徒然日誌(旧:1日1コラ)

1日1枚画像を作成して投稿するつもりのブログ、改め、一日一つの雑学を報告するつもりのブログ。

重の月、書架と画廊の街にて 3

2020-04-01 20:04:43 | 小説






 本文詳細↓



 昔、あるところに、貧しいけれど心優しい薬売りの少年がいた。少年は老いた病気の母と町の外れで二人で暮らしていた。少年はいつも大釜で薬を煎じていたので、顔は火焼けして赤かった。
 ある日、いつものように山に入った少年は、とある岩壁をリズミカルに「トットトトントン、トットットン」とノックをする盗賊団を見つけた。すると岩壁にぽっかりと穴が空いて、盗賊たちは中へ入っていった。そのとき少年の前に薄汚れた青銅のランプが転がってきた。家に持ち帰って磨いていると、突然目が三つある魔人が現れて言った。
 「さあ、願い事を言いたまえ、我が主よ。どんな願いも三つだけ、たちどころに叶えてみせよう」
 少年はまず、母の病気を治してほしいと願った。次に、岩壁の財宝を元の持ち主に返すよう頼んだ。
 「いいのか? 財宝全て主のものにもできるのに」
 だが少年の答えは変わらなかった。
 翌日、元気になった母と町を歩いていると、盗んだ財宝を取り返されて怒った盗賊たちが呪わしい叫びをあげて襲ってきた。少年はランプの魔人に「盗賊たちをやっつけてほしい」と願った。
 「いいのか? 望めば永遠の命も世界一の美女もお前のものだというのに」
 少年の答えは一瞬たりとも迷わなかった。
 「……よかろう。その願い、叶えよう」
 こうして魔人の活躍により、町には平和が戻った。
 めでたしめでたし。


コメント
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