
本文詳細↓
一日目。望遠鏡を覗けばまだ、鳴御雷(なるみかづち)の灯台が見えていた。
七日目。海に出てから初めて雨に降られた。釣った魚を日干ししてたのに、おかげで失敗した。
十二日目。甲高い声で鳴くつるりとした皮の魚の群れを見た。絵付きで海図に描いてあった通りだった。
十六日目。もはや陸地は霞むことすらなく、ひたすら青、蒼、碧、青、蒼、青、蒼、碧、青、蒼を見ていた。
二十三日目。とても強い風が吹いた。上へ下へと揺れる波のおかげで目が回って、気分も悪くなった。
三十日目。
「アダムがいてくれることの喜びをかみしめてる」
「いきなり何を言いだすか」
「景色が変わらなさすぎて、進んでるのか止まってるのかも分からないなんて、ひとりだったら発狂してたかも。僕と一緒に来てくれてありがとう」
「ふん、今更気がついたか。もっとありがたく褒め讃え奉るとよいわ」