遠藤雷太のうろうろブログ

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スタンリー・キューブリック監督『博士の異常な愛情/または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』(1964年)

2017-04-13 00:27:57 | DVD・VHS・動画など

博士の異常な愛情 予告編

2017/4/12

・タイトルだけ知っていた未見の名作。

・冷戦時代。アメリカの反共原理主義の軍人が、独断でソ連に水爆を落とす話。

・もっとマッドサイエンティストが大暴れする話だと思っていた。コメディだって聞いてたし。

・実際見てみたら、話の根幹はどっしりした会話劇。

・ソ連から奇襲を受けたときの対策として、将軍くらいの地位でも水爆を落とせる仕組みがそれっぽい説得力で説明されている。

・指令を受けた直後の軍人たちのリアクションが生々しくていい。

・暗号をメモ帳と消しゴム付き鉛筆で管理しているような時代に水爆が落とせるんだと思うと、テクノロジーのギャップにハラハラする。

・一人のバカの独断で世界を滅ぼすことができる構造。

・1964年公開の作品なのに、風刺の矛先が全く錆びていない。

・それどころか、トランプ政権になってますます鋭さが増している。

・主体や規模の違いこそあれ、911のテロやら、北朝鮮やら、オウム事件やら、日本人にとってもヒトゴトとは思えない。似たような構造はどこにでもある。

・ことの発端となった暴発将軍が、比喩ではなく、悪い水がどうのこうとトンデモ科学に染まっている。

・ギャグなんだろうけど、言ってることがどこぞの総理大臣夫人と大差なくて笑えない。

・緊急事態に国のトップたちが慌てふためいている様子は、『シン・ゴジラ』前半の雰囲気にかなり似ている。

・その前半で派手に終わった感じなので、むしろ、こっちのほうが完成度は高いかもしれない。

・ソ連が核攻撃の報復として用意していた「皆殺し兵器」が完全にコンピュータで制御されていて、攻撃を受けても解除しようとしても自動的に発動する仕組み。

・1960年代と考えるとあんまり現実感ないけど、AIが発展した近未来なら、むしろ有り得るような気がする。

・リアルなところとチープなところのギャップが楽しい。

・コーラと核ミサイルのシーンで笑う。

・元のラストシーンがイマイチという話が『羅生門』っぽくておもしろい。

博士の異常な愛情/または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか (字幕版)
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