徒然日誌(旧:1日1コラ)

1日1枚画像を作成して投稿するつもりのブログ、改め、一日一つの雑学を報告するつもりのブログ。

結の月、湖城と天見の町にて 4

2020-04-13 19:50:05 | 小説





 本文詳細↓



 ご両親は親族の結婚式に出席するため留守にしているそうだ。かれこれ一人暮らしも三ヶ月目に突入、と言っていた。
 「あなたは行かなかったんですね」
 「嫁いできたお袋の従妹だぜ? ほぼ他人の結婚式なんてなあ……ってかんじ。あとまあ、火の番もあるし」
 アスキリオさんは窓の外へ目を向けた。僕もつられて黄色い火を見上げた。
 「鳴御雷(なるみかづち)……噂では、昔天から降ってきたもので、一度も消えずに燃え続けているらしいですけど、本当なんですか?」
 「天から降ってきたかどうかはオレも与り知らんとこだが、燃え続けてるのはたぶん本当だぜ。ちゃんとタネがあるからな」
 そう言って彼は奥から小さな瓶を持ってくると、覗き込んだ僕らの眼前でフタを開けた。
 「くっっっさ!?」
 「~~~~~~ッッ!?」
 僕は即座に顔を背け、アダムは声も無く鼻を抑えて悶絶した。彼はしてやったりと大口を開けて笑っていた。
 「わははっ! この油が鳴御雷の秘密なんだが、いやー。マジでいい反応してくれるわー」
 「なんなのだそれはっ!? 臭すぎて危うく気を失う、いや、胃も口から飛び出すとこであったぞ!」
 アダムはもはや泣いていたし、僕も必死で深呼吸を繰り返した。


コメント
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