遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

フランシス・サンダース著、前田まゆみ訳『翻訳できない世界のことば』

2017-04-25 03:02:42 | 読書感想文

 

翻訳できない世界のことば
クリエーター情報なし
創元社

2017/4/24

・世界各国の言葉から、一対一の単語で翻訳できない言葉を集めてイラストつきで並べた本。

・たとえば、フィンランド語の「poronkusema(ポロンクセマ)」は<トナカイが休憩なしで、疲れず移動できる距離>という風土色が強すぎる言葉。

・ドイツ語の「Drachenfutter(ドラッヘンフッター)」は、<直訳すると、『龍のえさ』。夫が悪い振る舞いを妻に許してもらうために贈るプレゼント。>という、日本語に同義の単語があってもおかしくない言葉。

・日本語からも「ボケッと」「積ん読」「木漏れ日」「わびさび」が採用されている。木漏れ日なんて確かに他の言語にはなさそう。イラストもきれい。

・ゲール語の「sgriob(スグリーブ)」の<ウィスキーを一口飲む前に上唇に感じる、妙なむずむずした感じ>は覚えたい。

・どの言葉も日本語では表現しがたい概念なので、大体の言葉は物語のタイトルにもできる。

・ウェールズ語の「hiraethe(ヒアエス)」。<帰ることが出来ない場所への郷愁と哀切の気持ち。過去に失った場所や、永遠に存在しない場所に対しても>しみじみしたいい話になりそう。フライヤーが脳内に見える。

・実際、ポルトガル語の「saudade(サウダージ)」は映画のタイトルになっている。

・さっきの「Drachenfutter」も、機嫌を損ねた妻を喜ばせるために、ありとあらゆる策をめぐらす夫が主人公のホームコメディが思い浮かぶ。

・ハワイ語の「'akihi(アキヒ)」は<だれかに道を教えてもらい、歩き始めたとたん、教わったばかりの方向を忘れた時、『'AKIHIになった』と言う>。

・これも、ボンクラな主人公が旅行先のハワイで危機に陥って、近しい人ががんばって助けようとするが、ボンクラゆえにどんどん空回りしてしまうコメディが作れる。

・オーストラリア先住民の言語であるワギマン語の「ムルマ(言語表記不明)」は<足だけを使って、水の中で何かを探すこと。>を表す動詞。

・ほしいものがなかなか手に入らないもどかしさを描いた哲学的な話ができる。かも。

・それぞれその国の言葉を使う理由も一緒に考えなきゃいけないから本当にやろうとすると大変だけど、頭の体操によさそう。

コメント
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