おうぜ?もう中2よ!?先生に溜め口とか・・・若友先生くらいまでやわ!!」
「若友先生懐かし!まっ、敬語使えんって設定すらも俺のネタかもしれんけどなっ!」
「・・・あっそ。」
んなバカな。突然、タツがチャリのブレーキをかけ立ち止り、僕の方を向く。
「ってそうや!!さっき病院の話して思い出したんやけど!!」
「・・・どうした?」
「今日の午前中、真中病院であっくんの父さんと母さん見かけたよ~。」
「・・・え?」
待てよ午前中・・・父さんは・・・休日出勤?うん。よくある事ではある。母さんは・・・子供会の集まり!?確かに2人とも家にはいなかった!!いやでも・・・
「タツの見間違いじゃ・・・」
「白髪のおばぁさんと一緒やったけど?誰か病気?」
白髪っていったら・・・ばぁちゃんだ!!そっか糖尿病の検診・・・いや違う。それなら父さんが行く必要がないし、何より子どもに嘘をつく必要がない!!
「そっか・・・教えてくれてありがと・・・。」
胸騒ぎがした。
「事件の・・・予感やね・・・。」
「うわ!おだちゃん!?おったんかい!!・・・じゃ、まったね~。」
県営住宅の入り口に着いた。タツは軽快に下り坂を下って行った。
―自宅
「ただいま。」
タツの話の真偽・・・確かめなければ。
「お帰り~。」
「お兄ちゃんお帰り~。」
いつもと変わらない2人の返事。それに今日は追加で・・・
「おっ。お帰り晃宏。お疲れ。」
父さんだ。
「・・・。早いね。今日、仕事行ったんじゃなかった?」
「おぉ・・・うん。」
父さん、明らかに動揺したのがわかった。
「お父さんね、今日は仕事が早く終わって、3時くらいには帰って来たんよ~。」
佳昭よ。たまには役に立つ情報をありがとう。祝日出勤でも、帰宅がそこまで早い事は普通ない。確定だな。佳昭がトイレに行った瞬間を見計らう。状況がわからないから、一応それくらいの配慮は。両親へ突然に切り出す。
「2人ともさ、今日の午前中・・・嘘ついてまで、おばあちゃんと真中病院で何しよった?タツが見かけたらしいけど。」
誤魔化してくるかとも思っていたが・・・父さんと母さんは、案外素直に認めた。
「もう気付かれたか・・・。悪いけど、夜、佳昭が寝てからでもいい?」
「はぁ・・・タツ君か。・・・まさか私たちにまで被害とはね。」
ただ、こういう事態も想定されていない訳ではなかったのだ・・・。
―午前中、病院
「あのっ!!」
ベンチから立ち上がり、重たい空気を切り裂いた母さん。
「確かに雅巳さんの言う通りで、転移がある可能性が高いかもしれませんよ!?でもどちらにしたって、私たちがこんな気持ちじゃ駄目だと思うんです!昨日、晃宏と佳昭がバードウォッチングでお世話になってる方から聞いたんです。何羽かは助からないと思ってた5羽ヒナが、奇跡的に全員無事だったって・・・。」
父さんは呆れて言う。
「もとちゃん・・・その鳥は怪我か病気か知らんけどよ?人間の癌とは・・・」
母さんは、カワラヒワに語りかける時の渡中さんの笑顔を思い出す。
「それはそうよ!?でも、私が思ったのはね・・・まず、私たちが信じてお父さん支える事が大切なんじゃないかって事よ!!周りが最初から諦めてちゃ駄目でしょ!?
それは、対象が鳥でも人間でも同じじゃない!?」
渡中さんは、5羽全てが生きられる可能性は低いという客観的事実を受け止めつつも、どこかで全羽が助かることを信じて愛情を注いでいた。そしてその結果、小さな奇跡は起きた・・・。そして、母さんの思いはばあちゃんにも伝わった。
「もとちゃんの言う通りかもしれんね。とにかく私たちは、せみはし先生を信じて頑張ってみよ~い~ね。」
「お母さん・・・“すみはし”先生です。オシいんですけどね。」
父さんも、女性2人に押される。
「まぁ、それもそうか!じゃ、僕は親父に病気と入院の話をしてくるから。どうせ、仕事って設定で家には戻れんし。とりあえずは、大腸癌で手術が必要っていう事実だけ伝えて・・・かなり状況が悪いことは黙っとこうと思うけど、どうじゃろ?」
「雅巳に同感じゃね。」
「うん、私も。」
患者本人に病気を伝える時、ありのままに病状を伝える場合と、ある程度嘘をついて楽観的に伝える場合があると思う。今回が後者なのは、3人がじいちゃんの性格を理解しての事だ。ハンチングにサングラスという多少ワルそうな見かけと裏腹に、じいちゃんはかなり気が小さい。周りが信じて支える事は勿論大切だが、当の本人が病気との戦いを諦めてしまっては元も子もない。
「で、晃宏と佳昭にはどうしようか?」
こちらは、父さんと母さんから頃合を見計らって話すという事で3人の意見はまとまった。ただし、こちらにも病状が深刻なことは内緒で。これは、ばあちゃんの孫にあまり心配を掛けたくないという強い希望からである。じいちゃんに病状が漏れる心配を減らすという狙いもある。
勿論この時の頃合というのは、決してその日の夜などではなかったのだが・・・
―夜、自宅
タツの災いによって、息子の1人には早くも頃合が訪れたのである!!僕はテーブルに座り、向かい合って座る両親から話を聞き終えた。佳昭は隣の部屋でぐっすり眠っている。
「じゃぁ・・・じいちゃんは大腸癌やけど、手術して切除すれば治るんやね?」
僕の問いかけに自信を持って、父さんが答える。
「そ~そ~!入院して、検査がちょっとあって、まだ手術がいつになるかわからんけどね。まっ、晃宏がそんなに心配せんでも大丈夫よ。へっへっひっひ!!」
「・・・了解。」
父さんは、相変わらずの気持ち悪い笑い方ではある。でもそれは、変なニコニコよりよほど自然で、コウジが感じたであろうようなワザとらしさは感じられなかった。
僕は嘘を見抜けなかった。
両親の方が一枚上手だった。
「悪気があった訳じゃないけどね、子ども会の集まりとか・・・嘘ついて悪かったね、晃宏。」
母さんが素直に謝ってくることは稀である。
「・・・いや、それは別にいいよ。」
・・・噴火を回避する・・・必要のない争いを避ける・・・よけいな心配を掛けたくない。理由は様々あるとは思うが・・・
「必要な嘘はあると思うし。」
翌日、5月4日水曜日、じいちゃんは真中総合病院に入院した。
なんかね、このコメント欄って書き出すと話題忘れるんよね。1話に1回しか書けん貴重な場所なのにまた浪費や~!!
あ今日 無事にじいちゃん退院したよ^^
入院と退院で小説と現実シンクロしても~た。
★次回予告★
ついにお祭り編スタート!!
真悟と久々のお出かけ回。